一頃に比べるとアナログターンテーブルの選択肢も比較的増え、その価格帯も多岐に亘ります。
昨今のブームに倣いこれからアナログプレーヤーを購おう、或いは、もう昔の様にオーディオに大枚払う訳にも状況が許さないから、更にはアナログディスクは聴きたいけど自分はそれ程マニアではないから、等といった様な理由で選ばれる機材は一般論で言うと、比較的求め易い価格帯にその矛先が向かいます、或いは向かいがちですね。
ところが、この『求め易い価格帯』ってのが、必ずしも使い易さに繋がってはいなかったりするんですよね。特にその導入が、下手な高級機より大変だったりする時があります。

今回のお仕事はお客様の選ばれたRega Planar3と言う、ベルトドライブ故のシンプルな構造と美しい見栄えに、優れた再生能力と、大袈裟でなくアナログを楽しみたい向きには是非ともお薦めしたい、比較的長く日本国内での実績もある製品です。
じゃぁ何か問題でも?となりますが、このクラスの輸入系ベルトドライブタイプは構造のシンプルさを武器とした音の良さを実現するのですが、故に導入時の設定自体はシンプル故に技量が求めれると言う事です。
まずこのクラスが良く採用するシェル部一体型ストレートアームは、このモデルに限らず針の装着、交換が相当に難しいです。年間に数百個は針をシェルとリード線に組み付けている私でもこのタイプは怖れを覚えます。シェル交換式なら手元で自由に扱えるのですが、このタイプはプレーヤーに据えられたアームその物を覗きこむ形で作業しなければならないのが主たる理由ですね。音質的には優位でしょうが、アーム先端からケーブル出口まで一体化されたリード線は接続時の失敗が許されません。何故ならそのチップが選択したカートリッジのリードピンとぴったりの咬み具合を示す事はまずなく、リードピンに合わせたチップの開くか締めるの作業が必要となります。

 

 

今回はRegaPlanar3のカートリッジレスモデルを選択頂き、お客様指名で持ち込みなさったナガオカMP-200を装着なのですが、このカートリッジに対してRega Planar3のリードチップは明らかに狭小、そのまま挿そうと頑張れば間違いなく、くにゃりとチップの根元で折れ曲がり、そんな事数回繰り返せば間違いなくリードチップは金属疲労を起こして欠損しますので、その場合、先に書いた通りリード線が出力ケーブル先端まで一本の線で繋がるこのタイプはいきなりメーカー修理扱いです。
勿論先端にチップのみあてがい半田を留めるという手段もありますが、まぁそこまで出来る人は最近あまりいませんよね。さて、怖い思いしてカートリッジを仮止めしたら、一旦このカートリッジが求める適正針圧に調整し、お次に付属のゲージで適正な針先位置を導き出します、何しろ生で針を降ろした状態での作業なので慎重さが求められます、くしゃみでもしてアーム横に走らせれば、まぁまず一発で針駄目にします。

 

 

針先位置が決まったら螺子を本締めし、取り敢えずの音出しをしましょう。価格を超えた素晴らしい音ですねと聴き入っていたら、ん?ハム音が大きい。散々調べたけど元々据え付けられているケーブルの容量に起因している様子で、接続機器の状況如何と言えなくもないけど、新しいアースラインを一本増設したらスッと消えて心なし再生音も晴れやかになった感じですね・・・

さて、皆さん、簡単に書き連ねていますが、これが比較的廉価で使い易いと言われるプレーヤーに対しての最低限の導入時に必要な行為です、実際にはここに書いた以上の色々があって初めてレコード再生が楽しめます。このタイプのプレーヤーは大型カメラ家電量販のオーディオコーナーでも通販でも購入できますし、どなたにでも買って使って頂く事が出来ます。
では、こう云った作業を気軽に引気受ける販売店、或いは何の苦もなく取り行えるユーザー側、果たしてどれくらいいらっしゃるのか正直私には見当が付きません。購入店に装着断られて自分で頑張る気持は尊重致しますが、無理してリード線引きちぎって針折って途方に暮れる前にでんき堂スクェアまで一度ご相談下さいね、他店購入品でも喜んで相談にのりますよ、勿論作業や調整に伴う対価はキチンと発生致しますが、最近は随分お持ち込みのお客様も増えた様子です・・・

 

アナログ調整全般及びRega Planar3等でハムにお悩みの方は→0466-20-5223