皆様こんばんは。先日NHKで再放送された山口百恵の武道館でのラストコンサートが話題になっていましたね、開演が1980年10月5日だったそうで、もう40年ちょっと経った?参ったね、歳ばっかり喰いやがる、いやだいやだ…
さてそのほぼ同じ頃の前年の1979(昭和54年)年の年の瀬に発表されたのが、Technicsの今となっては伝説的なLPジャケットサイズプレーヤーのSL-10。約31cmスクェア、厚み9cm程度の箱にリニアトラックアームを納めたフルオートタイプのプレーヤーにして、T4P規格(←当時の松下が主体となって企画した、オートプレイヤー用の、ワンタッチ装着を企図したカートリッジ規格)としては極めて異例のMCカートリッジの採用、フォノイコライザーの搭載など、よく言えば当時の日本の勢いを感じさせる、ハッキリ言えば変態的な、二度と作られない作りようが無い内容のレコードプレーヤーです。

 

 

写真はそのSL-10の兄弟機で、更にプログラムプレイ機能を搭載した変態度に輪をかけたSL-15ですね。SL-10の写真が用意出来なかったので個人所有機で申し訳ございませんが、左側の曲順選択ボタン以外は基本的に同じで、コチラはその機構搭載故にフォノイコライザーを降ろし、故にT4Pとしては標準のMMカートリッジを採用したモデルでサイズ等は同じです。一般的概念のレコードプレーヤーに丸で見えない先進性が伝わるでしょうか?これが40年ちょっと前の日本製の威力です。
さて、主にその両モデルですが、機構部の小型化と複雑さ故に実動残存機も40年も経てばすっかり減ってしまうのは当然ですが、その特異性故に一部のマニアを中心に根強い人気を誇り、登場以来40年以上を経た家電製品として考えれば、異常な取引価格で流通する姿を今でも時折見かけますね。勿論とっくのとうにメーカーとしての修理は放棄されているので、好事家毎の知恵と工夫と努力でどうにかその命脈を保っているのが実情ですが、実際にきちんと整備されて動くそれは、確かに優れた、一般的レコードプレーヤーとは全く違った使用感覚と再生音を提供してくれます。残念ながら私のは3度の重修理を経て力尽き、最近一線を退きました(←要するに金使い過ぎ)

今日のお仕事はそのSL-10にアース線を用意する事です。コチラ、当時のシスコン的立ち位置なので、設計上のコンパクトさもあって、当機種出力端子へ接続するケーブルが、形状自体は一般的なRCAなのですが、L/R端子及びアースを一纏めにしたワンタッチ構造の専用設計の付属ケーブルが用いられていて、当時の日本製の通弊と言うか勢いと言うか、その仕様故に現代に通じる共通性が存在しないのですが、ともあれこの専用線が断線した場合や、ケーブル交換などの積極的音質向上を図った際にはそこが阻害要因になるのです。それでもRCA端子の方は端子外径が太すぎないタイプのケーブルを用意出来れば一応の解決を見ます。問題はL/R出力端子の中央部に設けられたアース端子で、一般的レコードプレイヤーには螺子留め端子が用意されるこの部位に、このプレーヤーは先の専用端子に用意された突起挿入、RCAのオスピン同径の端子を利用しての専用接続としているので、一般RCAケーブルに換装した際にL/R両端子の中点に3㎜程度の孔が覗いてるだけで、奇麗なアース配線を行い難くなる訳です。

 

 

写真はこの貴重なモデルを未だに大事に使われているお客様の依頼によって作成した、SL-10系列専用アース線です。RCA端子をばらして中央のピンのみを用いて作成しました。因みにRCAピンはペンチで引っ張ったくらいでは抜けませんし、抜こうと芯をペンチで握った時点で傷ついたり潰れたりしますのでお勧めできません。今回は極めて対象範囲が狭いお話ではありますが、当該機所有でRCAケーブルを交換されたいけど困ってしまった方は、一度でんき堂までご相談下さいませ。尚、今回のこのアース線は1.25mで2,500円でお作り致します、当店が普段作成している両端がY型タイプのアース線に比べて些か値が張るのは、勿論RCA端子を一つばらす為とそれに伴う手間の分とご理解くださいませ。

しかし何ですね、私はまだ子供だったので40年前の当時のオーディオ店頭や歌謡界を正確には把握していませんが、全く凄い物が店頭を賑わし、今とは違ったレベルの方々が歌っていたのですね。当時の機械を触り、古の音盤や画像に接するにつけその思いが増してきます…

 

コチラに限らず、多様な線と接続機材に必要な端末形状でのアース線を作成していますよ→0466-20-5223