皆さん今晩は、新年早々金に汚い元経営者が高跳びしたり、第三次世界大戦でも引き起こすのか貴様らと言いたくなる様な出来事があったりして、中々落ち着いて音楽聴く気にもなれない様な2020年の幕開けとなりましたね。
オリンピック目指して楽器のケースに潜んだテロリストがプライベートジェットで大挙してやってこなきゃいいですね、’72のミュンヘンオリンピックの悪夢再来なぞご免なのですが・・・

 

さて、新年最初の大仕事と言うと大袈裟ですが、相当な作業技量時間を要した作成がありましたので皆様に公開です。メーカー端末組み上げ済み完成版のスピーカーケーブルって、なんとなく高いなって感じてる方にも、なるほど手間が掛かっているのね、ケーブルだけ買って来てちゃちゃっと剥いて繋いでお終いって訳にはいかないのね、と伝われば幸いです。

今回の作業はフランスのブランドでRealCable/リアルケーブルのHD-TDC600と言う、バナナプラグを擁した完成版だと2mペアで105,000円もする高級品です、今回預かった物は4mペアだったので恐らく145,000円したのでしょうねぇ。それを半分にちょん切って切断側に新しくQEDのAIRLOC端末を据えて、既存のプラグも同じくQED AIRLOCにコンバートして2mペアに新しく仕立て直すと言うのが今回のお仕事です。
そもそもこのケーブルをお使いのお客様が、その使用環境の変更に伴ってケーブルを半分に切り詰めて元の形にプラグも据えて欲しいと、このケーブルの輸入元に依頼した事に始まります。そこからの詳細に関しては多くを語りませんが、なんだかその経緯が色々あったみたいで、最終的に当店にその依頼が輸入元経由で舞い込みました。輸入元も複数のオーディオ専門店も何故か受けなかった仕事を回して貰えるなんて遣り甲斐あるってもんじゃないですか、腕が鳴りますね。

 

 

さて作業開始、10万円超す様なケーブルをチョキンとやるのは結構勇気いるんですよ、今回はお客様に『ここで切れ』って目印張っておいて下さいとリクエストを出しておきました。
あ、書き忘れていましたが、今回はお客様は遠方の方なので、全てメールと電話でのやり取りの積み重ねで行っておりますので、作業開始までには双方の思い違い等起きないように十分な話し合いを重ねています。皆様もこういった依頼の際は面倒臭がらずに是非電話で直にやり取りさせて下さいね。
写真①はその断面、水道ホース並みの外形の内側には各種線材をミックスした12本の芯線と6本の恐らく防振目的のドレインが通っています、凄いですね・・・

 

 

②外皮を剥いて、と言ってもそれがまた大変で、切り目入れたくらいでは外皮は抜けません、内線に傷を入れたくないので縦に刃を当てる方法もとりません、綺麗に剥く方法は一応秘密です、ごめんなさい・・・

 

 

③剥いたら今度はドレインを切り落としていきます、外から見る分にはドレインも導通線と大差ないので、うっかり切り間違うと大変な事になります。

 

 

④今回はシングルワイヤなので、12本の線を6本づつに分けて製品版オリジナルと同じように捩りをかけて行きます。

 

 

⑤プラグを付ける分剥きだしますが、捩った状態で剥き先長さを整えるのは至難の業ですよ。

 

 

⑥今回はQEDのAIRLOCでも外装を奢ったメタル仕様の選択です、プラグカバーを先通し式なので、これを通し忘れて圧着作業するとリカバリー出来なくなります・・・

 

 

⑦圧着作業、全方位から相当な力で一気に締め上げる完全な専用工具です。今回は圧着作業は8端子8回ですが、ここに持ち込むまでに総計外皮4回、内線48回剥き、ドレインカット24回その他諸々、通常のケーブル作業に比して数倍の作業が伴うので、通常のAIRLOC処理にプラスした追加料金を頂戴しています。

 

 

⑧圧着作業後の姿です、この中に6本分の線が二度と取れない力で強固に圧着されています。因みに大概の製品はプラグはイモ螺子留めで引けば抜けます、それは後程ご覧にいれます。
AIRLOCはプレス機によって線在自体がプラグと金属的にほぼ一体化しています、QEDではこれを冷間溶着と呼称していますね、なるほどと私も思います。

 

 

⑨伸縮チューブ等の処理も色々済ませて見栄えも整えての姿です。自分で言うのもなんですが、仕上げは大変綺麗になってるのですが、こうなってしまうと内部の手間や既成品との違いがアピールし難いので、今回改めてくどくどと写真を添えてそこまでの作業をお見せした次第です。

 

 

⑩さて、こちらはメーカー完成版状態の既存端子側です、外見的には十分な仕上がりですね。

 

 

⑪こちらもQED AIRLOCにするので端子の取り外しに掛かります。

 

 

⑫ で、端子のイモ螺子外すとやっぱり撚った線に直留めでした・・・
その手法自体を、いい、悪い、とあげつらう積りはありません。ただ、この方法は多芯線の場合は尚更ですが、沢山束ねた線材自体にプラグ内部で均等な圧力で接続は叶わないのが容易に想像出来(ネジが線材の束の中を泳ぐ)、そんなことする必要は全くないのですが、プラグ自体を強く引けば抜けてしまうのも事実です。
これ以降は縮れた端末部を切り落として写真④に続く作業の繰り返しです。

 

 

⑬写真は外したプラグの内部です、二本のイモ螺子で互い違いに締め上げています。二本のネジは筒内で前後にずれていますので、線材自体を締めあげる力はありません。線の被覆ごとイモ螺子で締めあげて力技で外皮を貫通させてその先端を束ねられた状態の線材にタッチさせると言う手法もありますが、今回の線の様なプラグ内いっぱいに複数の線材を詰め込んでいる場合には無理ですね・・・

 

 

⑭延べ4時間ちょっと掛けて完成です、綺麗でしょ?音の変わり具合は納品後のお客様からの感想を待つ事としましょう、流石に大変だったですね・・・

 

先日ここに記しました様に、店頭で実際に端末処理したスピーカーケーブルを導入までの扱い易さの観点で暫時掲載して行きます。表現基準としては

五段階表記で
技術的難易度を易しい方から順に、  A→B→C→D→E 
作業工程や所要時間を少ない方から、 
1→2→3→4→5

と、まず決めまして、例えば一般論的に最も扱いが簡単なA-1がホームセンターなどで買える100円/m程度の二芯平行線だとします。カッターナイフだけでも対応可能としておきましょう。
因みにE-5は事実上一般個人レベルではやめておいた方が良いと思われるレベル、或いは出来たとしても、工具などの投資費用と所要時間で、それを趣味としない限りは費用対効果が得難く、処理はプロに任せた方が良いと理解下さい、と言う事にしておきましょうか。
因みに、最も当店でも市場でも人気の高いと思われるzonotone 6NSP-Granster2200αは現時点でC-3に分類しておきます。

その上で今回のRealCable HD-TDC600

D’-4+

と致します。AIRLOC処理以外はやってやれない事はないですが、まぁ事実上、それ自体を趣味として愉しむ方以外には個人での作業はお勧め出来ませんとご理解下さい・・・
その上で綺麗に仕上がったこちらのケーブル自体の性能が大したものである事は、勿論お約束出来ますよ。

 

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