FIDELIXは、密着シェルな等でお馴染の非常に個性的な、主にアナログ再生を楽しむ事を主眼に置いたアクセサリー類をかなりマニアックに追求するブランドです。最近ではアームに対して真っ直ぐの方向にシェル/カートリッジを据えた、しかもアームの旋回に於いてレコード回転軸手前を針先が通ると言う製品を発表し、既存の思考回路に凝り固まった私達の頭を大いに混乱の坩堝に叩き込んでくれた事も記憶に新しいですね。
私のように未だにSMEやFR、SAECといった旧来のJ字、S字型アームを愛している古い性質の人間には、どうにもFIDELIXのアームのあまりにラディカルな見栄えと思想が何回理屈を絵解きで学んでも未だに飲み込めない節があるのですが、実際再生してみるとこれが実に性能も音も良い具合でますますハテナが募るのです。が、何も世の中の節理や道理が全て完全に理解出来なくとも良い物は良いのだから、無い頭でこれ以上考えても頭痛くなるので、最近は素直にいい音だからいいじゃないさと自分の無学を棚に上げて分かった積りになっている次第です。
さて、その新しい事への探求がやまぬFIDELIXが更にその余波を駈って世に問うてきたのが密着シェルをベースに開発したMITCHAKU-Zです。もう殆どロボットアニメ的命名ですがまぁそれはさておき、この非常に変わった姿のシェルを使う事によって、既存のS字やJ字型のユニバーサルアームでFIDELIXの考えるアーム旋回軸から真っ直ぐ先に針先を置く思想が実現叶うという仕組みで、へぇなるほど良く考えたなと素直に感心致しました。
取り違えるといけないので簡単に補足しますが、所謂ストレートアームはシェル部でカートリッジをLP回転軸内側に振って付けられるように角度が付いています。FIDELIXのアームは、完全にカンチレバーの伸張方向とアーム回転軸が直線で結ばれる思想なので、盤に針を降ろした時の溝での左右へのスタイラスの当たり方が既存のどのアームとも全く違います。まぁこの辺は私もいずれ一つ手にして自分のシステムで検証してみますね。
書いてる私自身がついていけていない難しい話はこの辺にして、今日はそのMITCHAKU-Zにお客様お持ち込みのDL-103Rをネイキッド化して取り付けと言う、もう性能追求だか音質追求だか何が何だか分からなくなる様な先鋭的な組み合わせです。
その構造上カートリッジの装着には多少以上の技量を求められるMITCHAKU-Zに、これはもうまず間違いなく一般には自己装着お控へ願うネイキッドボディです。密着シェル自体には沢山ネイキッド化したDL103を装着してきましたが、Z型は流石に初めての経験、普段以上に神経を使います。で、通常の倍の神経を使って取り付け終わった姿がコチラ↓

 

 

いやぁ、この眺めは新しいですね、かっこいいし。普段ここのブログにも良く登場するGLANZのアームですが、MITCHAKU-Zを装着したその姿は全く違う物に見えてきます。本来はアーム先端の内振角に沿ってシェルが挿さる訳ですが、写真の様にこのZシェルではオフセットされた所からアーム旋回軸中心に対して真っ直ぐ方向に沿ってカートリッジが装着される訳です。
こんな角度で溝なぞって大丈夫なのか?オイ!と内心思いながらアームリフターを降ろすですが、案に相違して店内には試聴に選んだチックコリアの演奏が、ネイキッド化の効果も相乗しながら天井高く左右に広く明晰に明快に鳴り渡りました。普段分かった様な事書いていますが、アナログはまだまだ知るべき事学ぶべき事が多いなと思いも新たにした経験でしたね。
皆さまもMITCHAKU-ZシェルやDL-103ネイキッドに関わらず、アナログ関連の事なら是非でんき堂へ一度声を掛けて下さいね。また、シェルにカートリッジを付けリード線を挿すだけでも遠慮なく申しつけ下さいませ、他店購入持ち込み品何でも構いません、何よりも針などの装着に纏わる事故を起こして頂きたくないのです、最近本当にお客様自身での装着時の事故が多いのですよ・・・

 

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