英米仏独伊の西洋喇叭に取り囲まれながら、僕は消えて行った仲間達の名前を叫んだ
on 2021年10月1日皆さん今晩は、台風が近付いているそう(9/30現在関東地方)ですね、皆さん各自気を付けてお過ごしくださいね。なんて事を私がここで言ったところで、それ以上にNHKが民放が新聞が気象庁が各関係機関が自治体がくどいくらいに注意喚起したところで、嵐になると態々海岸や用水路覗きに行って流される絶対不可避では無い筈の自滅的事故は必ず定期的周期周回性の彗星並みの確実性でもって起きてるんですがね。
さて、そんな嵐の前兆の様なタイミングで吉田拓郎の唄じゃないけど、肩迄伸び掛けた髪を後ろに結った何かと話題の男が、平民ではない家柄と血縁結びに帰って来たり、どっかの政党の総裁選とか、まぁ色々喧しい9月も今日でお終いです。実の所私自身はその結果には何の感慨も思想的思考も持ち得ないのですが、ただ一つの願いは、垢に塗れた俗世の煩いごとなぞ彼方に放って、皆さん是非各自オーディオでも弄って良い音聴いて下さいなと。明日から始まる10月ってそういう事に時間を傾けるのにとても相応しい時期だと思うのです!
閑話休題、写真はスタンドに載った英国Harbeth HL-Compact7の最新型『HL-Compact7ES-3XD』の横向きの御姿です。
今を遡る事30年以上前、当時の国産メーカー各社が、スピーカーに対して絶対無共振デジタルサウンド対応とか言う、今考えるとこっぱずかしくも意味不明なある種の無思考無思想無宗派型の(手元で確認出来る範囲での)数値至上主義的墓石型スピーカーを各社横並びで開発し総じて類した姿で並べたて、薄らデカいウーハーをぶら下げ無思慮に誌上に展開され市場に無遠慮にその音をドンシャンと喚きたてながら跋扈する中、箱の響きや音楽再生時の聴感の大切さと言う、ごく当たり前かつ当時の日本のオーディオ市場では丸で顧みられてなかった部分に衆目を集めさせた初代から数えて、一体こちらは何代目でしょうかね?
ともかくこのHL-Compactシリーズが数年の間隔を置いて変わらぬ姿でその内容が更新される度に、あの阿鼻叫喚のデジタルサウンド地獄絵図だった当時の店頭の悪夢の記憶が鮮明に脳裏に耳に蘇ると同時に、すっかりこの業界の売り場で無闇に歳ばかり重ねた自分の姿に行き当たるのです。ケンウッド~!パイオニア~!オンキョォ~!等と、映画の最後の方で州警察に取り囲まれたランボーみたく、敢え無く散っていった戦友の名前を叫ぶみたく僕も叫ぶですよ。ビクター!オット~!ダイヤト~ン!みんなぁどこに行ったんだぁ~~!?みたいに(笑)
すいません、つい消えて行った左程個人的には最後まで本質的な意味での愛情を抱く事が出来なかった国産3WAY型の戦友達を思い返してつい取り乱してしまいましたが、当時の店頭で無闇に幅を利かせていた数多の家電系及び一応オーディオブランドを自称していた数社の最近消え果てたメーカー謹製の3wayのお荷物失礼、大物共は最早壊滅し一切その姿形面影もどこにもなく、そもそも国産ブランドのスピーカーなんてとんと見掛けやしない現在に、ただこのハーベス/Harbethだけは中身は進化こそすれ形を変えずに英国人的頑固さでもって造り続けられ、常にそこで美しい響きを奏でていてくれることが、物凄い勢いで世の中が移り変わり当たり前だった物が消えて行く中に、私にとっての一種の精神的安全弁なのです。
と、大仰に話を書き立てておりますが・・・
今日の主題はHarbethではなくてこの僅かに煽られた傾斜スタイルのフレーム構造型スタンドです。現在JBLでは70年代的クラッシックスタイルの復刻として、『L-82 Classic』と言うなかなかその見栄えも鳴りも好ましいスピーカーを展開しているのですが、その専用スタンドとして用意されたのが写真のコチラ、『JS-80』となります。JBLの特定のスピーカー用に用意されたスタンドを何故ハーベスに?と思う向きもおられましょうが、本来スピーカーとスタンドの関係は使用環境に於いてのバランス感覚であって、先のHL-Compactも初代には英国オリジナルのスタンドが用意されていましたが今となってはそれもなく、最新型の7ES-3XDの現在は日本側で用意されたスピーカー本体に見栄えを整えたなかなか高価な木製スタンドが用意されている次第。勿論それは悪くはないのですが、初代のスタンドはやや背が低く、現代のそれはやや値段がお高い、地震の時はちと怖い。そもそも本国では専用スタンドが用意されていない様子なので、もっと自由に選択肢があっても良いのでは無いか?と、ハーベスの店頭展示展開時に物色始めたのがこのJBLのスタンドに行き当たったきっかけです。勿論超高剛性型の金属系弩級スタンドも数社見掛けますが、ハーベスが本来旨とする響きを抑え込ませすぎない鳴りを尊重し、その見栄えを尊重したバランスよい物を探すとすれば、サイズも含めてなかなか選択肢は少なくこれが結構難儀しました。私も当初JBL L-82専用の一言に惑わされ何度もそれ自体は目にしながらもこのJS-80の事はハーベスのスタンド探しの検討の対象から外れていたのですが、ある時そのサイズを確認して『あれ?ぴったんこじゃん』となって急遽導入を図ったのですね。
そしたらなんと抜群の納まり具合で、私もビックリですが来店されたお客様方にも『これ本当にハーベス用じゃないのか?』と驚くくらいの相性の良さ。天面(スピーカーを載せる部分)サイズは実測で(何故か資料には数値が載ってないのですよ)横253㎜の奥行255㎜。因みにこのハーベスの底面は横275㎜の奥行300㎜ですね、背面に滑り防止でL字型に高さ81㎜の滑り防止の支えが備わり、約9度弱の傾斜によって重心が後方に下がり安定します。このスタンドにハーベスを載せてツイーター中心を床から測るとその高さは約850㎜でした。ご存じの通りスピーカーのセッティングは、一般的にはその最高域を指向性が強くサービス範囲は狭い故に設置調整の際の基準とする訳ですが、一般的な試聴環境での低めのソファーや一般的な椅子に腰かけた際の耳の穴の位置を大まかに測ってみると、私の場合で115cm~130cm程度の範囲でした。つまり実際にはスタンド面傾斜角8.6度程度ですが、その数値を元に底面長さを基準にサインコサイン駆使してといってもWEB上の簡易計算ソフトに数値を入力しただけですが、ともかくその計算の結果はスピーカーフロント面から2m先で得られる高域中心点高さは約1,150㎜、やったね!って感じです。勿論後ろへ下がれば角度故にそれだけ高さは上がっていきますし、試しにスピーカーセッティング時の一つの基準である3m辺の正三角形配置時でのその高域の頂点の中心高は約1300㎜と、非常に興味深い結果となりました。
如何でしょう?JBLの該当機種は当然ですが、それに近しいサイズのスピーカーをお持ちで未だ良いスタンドに巡り会えていない方にとってはこのJS-80の存在はその見栄えも含めて朗報とはなりえませんか?特に価格が定価でもペア33,000円税込み、実売は3万円を下回ると言うのが、昨今のオーディオアクセサリー類の高騰下にあって実に魅力的です。先日ヤマハの古いスピーカーを所有されているお客様がドンピシャじゃないか!と喜んで注文下さいました。先程僕が叫んだ消えて行ったスピーカー達にもこのスタンドが丁度良い物が沢山ありそうです。何しろ当時は妙に大きなスピーカーを専用スタンドを用いてさえ妙に低い位置で設置して態々高域の中心から耳を外して音出していた姿が何の疑問も持たずにまかり通っていたので、設置位置の低さゆえに低域は床の反射を被るは高域はピント外すはと散々だったですが、もしかしたら当時イマイチだった彼らにも再び火を入れてこのスタンド改めてキチンとセッティング出せば、成程国産ブランドも悪い物を作っていた訳でもなかったのねと見直す機会になるかも知れませんね。
私自身はハーベスHL-Compact系列もさりながら、ほぼ同サイズのスペンドールのSp-1/2及び2/3シリーズへの使用にとても期待している所であります。
尚、最後に設置の際の注意時点として、最近のスピーカーは背面のスピーカー端子が大きく飛び出しているものが多いのですが、当スタンドは後支えのL型アングルが底面から81㎜立ち上がって居る事を念頭に置いて頂き、実際に使ってみたいスピーカーの端子下端がスピーカー底面より最低82㎜以上の高さである事を実測確認頂けると宜しいかと思います。端子位置がそれ以下ですと当然アングルにぶつかりますし、最悪金属製枠ですからプラスマイナスの端子が左右同時に接してしまうとショートしてしまうからですね、以上。
因みに私自身は初めて自分の意思で買ったスピーカーは34年前の山水でした。手にしたことが嬉しいだけの、今思えば未熟もいいところのセッティングで酷い音を晒していましたが、このスタンドで改めてキチンとセッティング出してやりたかったなと、今はブランドごと亡きその実機の姿に想いを馳せながら今日は終いです。
本当にみんな、あれだけあった国産オーディオブランドもモデル達も、一体全体どこへ行っちまったんだろうね・・・
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