皆さん今晩は。
昨今地球圏近傍を、レモン彗星なるほうき星が飛来してるのを御存知ですか?
『レモンなんて可愛い名前じゃん、中心核がレモンみたいな形でもしてるんだか、噴出するガスがレモン色なのか?』
と勝手な想像してたら、要するに最初にそれを観測した天文台のある山の名前かなんかでした、なんだ、つまんねぇの…
ところで彗星が地球に近付いたと聞くと、1978年の夏にとある宇宙戦艦がスクリーンの前の我々に示した、徹底して戦う姿勢と滅びの美学を刷り込まれた私なぞは異常に盛り上がるのですが、まぁ世間の状況を見渡して思うに、人類この調子では2202年に巨大な白色彗星が地球を侵略する前に勝手に自滅するでしょうね。
閑話休題、47年も前の古い話を持ち出して何を言いたいのかね君は?と思われた方もおりましょうが、その古い話よりもっと古い1974年に登場した有名なスピーカーにヤマハのNS1000Mがあります。黒くて四角くて金網が付いた3WAYの有名なあれです。登場後20年以上に亘って製造販売された所謂名機ですね。
以後ヤマハからも他社からも数多のスピーカーがゴマンと登場しましたが、結局後から出たものが勝手に先に消えると言う、優秀なアナログ製品の典型的な例を市場に示し、今や国産スピーカーで広く二つ名で通った様な製品等、ヤマハは愚かビクターにもケンウッドにもパイオニアにもソニーにもオンキョーにもデンオンにもオットーにもオーレックスにもコーラルにもオプトニカにもローディにも三菱にも存在しない、或いはブランドさえ存在しない世の中になりました。
このヤマハ1000Mは長嶋茂雄の現役引退の1974年に登場し、バブルを通り越して山一證券が吹き飛んで消費税が5%になった1997年迄の24年間という、高機能高性能軽薄短小が最大の特徴の当時の日本製品にあっては異例の長期間に亘って販売され続け、ほぼ同時期を生きた私もそのモデルライフの最後、1/4の期間は販売側として携わった訳ですが、凄いと言うか困った事にというか、1000Mというスピーカーは製販終了後28年経った今尚、つまり登場以来51年経た令和の現代に於いて尚、同時代製品としては国産には比較対象の存在しないレベルでの圧倒的現役性即ち残存率を誇るのです。
凄いと言った理由は、今尚稼働し通用する性能とその堅牢製であり、困ったと言う意味は、結局の所その実質的な代わりが用意出来なかったオーディオ業界とヤマハに対してです。
故に未だに日産の数十年前の510ブルーバードやS30フェアレディZがそれ以降それ以上の性能を纏って登場した車達或いは製造会社そのものが滅び消えて行こうと、これからも末永く愛され大事にされ残っていくが如く、ヤマハのNS1000M自体も今現在尚地表に残存する個体は、今後例えオーナーが変わろうと仮にヤマハのオーディオ事業や現行製品がどうなろうが、1000Mという昭和の名機のその数自体は大幅に減らずに愛され残存していくであろう事が容易に想像つくと言う点です。
ではそうなると何が起きるのか?昔は良かったとかそう云った類の話は一旦置いておいて、どうしたってスピーカーはアンプに繋いで使う物なのでそこに接続の必要が発生するのですが、このスピーカーって正しく使う分には現代の環境でなんら遜色ない再生音を奏でるのですが、接続端子だけはどうしても1974年、昭和49年のまんまなんですよね。
モデル製造末期の1997年には市場でも大型スピーカーターミナルは広く一般化しバナナプラグの採用事例もヤマハ製品も含めかなり増えていた時期でしたが、1000Mに関しては製造途中に石綿の使用を止めた程度でどこも改良も変更も施さずに製造を続けたので、背面には細い線をパッチンと挟んで加え込むあの懐かしの端子が最後の最後まで小さく装備されていたのです。当時の安物コンポだってもうちょっと立派な端子が装備されているのにHi-Fi製品がこれかよと、その当時まだ未熟(今でもかな…)だった私はヤマハの技術者に高輪の地下室で恐れも知らずに問うた事が有るのですが、その時の回答は
『この端子にはこの端子なりの良さが有るのですよ』
と、もの知らぬ無知で無恥な青年を優しく諭すかのように言い聞かされ、イマイチ納得出来ずに帰って来たのですが、要するにバネ式端子での⊕⊖各線左右4端末が均等に一定した加圧で接続される事自体は確かに間違っていない事が今なら私でも判ります。
ただし、時代が大きく過ぎスピーカーケーブルは当時よりも遥かにオーディオ製品中の重要度とアクセサリーとしての地位を高めすっかり太くなり導体自体も質量を持つようになった昨今、要するにその小さな穴に現行のケーブルの多くが上手く接続出来なくなったのです。(1970年代の名車に現代のアホみたいに巨大なタイヤが履けないのとまぁ同じかな、違うかな…)また仮に細径の銅線で上手く入った所で、導体そのもが様々な被せやシールドの類で肥大化してるので、自らの重さでバネ程度の加圧では保持し切れずに抜け落ちる事態となりました。

そこで、写真の端末の出番です。Zonotoneの太径4芯構造の線でさえ2本づつ加え込める大型プラグ且つ、1000Mを初めとするビンテージ機材にお馴染みの小径端子に接続可能な細身2㎜φの尖端構造、それを取り付けるサービスです。
ケーブルによって多少は変わりますが、4端末装着プラグ代込みで6000円~、ケーブル購入時にでも既にお持ちの線お持込みでも喜んで対応致します。写真のはTiglonだったかな、やはり1000Mをお持ちの方からの依頼で作製した際の物で、狭い間隔での接続の際のショート防止の為にプラグ周りにも絶縁処理を施してあります。また、尖端軸中溝が彫ってあり、バネ式端子からの滑り落ち防止の役目も果たします。
勿論古い機材に対して現代レベルの大型ターミナルを移植する様な改造も存在し1000Mにそれをされる例も多く見掛けますが、音が変わるとかオリジナルを損なうと言った観点の正否を私はここで言う積りはなく、此方の方法なら原器を弄らず比較的安価な予算で好みのケーブルを接続して楽しめますよ?と言う単純で明快な動機での紹介です。
1970年代の名機に現代の良く練られた高性能アンプを接続して最良の性能を引き出したいけーどケーブルが、と考え込んだ事が有る方にはきっとお役に立つ事でしょう。どうぞ、ふっとい線どんどん御注文、お持ち込みを『でんき堂』まで下さいませ!
ヤマハNS-1000Mにふっと~いの繋ぎたい!→0466-20-5223