BBCの監修の元に何十年も前から造られて来た、小型スピーカーの代表的存在として古くからその名を知られているLS3/5a
日本では特にRogersが有名ですが、このスピーカーの成り立ちはBBC(英国放送協会)の定めた基準を満たした、彼らのお墨付きを頂戴したモノが名乗れる型番、故にBBCモニターなので、その他にもchartwell、Goodmans、Harbeth、Spendor、その他激レア品も含め数社等のBBCに出自の経緯を有す関係各社がKEF製のユニットを用いて、BBCの求める基準を満たしつつネットワークに僅かな差を持たせながら各社から送り出されました。
面白い事にその列に最後に加わったのがオリジナルが登場して二十年後の1990年代中頃、これら各社のLS3/5aのスピーカーユニット供給元だったKEFですね。そうして1999年頃だったか、そのKEF製ユニット自体の供給が終わり、オリジナルLS3/5aの時代は一旦終了します。
しかし何分人気のモデルで小型スピーカーのお手本的存在、世界中のスピーカー製作者達に小型モニターの有りようとして大きな影響を与えて来ました。まぁ小型スピーカーを大きなスピーカーを置けない環境の人がやむを得ず使う卑しい存在としてしか捉えられていない日本の家電系メーカーなぞには、そのサイズ以外は何にも理解出来ていなかった様子ですが、ともかく人気が高いモデルなので、発展的な解釈や模倣されたモデルが製造終了後にも多数出て来ます。
そのうちに手に入らないKEFユニットと限りなく特性を揃えた新規に誂えた新生ユニットを、そっくりそのまま同じサイズのボディに入れて、BBCから限りなくオリジナルLS3/5aと同じであるとの言質を頂戴して発売された STIRLING BROADCAST LS3/5a V2が登場し、これが出来も音も良く、LS3/5aの直系としての真打かなと思ってた所に、今回登場したのがFalcon Acousticsなるブランドから登場したLS3/5aを名乗るコチラ
最大の売りは、もう世の中には無い筈のKEF製ユニット、B110及びT27を元KEFのエンジニアの手で忠実に再現、コピーし、ネットワークもオリジナルLS3/5aと同じにしてインピーダンスも15Ω仕様と徹底して来た所です。 STIRLING BROADCAST  LS3/5aV2が、多少現代的な手直しが入っているとすると、こちらの方は限りなくオリジナルの再生産と言った所ですかね。

そうですね、無理矢理何かに例えると、そう、50年以上に渡って作り続けられて来た007映画の、どれを好むかどの俳優を好むかは、初めて接したのがどれかや、原作から入った方、世代や嗜好などで大きく違う様に、皆様それぞれお好きな007俳優が居る程度に色んなLS3/5aタイプ、風、シリーズを愉しめばいいと個人的には感じていますが、LS3/5aオリジンはBBC経由のchartwell / Rogers(←だいたいのところね)である様に、007映画としてのスタートを切ったのは間違いなくショーン・コネリーであり、そこで作り上げられたイメージが以降007映画の大きな指針になっていったのは間違いありません。
その上で一つだけ言えるのは、今現在、現時点でお金を払って新品が買えるもっともオリジナルに近いLS3/5aは間違いなくFalcon Acoustics LS3/5aと言う事になります。つまりあくまでも私の勝手な解釈ですが、STIRLING BROADCASTのLS3/5aV2がダニエル・クレイグの最新作007だとしたら、Falcon Acoustics LS3/5aはショーン・コネリーのクローンを(80を越してまだご健在ですが、流石にもう彼をもう一度引っ張り出して来て、飛んだり跳ねたり女を抱かせたりは求めないでしょ?ネバーセイ・ネバーアゲインの時点で十分きつかったんだから、更にそれでさえ正式な007シリーズでは無いし・・・)現代の科学力でもって作ってもう一度撮影し直したオリジナル版と言う事にでもなりましょうかね・・・
ただ、迂闊にそんな比喩を持ちだすと、じゃぁロジャームーアはどのモデルに相当するんだ?一発屋のジョージ・レイゼンビーはどれ?ダイアナ妃が原作に最もイメージが近いと好んだティモシー・ダルトンの立場は?駄目になりかけたシリーズをコネリーのスマートさとムーアの洒脱さを兼ね備えて盛り返したピアース・ブロスナンは?と非常に話がややこしくなるし、どれがどれと言えと言えば個人的には言えますが、絶対にそれぞれの皆様の立場で納得出来なかったり角が立つブランドが出てくるのでここではやめときます。
個人的には同時期に同時代目線で007を徹底してパロった、デイビット・二―ヴン(←80日間世界一周でお馴染み)とピーター・セラーズ(←勿論ピンク・パンサーですね)がドタバタの限りを繰り広げた「カジノ・ロワイヤル」が大好きだなんて言い出すと、生粋の007ファンからは怒られそうだし、これはスピーカーで言うとあのモデルにあたると言い出すと、メーカーからも総スカン喰うので何書いてんだか自分でもわかんなくなったまま今日はお終い。

ともあれオーディオのセッティングの重要性を思い知るに十分な素姓を有したLS3/5a、有名な割には店頭でロクな音で鳴ってるの聴いた例が滅多にないLS3/5aですが、多少は

「成る程コレがLS3/5a、BBCモニターって奴ですかぁ」

と言って頂ける程度には、現在でんき堂スクェア店頭で鳴らせていますので、興味ある方は一度遊びに来て下さいな。

 

 

尚、TIGLONから用意されたLS3/5a各社同サイズ系列、シリーズ対応専用スタンドMGT-3/5aも用意しております。既存LS3/5aをお持ちで、かつ再生で今一つ上手くいかない物を感じている方もどうぞ、ご相談に応じますよ。

 

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