先日コチラで少し紹介しましたが、KS-Remastaを主催される柄沢さんの御好意で、でんき堂においても柄沢氏自らが手作業で作られる素晴らしいリード線の数々が取り扱えるようになりました。4,000円台からその製品は体感出来ますが、今日はちょっとお高い製品が出て来ます。
KS-Stage401EVO.1/高純度OFC単線(直径約0.6㎜)という(50,000円税別)かなりの高級品です。何故ここまで値が張るかは先方のページをリンクしておきますが、とにかく仕上げに手間の掛かったリード線とだけはご理解下さい、そしてたいへんその取り扱いは繊細であると。

 

 

今回はその高性能にして高価なリード線を、ちょっと珍しいカートリッジに装着です。
知る人ぞ知るHighphonic(ハイフォニック)の城井さんが、DENONのDL103に手を施してその特性を更に伸ばしたDL103PROの存在をご存知の方もおられるかと思います。こちらは業務用レベルでの必要とされるプロの現場に納める為に作られていますが、でんき堂を含めて一部の流通で入手できるDL103の秘密兵器です。
そして今回のはDL103PROの中でもDL103R PROの更にスペシャルな仕様と言う事で、どうスペシャルかと言うと、例えが通じれば嬉しいと言うか多分通じませんが、さいとうたかおの『ゴルゴ13』の作品内で、とある腕利きの銃の職人が、量産品のM16(←自動小銃ですね・・・)の数多のバレルを一本一本覗いては、これも駄目、あれも駄目、これは・・・う~ん、やっぱ駄目と次々ポイして行って、突然ハタと手が止まって暫く手にした一本の銃身をためつすがめつして

『・・・』

となるけですね。
つまりごく稀に、生産ライン上のレベルを維持した中でのとんでもない精度が出ている銃身を発見して選び出し、ゴルゴの為に凡そ一般レベルの精度を超越した銃をカスタムメイドする話な訳ですが、本来業務用途であった量産製品のDL103であり、その全てが彼らの検査工程を経て基準をクリアしたモノだけが市場に出るのですが、そのなかでもごく稀にとんでもない性能と言うか精度が出ているカートリッジが混ざってるそうなのです。要するに量産品とは言え、アナログカートリッジは人間の手作業で作られてますので、基準を満たした中でもとびきり上出来な物が出来得る訳です。
例えば30年も前のマツダの初代ユーノスロードスター、所謂てんろくエンジンですが、一部のマニアの間でとんでもない当たりエンジンの存在が噂されていて、私も一度だけそれと思われる個体のハンドルを握った事がありますが、凡そ吊るしの状態とは思えないエンジンフィーリングになんじゃこりゃ?と思った物です。
話が混乱していますが、要するにHighphonicの城井氏が思わず

『・・・』

となるDL103に遭遇する事がごく稀にあるそうで、その時に初めてDL103PRO“S”として通常のPRO仕様を遥かに超越した仕様として組み上げられて、ごく限られた幸運な方の手に渡るそうなのです。
残念ながらDL103を相当数触って眺めて来た私にも、本体やそれに添付されたチャートグラフやロット番号見てだけの

『・・・』

と、なれるだけの高度な選球眼能力は持ち得てはいません。以前城井氏に頼まれて納品したDL103が、後からとんでもないのが一個混ざっていたよと言われて驚いたくらいです。

今回その『・・・』仕様、しかもDL103Rの方でそれが見つかったとの事で、幸運にもそれを入手された方から、せっかくだから周辺もスペシャルに対応しようじゃないかと話が膨らみ、先に述べたKS-RemastaのKS-Stage401EVO.1/50,000円税別を奢り、シェルはMySonicLab SH-1RH-SLを指名。更に繊細な響き具合を狙って新製品のオーディオリプラス製石英カートリッジスペーサーを挟みます。
どれも手元が狂えば一発でお札が何枚もヒラヒラ飛んでいってしまう物ばかりで、日常普段から相当数のカートリッジ装着に携わっていますが、今回は流石に店舗のBGMもおしゃべりも無しでの集中力が装着作業に要求されます。特に、これはKS-Remastaさんのリード線をお考えの方にはハッキリ申し上げておきますが、出来るだけ腕の確かなお店さんを見つけて装着を依頼して下さい、お客様方の腕を疑いたくないのですが、一般の方々はやめときましょう、自分で付けるのは。勿論皆様のチャレンジ精神を否定する発言で無い事も併せてご理解下さいね。
要するに単線径のリード線に対して比較的柔らかめのリードチップの組み合わせは、装着時の力加減で一発でチップを破断します。勢い余って針先も飛ばせばそこでThe Endってな具合ですよ。更に慌てて石英の薄いスペーサーなんて床に落とせば割れちゃいます、泣くに泣けないね・・・

慎重な作業を終えて試しに出したその音は、もう既にこの針がDL103だったとは思えない領域の再現性、お客様も私もほぉ~って感心しながら聴き入るだけです。
標準を体現したかのような日本のMCカートリッジの代表的なDL103で、聴いた事もない様な領域に踏み込む感覚ってのは、職人がカスタムしたM16でゴルゴが、本来その銃の性能では到達し得ない距離の狙撃に成功する様な感覚と同じなんですかね?荒唐無稽な劇画漫画(←個人的には大好きですよ、ゴルゴ13)と現実を混ぜてのお話で申し訳ございませんが・・・

尚、でんき堂ではここに挙げたDL103PROもKS-Remasta製品もリプラスの石英もサービスも全て取り扱えますが、今回のDL103及びR PROの『S』仕様だけは通常販売製品としの価格を定めての取り扱いが出来ません。その入手は巡り合わせが全てだとだけご理解いただき、時間もお金も覚悟するからそれでもと言う方は、一度でんき堂までお声掛けくださいな。
また、KS-Remastaのシェルリード線に関わらず、カートリッジ / シェルへの装着は取り付けに纏わる事故が大変増えています、他店購入品でも一向に構いませんので、装着に臨んで危ないなと感じたり、装着してくれるお店が見当たらなかった際には遠慮なくでんき堂まで相談下さいね。

 

『仕事か・・・』→0466-20-5223