皆さん今晩は、本当にお久し振りです、お変わりございませんか?
5月は一度きりのご挨拶だった様に思います。6月に入り流石に何かをと考えている中に関東地方は梅雨入りしてしまいました、こうやってどんどん時間ばかり過ぎて人は歳を取っていくのですね、気が付けばオンキョーも過去帳入りした様子だし…

さて、ご無沙汰の間もでんき堂自体は相変わらずです。相談・販売などのオーディオ的な仕事全般は勿論ながら、相変わらず全国から預かるケーブル、アナログカートリッジ関連の手作業に追われる毎日です。その中でここ最近特に目に付くのが、数年前に活動を休止したらしい『オーディオFSK』の一連のケーブル類の手直しです。この衝撃的な内部仕上がりのケーブルに関してはお使いの皆様には少々伝えなければいけない事が有る様に感じます。いずれこの場にて紹介致しますが、想像以上に使用者の多そうなこのケーブルをお使いの方々がもしここをご覧になりましたら、一度その手元の製品の仕上がりを疑ってみるのもそう悪い事ではない様に感じます。まぁ他所様が過去に作ったお品なので遠回しな言い方で申し訳ないのですが…

 

以降今日の本題です、遡れば60年以上昔の1958年に端を発す、かつてNHKモニターと呼ばれた三菱の2S-305と言うスピーカーが御座いました。プロの現場では流石に現役では無さそうですが、プロ機とは言え一般にも流通したので、他のDIATONE製品と違ってハイテク漬けでは無い故にその製品寿命も堅牢な造りと相まってとても長く、未だに大切に使われている個人の方も多い様子のまごう事なき名機ですね。
使用続けるにあたってエッジが破れでもしない限り、唯一使い難いのがその専用の接続端子です。どうも三菱はこの手の製品を作る度に専用端子を採用する傾向が強く、以前コチラでオーストラリア製の端子を採用した2S-3003の項でも書いた様に、オーディオ趣味的な意味合いに於いての自由なケーブルの選択を極めて難しい物にしています。

 

 

写真はその2S-305をお使いの方からの御依頼に於いて、専用端子用に必要となるXLRプラグに対して御指名のスピーカーケーブルを配線を施している模様ですが、観察に優れた方なら既にお気づきの様に、この2S-305が採用した入力端子はXLRとは言え一般的なオーディオでお馴染みの3極では有りません、コレ4極です。
キャノンプラグ即ち必ずしも3極でないと言う事実もさりながら、4極の内3番HOT/4番COLDでしか接線の無い用い方自体も極めて事態を複雑にしています。2極で事足りる当スピーカーへなんで4極プラグを採用したのかは最早このモデルの開発に携わった1958年当時の関係者が事実上見当たらない現代に正確な理由など解ろう筈も有りませんが、プロ機故の発展性や将来性を持たせてあったのかなとは推測出来ます。
ともかく2S-305でスピーカーケーブルをどうにかしようと思えば、この4極キャノンをどうにかするしかありません。当店はバランスケーブルの作製も良く致しますので、普段からノイトリックの標準レベルの3極キャノンは手元に用意してありますが、流石に2極や4極それ以上の極数のキャノンプラグは改めて入手して来るより有りませんし、そうそう彼方此方で販売されている物でも有りません。
今回はお客様より提供された旧ケーブルから半田を解いてこの4極キャノンを取り外し、新規に用意したケーブルへプラグの再装着お引越しと言う形になりました。

 

 

 

はい、仕上がりました。QEDのスピーカーケーブルに新たに4極キャノンを取り付け、AMP側には同じくQEDのAIRLOC MINIを強固に圧着です。
1958年発表でかつ電気製品としては異例の長期間、およそ30年に亘って販売された2S-305ですが、それでも最終型でさえ生産終了後30年以上も経った事になります。流石に古いと言えば古いのですが、未だ形あるこの名機の現存個体に対してこの程度の配慮をもし示せれば、まだまだプロ機として活躍した現役当時の実力を伺い知る事が出来るのもまた事実です。

 

その端子故に接続ケーブル選びが難航している方がおられましたら、当店まで一声おかけ下さいませ→0466-20-5223