皆さん今晩は

あっという間に混乱の2020年は最後の月に突入してしまいました。個人的には色々思うところもありますが、ともかく今月もでんき堂は全力運転ですよ!

さて、先月は電源ケーブルのことばかり書いて居た様な気がします。実際にはでんき堂だってオーディオ屋なのでそれらしく、各種ブランドの機材を販売したりレコード盤磨いたりアナログカートリッジの調整したり配達にも出かけたりとその活動は多岐に及んでいるのです、決して電源ケーブルのキワばかりを弄繰り回している変態ショップなぞとゆめゆめ思うなかれ、悪しからず。

 

 

今回のお仕事はブランド立ち上げ以来早10年以上を経て日本では最も有名なスピーカーケーブルブランドになったんじゃないかなと思われる、Zonotoneの6NSP-Granster 5500α、4芯ケーブルでのシングルバイワイヤ作成の図です。即ち4芯の線材をスピーカー側ではHi側入力、Low側入力それぞれに選り分けてQED AIRLOC処理を施し、中村製作所のアモルメットコア、NS-221も左右に通します。

 

 

そして上流、アンプ側ですが、こちらは先ほど選り分けたHi側、Low側を一纏めに束ねてQED AIRLOCを施します。稀に手元のアンプにA-B二系統の出力がないので、バイワイヤ接続が出来ないとお考えの方を見掛けますが、基本的には皆様のお手元のプリメインアンプなどは2ch構成のアンプであって、出力端各左右に対して1系統であっても2系統であっても内蔵するアンプの数自体に変わりが有る訳でもなく、実際にSPターミナル2系統装備のアンプのA,B両出力を塞いでのバイワイヤ接続よりは、1系統の出力に対して均等な接続を施したシングル-バイワイヤ接続のほうがスピーカー出力選択セレクターの影響を受け難い音質が愉しめる様に個人的には感じています。
勿論、スピーカーに対してバイワイヤ接続を行う事で目指す効果と得られる結果は、そのどちらも基本的には同じなので、どちらを選択されるかは皆様のセンスに委ねたいと考えますが、根本的な両者の違いでハッキリしているのは、シングルバイワイヤでは端末が12箇所でありバイワイヤ接続では16箇所であると言う点ですね。即ち4芯分のケーブルの長さは同じでもQED AIRLOC処理時などでは4箇所分の金額的差が付くとお考え下さい。
ついでに記しますと、あまりにも極太線を選択した場合は、二本を一本に束ねてのシングル処理は所定のサイズで作られるプラグへの二者同時挿入の加工は物理的に難しくなりますので、その様な超極太線選択の際はシングルバイワイヤ加工が叶わぬ事がある事も予めご理解くださいませ。
尚、マルチアンプ使用時のバイアンプ接続は、接続時の姿はよく似ては居ますがその意味はかなり違うので、用いるケーブル処理は左右両端16端子処理の物のみとなります。

 

 

コチラはその端末処理の拡大図ですね。2芯ずつ選り分けてプラス用マイナス用に一纏めにした上で、そのままでも問題はないのですが、今回は各々伸縮チューブを被せて仕上げ、更にQED AIRLOC ABSバナナ端子の樹脂製カバーにも伸縮チューブを大きめに被せて全体の見栄えに高級感を伴わせました。これらは全てご注文頂いた際にお客様の好みにおいてオプションにて承れますので、件のZonotoneの他、代表的な所でもSAECやortofon、その他多数のアクセサリーブランドが用意する4芯ケーブルでシングルバイワイヤー線の作成依頼をされる際には是非その仕上がり、見栄えも含めてご検討なさってくださいませ。
こういった接続にあたっての不明な点、わからない点、今更他所では聞きにくい点など、遠慮なくご相談くださいね。

 

 

お次の作業は最近何かと喧しい、不敗を誇る割にはあっけなく陥落したマジノ線とプライドの塊のド・ゴールと宇宙からやって来たシトロエンDSとマカロンと花と芸術の都と警官多数で有色人種フルボッコで御馴染みの些か偏見気味の印象でごめんなさい、ともかくそのおフランスのとってもシェ~なケーブル、Real Cable社のHD TDC600ですね。メーカー完成品では2mペアの物が税込み115,500円もするという、改めてシェ~ってなもんです。
今回はお客様がその切り売り仕様、恐らくメートル辺り1万円はしたと思われる線を苦労してプラグ装着したと思われる状態のお預かり手直しです。何しろこの線、一本当たりに12本の被覆を被った線材が通っていて、両端末左右外皮4回を剥いた上で更に48回線剥き作業してその他緩衝材として内包されているドレインも7本ずつ4回延べ28回切り落として漸くプラグ装着作業に辿り着くという、正直言ってとても個人作業向きとは言い兼ねる凝った作りの線なのです。写真からもこの線を手にしたお客様の苦労が偲ばれます。そもそもこの片側12本の線を剥いたら色分け不明瞭な線材を各6本ずつに振り分けてプラグに留めるのですが、複数束ねられた線材の先端の長さを揃えながら剥いてプラグを装着するのは実に至難の業であり、無事付いた所で複数撚線多芯状態にイモネジ留めのプラグ据えてもキチンと留まろう筈も無いのですね、よってやはりここは確実な接点を確保し装着後には絶対プラグの抜け落ちがないQED AIRLOCの出番です。

 

 

フランスの誇る超高級ケーブルに英国人の考え出した仕組みのプラグを日本人(ミーのことですよ)が装着する姿に、ある種の加虐的趣味性を感じながらの作業です等と書くと、文頭の言葉は何だったのだ?やっぱりただの変態ショップじゃね~かと突っ込まれそうですがそれはさておき、各6本にまとめられたばらばらの線材に伸縮チューブを左右両端±8本分赤白と被せて見栄えも整えプラグその他奇麗に仕上げた姿は、ここまで辿り着くのに私でも相当の技量と時間を要してしまいますが、写真で確認頂ける見栄えは如何なものでしょうか、ここまで仕上げてようやく彼らの誇る高級ケーブルも本来の性能を発揮出来そうではないですか?
とどめのアモルメットコアは流石にこのReal Cableの線径が太いだけに、内径16㎜の大口径のNS-295を用いました。多少の追加工賃を頂いた案件でしたが、この仕上がりならばきっとお手元にこのケーブルが帰って来たお客様もその見栄え、接続具合、音共々満足いただけたのではないかな?と思います。

 

皆様も高級多芯線タイプのスピーカーケーブル買ったまではいいけど、こんなもんどう処理すりゃええのよ、とか、プラグ取れちゃったよ、シェ~!ってなったらでんき堂まで是非どうぞ、他店購入品オークション入手品中古品製作途上挫折品遠慮なくどうぞ。赤塚不二夫のイヤミみたいな言動はすれど靴下だけはちゃんと履いた店主がご対応いたします-0466-20-5223