なんだかE.L.Oのジャケの様な写真ですが、こちらは先日開催されていた東京インターナショナルオーディオショウでの、開催場所たる東京フォーラム、ガラス棟会場での眺めです。無駄に空間をとったバブル期その物の設計ですが、夜になるとこの様な怪しい光芒を煌めかせてなかなかの景色を魅せますよ。皆様も来年のショウ開催時にでも是非お出かけになって、その眺めも併せて愉しんでみてくださいな。
尚、有楽町駅が最寄りと紹介される同所ですが、そもそも旧東京都庁があった場所で、東京駅の丸の内側からも歩いて大した距離じゃないし、往時の姿を取り戻した辰野金吾設計の煉瓦作りの日本の玄関駅の威容を眺めながら、その向かいに見える、外側だけ往時の雰囲気で残された東京中央郵便局も併せて、歴史を積み重ねた煉瓦アーチ沿いに歩いて行くのも楽しいですね。

 

 

さて、本題。
毎度お馴染のDL103の姿ですが『おまえ、ピント針先に来てないじゃん』と思われた方はなかなかの鋭さ、でも更に観察力がある方は、Lch担当のリード線がホット(白)コールド(青)で入れ違ってる事に気がつくかもしれませんね。そう、今回はこのリード線の接続が主役なのでピントはここに来ています、即ち逆相接続の図です。勿論写真で見えないR側も逆にしてありますよ。
さて、これが一体何を表しているのかと分かりやすく言えば、スピーカーかアンプ側のどちらかで、スピーカーケーブルを繋ぐ際に両チャンネルともプラスマイナスを入れ替えてしまえば電気的逆相が起きるのですが、そんな事して何になるのかと言うと、どうにもLP時代(私的には1950年代後半から1980年代前半と捉えています)の音源は、録音時での逆相があまりにも多く、下手をすると電気的正相で聴くよりも逆相で聴く方が遥かにディスクから情感豊かに立体的な音場を取り出せるのではないかと言う、極一部のベテランジャズマニアやミュージシャン系には当たり前であり、オーディオ業界的にはほぼ黙殺及び等閑にされて来た事実に対して、私自身にとってはここ暫くの大きな疑問の入り口となった部分です。
要するに全く違った表情を見せてくれます、この両者を聴き比べると。その差を明確に感じるには左右のスピーカーの均等で慎重なセッティングが重要ですが、その話は一旦脇に置いておき、今回は電気的部分のみに話を絞ります。因みに当店でも取り扱いのあるZANDENの社長が個人的に有すLPを1万枚だったかな?(間違ってたらごめんなさい)を、ともかくそれらをイコライザーカーブの検証を含め聴いて検証した際に出た答えは、1980年代でさえRIAAカーブの盤なぞ滅多にないのでは?と言う衝撃の結果及び、レコードレーベルで言うと9割以上がそもそも録音時点で逆相なのではないか?と言う、それを事実だと断定して言うと語弊があるので、レコード再生を真摯に追求される立場の方が丹念に検証した結果の一検証結果と表現しておきますが、ともあれどうも私達が信じて疑わなかった部分も、実は色々と見つめ直さなきゃいけないのではないのかなと言う良いきっかけを、私自身は学んだ良い機会となりました。
因みに私は1万枚もソフトは所有しておりませんが、好んで聴く音楽の録音された時代性の関係上、自己所有のシステムのスピーカーの接続を左右ともプラスマイナス逆に捻ってしまっても、ほんの僅か二、三枚のDiskを我慢してしまえば、残りの普段良く耳にするディスクはどれもこれもが逆相接続で聴く方が生き生きと部屋全体の立体的に伸びやかに響き渡り万華鏡の様な音場が展開するというありさまで、一体自分は今まで何して来たのだろうか?と、ちょっとしょげてるところです。
例えばZANDENやSOULNOTEの様な高額なフォノイコライザーを有している方、或いは位相切り替えスイッチ付きの機材をバランスケーブルで接続されている方は、ボタン一つで容易にその聴き比べが叶うのですが、そうでない向きはどうするのか。毎回機材の裏に潜ってスピーカーケーブルを差し替えるのか?と言った煩わしさが付きまといます。
それで今回は熱心なお客様の提案にお応えしての、カートリッジ接続時での逆相接続を実現してみました。更にDL103系列なら安定して使い易く手にも入れ易いので、既にこのタイプをお使いの方が同じくもう一個手元に用意して、シェルやリード線も同条件で逆相接続して付け替えて正装、逆相を手早く聴き比べてみましょうよと。
勿論腕に覚えがある方が毎度リード線をホットコールド差し替えて試すってのもありですが、どう考えても危険だしリード線自体、特にチップには何度も差し替えるだけの耐性は実の所有りませんので、是非ユニバーサルアームの方はもう一つカートリッジをリード線を逆に組んで所有してみませんか?と、そういう提案です。少なくとも逆相で聴いてみた往年のジャズやロック、どうにもスピーカーの向こうにぺたっと張り付いた様な鳴り方のクラシック等のその音は、どっちが正しい、ではなくて、びっくりして頂ける事だけはお約束出来ますね。
尚、MMタイプのカートリッジではコールド側をシェル/アーム側に落としている製品が多いので、この接続はうかつにはやらない方が良いのですが、MCタイプならまず問題ありません。

先日高名なオーディオ雑誌で、逆相など気にする事はないと書かれた記事を見掛けました。
私自身はそれも一論だと思っていますので、これより少し前に、レコード盤製作時におけるEQのカーブを、つまりある時期以降は制定統一された事になっているRIAAカーブへの疑念から生じた、各種カーブを選べる機材への是非を巡って、それへの否定的意見の先生側と、それを推す製品取り扱い側との非難の応酬の様な状況も望んではおりません。色々あっていいじゃないのさと。
ただ一つだけ私自身の中でハッキリしているのは、冒頭にその名前の出た、E.L.Oの二枚組の名盤『OUT OF THE BLUE』の中の名曲『Mr BLUE SKY』を逆相で聴いて見て、それでも正相逆相なんて関係ないねって断言できる方はそもそも・・・以下抹消

尚、アンプの電源を切らずにSPケーブルの差し替えを実行してツイーターを飛ばしたとしても当店は一切その責任を負いません、大人な皆様は安全に正確にオーディオで遊んで下さいませ。

 

事の真相はともあれ面白そうだなと感じた方は→0466-20-5223