英国系スピーカーを中心にバイワイヤ入力タイプのスピーカーが結構存在いたします。高域用低域用にそれぞれ入力端子が備わったあれですね。普段は端子上下をショートバーやショートワイヤにて短絡させて用いますが、しかるべくケーブルを用意してアンプからそれぞれ高域低域と分けた接続を行う事で、そのスピーカーから得られる音楽的再現性は随分と表情を変える事が知られています。その際にアンプ側がAプラスBの二系統の出力端子を有す場合はそれぞれの出力ターミナルを用いての接続が叶いますが、ここで思いの外勘違いしてる方が多いのですが、2系統出力端子が備わっていてもアンプ的には一般的には2チャンネル構成ですので、AとBから出力される信号は根は同じ物です、要するに内部で1を2に分けてるだけです。
よって自分のアンプには出力が二系統無いので、バイワイヤ接続が出来ないと言われる方が多いのですが、その一系統から二本のスピーカーケーブルに均等に分岐する構成を作り上げれば結果は同じ、或いはA/Bセレクターの切り替え系統を経ない分、かえって得られる音質は増すくらいかもしれません。この方法をオーディオ的造語なのでしょうが、一般的に私達はシングルバイワイヤ接続と呼称しています。
例えば高低全く均等同質な線材を同長で複線用意し両端を綺麗に端末処理した場合には、スピーカーペアの高低域プラスマイナス8箇所及びアンプ側A/B各プラスマイナスL/R8箇所で総計16箇所の端末、例えばバナナプラグ等を必要と致しますが、アンプ側の高低域線を一纏めに処理して繋ぐシングルバイワイヤ接続ならスピーカー側8箇所、アンプ側4箇所の計12箇所の端末数となり、音質的にもそこに関わるコスト面的にも、こちらの方が優位かな?と私自身は感じています。

 

 

さて、写真です。どえりゃぁ端子数です、これでスピーカー一組分です。よくよく数えれば16端子並んでいます。されど左のアンプ側は4端子、右手のスピーカー用が12端子、してその目的は・・・
これをシングル-トライワイヤ接続ケーブルと言います。滅多に無いのですが、やはり英国系を中心に高中低と三段に入力が分かれているスピーカーがごく僅かに存在してるのですね。
バイワイヤ接続タイプで作られたスピーカーのそれを用いての接続時に得られるシングル接続と比した優位性を先程述べましたが、トライワイヤ入力に対してならば尚更その差は顕著に感じられると思います。
今回SAECのSPC650という人気ケーブルを用いてQED AIRLOCで作成したコチラは、左右2.5mペアですから、シングル-トライワイヤで作成するには総計15mとプラグ計16個、結構な金額とはなりますね。作成側としてもアンプ側の各端子3本づつの纏め処理等で通常のAIRLOC処理より結構な手間を使うのですが、このケーブルから得られる効果はその価格と手間以上であると一聴すれば分かって頂けると思いますよ。
せっかくのトライワイヤ入力タイプのスピーカーをお持ちで、未だショートバーなぞで上中下の端子を短絡されてお使いの方がいらっしゃいましたら、高価なショートケーブルなぞに投資なさる前にこの方法がある事も思い起こして頂いて、是非でんき堂にお声掛けくださいな。
一応筆を重ねさせて頂くと、アンプ側のAIRLOC端子に3本分のケーブルを一纏めに咬む為に、使えるケーブルの線径、即ち選択出来るケーブルの種類にはある程度の制約がある事は予めご理解下さいませ。

 

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