皆さん今晩は、更新が10日も開いてしまいました、ごめんなさい。

連日毎夜、納品をお待たせしているお客様への作成作業に携わっていたので、本当は書きたいことは山盛りあったのですが、PC画面を前にしてキーボードと格闘しながらそんな事にかまけていたら、納品お待ち頂いているお客様からの『お前のつまらん御託書き連ねる暇あったら私の頼んだのケーブルをさっさと組んでよ!』とクレーム来ること必至です。
よって昨日のテレ東のカンブリア宮殿(←番組名間違ってました、2/20関係者指摘により訂正)に出てきたどっかの家電量販の社長が、当時そこの組織に居た私の目の前で、私の直属の上司だった店長を殴り倒した話とかは当然見送りさせて頂いて、ここ最近のお仕事を手短に紹介へ進みますね!

でんき堂ではメーカーの完成品やお客様個人での組品、他店さんの仕上げたケーブル類の持ち込みを多数お受けしています、要するにリフレッシュ、修正なり補修ですね。使っているうちにだんだん劣化したりプラグが緩んだり断線したり、或いは購入はしたけど気に入らなかったとか、自分で組んだけどそもそもこれでよいのだろうか?と言った塩梅の案件です。基本的にはケーブル類は酸化した部分を切り落として剥き直して、新たに適切な処置を施せば実質新品当時の状態を取り戻せますし、当店お得意のQED AIRLOC処理によって今まで体感出来ていなかったケーブル本来の性能に辿り着く可能性も多々あります。

今回はそういった作業の中で数多く見てきた端末処理でも極めて劣悪なケーブルでしたので、依頼下さったお客様にはその内容が失礼ではないことを予め確認頂いての紹介です。

 

 

写真は、上が今回当店において新たに組み上げ直してQED AIRLOC処理を済ませた状態で、下側が預かったままの姿です。20年ほど経ったaudio-questの超高級線で、外面的にはあんまり差は感じられませんね?
ケーブル自体は随分昔の購入なので、お客様の記憶が流石に定かでなく、このケーブル自体が当時購入なさった店頭組品なのか、メーカー完成版なのかは私にも判断できませんでしたが、お客様曰く凄い大枚叩いて購入したけどあまりに音が好みでなく、購入後に数度の使用を経て、以来長期間に亘ってご自宅の『購入したけど残念だったBOX』要するに段ボール箱に投げ込んであったそうです。
今回こちらのお客様が別件でAIRLOC処理を手持ちのケーブルに施した際に、その余りの変わり映えに感動し、それならば以前購入して悔しい思いをしたあのケーブルにも再度光を、となって当店へ持ち込まれた次第です。

 

 

で、そのケーブルを早速剥いてみていやぁ、流石に酷い、これはまずい、驚いた。
あんまり他所さんの仕事やメーカー完成品を論評や評価する事は本来私は避けているのですが、まぁコチラは20年も経った仕事ですから、当事者も時効だろうしそれを少々私が指摘しても誰も傷付けはしないかな?との判断です。ともあれ写真で伝わるかどうか、赤黒12本づつ計24本の被覆を被った銅単線で構成されたこのケーブルを、それぞれ12本づつ捩ってプラグに装着するのは当然なのですが、こういった線を切り揃えて捩って同じ長さに整えるのは実はかなり難しいのです。今回のお預かり品はその難しい作業を完全に放棄しての作りで、端末に実質接していた線は12本中6~7本、一応プラグは簡単に圧着してありましたが、そこに至らぬ線は手前で半田の海で泳いでいる始末、更によく見ると全くどこにも触れていない線まで存在して居ました。それが8端末全てで同じ状態と言う有様、ケーブル間での上下流双方で12本中7本がキチンとした接続だとしたら、可能性としては実質双方2本づつしか繋がっていない可能性も大いにあり得るわけですね。

 

 

購入したお客様は、こういった仕上げの状態を中身を見ては買えないので、ブランドやその作業をしたショップさんを信用するしかないのですが、そんなレベルのお品にお金を払ったお客様に同情しながら、このしょうもない端末は切り落として作業開始です。
流石に私もこの線をどう処理するか一瞬躊躇しましたが、全ての線が均等にプラグに接するのが最低限の条件です。

 

 

諸般の状況を加味しながら、12本の線を2本ずつに選り分け、三つ編みで処理する事にしました。

 

 

更に二組の三つ編みを抱き合わせてから端末には確実な圧着のQED AIRLOC処理を施します。今回は12本全線が余さず全て同一条件で端子へ合流出来ていますよ。各端子に付き12本構成ですから、左右ペア前後8端子分で全96箇所剥きの8端末処理、流石に複数日に分けての作業となりました。

 

 

 

はい、出来上がり。今回はスピーカー側はバナナプラグ、AMP側はビンテージ機材に対応させたQED AIRLOC処理応用の角圧着処理にて小径端子対応の仕上げです。勿論線材の接続状況と各端末内部での圧着処理条件は均等です。
世の中には凝った造りや構造のケーブルはゴマンと御座いますが、今回の案件は極めつけ酷いとは言え、この様な雑、或いは稚拙な処理でその凝った造りが活かせていない事例は多々有ります。
皆様も手元のケーブルを眺めてみて、どうもイマイチなんだよねコレ…と疑念が湧いた際には、是非一度その端末処理を疑ってみてくださいね。気を付けて頂きたいのは、その処理をしたお店やブランドを責める事では無く、より可能性を求めての積極的な改善方向への疑念と捉えて行動して頂きたいな、と、私からのお願いはその程度ですね、しかし酷かったな、コレ(笑)
今頃はお客様宅でこのケーブルの変わり様、本来のポテンシャルにお客様自身が一番驚かれて居る事と思います、20年前の仇が取れたならば、私の仕事は十分役目を果たせたと思います…

 

手元のケーブルの接続、健全な状態ですか?→0466-20-5223