皆様今晩は

でんき堂は本来オーディオショップなので、店頭にいらしたお客様へスピーカーやアンプの様なオーディオ製品が『これ下さい』とほいほい売れて行けば何よりなのですが、世の中そんなに甘い訳もなく、私の一日の仕事での占める割合は、毎日ほぼ営業時間一杯、閉店後も居残ってアナログカートリッジの針先チェックやシェル交換、リード線装着にケーブル作成に半田やAIRLOC等での端末処理、電源ケーブルの作成やリペア、お客様要望の各種カスタマイズに時間を費やす状態となって来ています。
それが皆様のオーディオ遊びにとって役に立ち必要とされる内容で、そこに需要があり私の技量で応じられる限り何であれ喜んでお受けする積りですが、北海道から九州、沖縄までに津々浦々に亘って、ケーブルの先端を半田して欲しい程度のお仕事も頂戴してる現状を鑑みるに、オーディオを扱う店舗が30年程度前には当たり前だった如何にもオーディオ店舗らしい本来あるべき作業を、何故だかあんまり受けてくれなくなった結果なのでしょうね、残念な話ではありますが。
勿論それらは私にとっては大切なお仕事の一環なので、どちらにお住まいでもオーディオに纏わる瑣末な作業でも、困った際には遠慮なく当店との距離に関係なくお仕事御依頼下さいませ。他店購入品、オークション品等その入手経緯は問いません。
そもそも日本一の物量を誇るオーディオ売り場を有す超大型家電カメラ量販店が、規模と集客力と安さとそこから生じるメーカとの特権的関係を武器にケーブルやアナログカートリッジを売り散らかしても、その調整や処理に関しては一切関わろうとしないその姿勢にそもそもの問題があるのですがね。

 

 

さて、今日のお仕事です。ここ昨今、超高級アナログトーンアームで有名なSAECさんが18年前に販売を開始した高級電源タップのTAP-PLUSをカスタマイズの御依頼です。といっても私は本来メーカー製品自体の完成度に疑念を持つタイプでは無く、基本的にはそれを信じて普通に使えば良いと考えるクチで、構造変更や大幅な改造を施しての俺様サウンドを追及したり勧めたりするような事は基本的にはしておりません。要は加減とバランスの問題であって、その製品に対して、例えば料理で言えば調味料の一振り程度の一工夫をお客様自身の要望に於いて行いたいだけなのですね。今回は正にそんな感じですかね。

 

 

こちらがその依頼を受けたTAP-PLUSを開けた姿です。お客様としては左下に写るインレット端子を交換したら今より更に良くなるかもしれないから、JODELICAのETP-600Cuに交換してみたい、して欲しいと言う事なのです。私共の方から『このタップは値段の割にここが金掛かってなくてしょぼいから交換するべき』なんてどっかのブログで見掛けがちな断定は少なくとも私は致しません。精々『ご提案面白そうですね、コレコレ然々のお時間と費用でお客様の望みは叶いそうですから、宜しければやってみましょうか、ついでに今人気のアモルメットコアでも通しておきましょうか?』って程度です。

 

 

作業内容を了解いただき早速開始です。元のインレットは外しまして配線や接続状況も確認し、筺体内部に溜まった塵埃も綺麗にしておきます。

 

 

左側が今回お客様御指名でかつお持ち込みなされたJODELICAのETP-600Cuです(勿論当店からも購入出来ますよ!)。右側の取り外した既存プラグ上に見える電源線端末は、当店お得意の英国QED AIRLOC応用の角圧着処理を施した姿です。これを新規のインレット、JODELICAに据え付けます。

 

 

さてこうなります。その締り具合、取り付け具合の確実性ではこのタイプのインレットに対しては、これ以上ない確実さと強固さを確保出来ていますよ。同時に中村製作所のアモルメットコアも通しておきます。

 

 

電気回りなので各所入念なチェックを済ませて筺体の螺子も一通り締めあげて、最後に通電チェックです。ごく簡単な方法ですが、通電状態でテスターを当てれば極性が測れます。即ち、テスターの一方の極を握った状態で、コンセントの二本の縦線の短い方がLIVEですから、内部で正しく接続が行われていれば、そちら側にテスターの片方の極を挿せばが電圧が高く表示されます、写真では約58vと出ていますね。

 

 

COLD側、即ちコンセント縦線長手側は低く表示されます、写真では約4vと表示されていますね。どうやら私の配線は間違っては無かったようですね、一安心です。後は実際に機材を接続して音出し確認もして異常のない事を確認出来たら梱包してお客様宅へ出荷です。そう、つまりこのお仕事は、遠方の方との電話での打ち合わせの積み重ねでの作業なのです。御来店頂くなくとも双方の信頼関係が成立すればこの程度のお仕事は当店では気持ち良くお受け出来ますよ。

 

ちょっとした工夫をしてみたい、でも自分ではちょっと自信がないな、近所のお店も相手にしてくれない→0466-20-5223