NISSHA   YN-AC3

 

最近はアンプやスピーカーのターミナルが大型化し、バナナ端子やY ラグ(スペードプラグ)への対応はごく当たり前となりましたが、古のマッキントッシュやマランツの例えを持ち出すまでもなく、ほんの十年前くらいまでは案外ターミナルは小さな穴が開いてる程度のものが多かったものですね。

ターミナルこそ大きかったですがアキュフェーズが各モデルにバナナプラグを対応させるようになったのはここ十年以内の話(彼らなりの言い分は勿論ありましたよ)ですし、皆さんに未だに人気が高く、かつ中古市場でもお目にかかる機会の多い今尚現役的存在のサンスイのアンプの殆どが、ターミナルこそ大きいですが、その構造と販売されていた時代の関係上Yラグにもバナナにも対応できていません。

昨今のスピーカーケーブルは、その線材の質以上に端末の処理加減での音質も重要な事が漸く認識され始め、端末処理の美しい商品も多く見受けられるようになり、また、かつてのように何でも裸で直接差しが一番のような風潮が改められつつあるのは嬉しい限りですが、問題は今までの機材への対応です。

上記に挙げた様なモデル達に最新のケーブルを繋ぐには、結局裸剥きのまま捩って無理やり差し込むか、或いは線径に合わずにアンプやスピーカーの端子に見合った線材の細いケーブルを、その予算や希望と関係なく選択を強いられている事も多い様子です。

そこで活きて来るのがこのニッシャのターミナルマルチアダプターと呼ばれる一連のアクセサリーです。

古いアンプのターミナルの小さな穴にも端子突起が力強く挿入でき、その縁端にYラグやバナナ端子を固定できます。これはナカナカのものですよ。

これで山水にもマッキントッシュにも、つい最近までのアキュフェーズにも、現代の市場を賑わしている大口径タイプの高級端末処理済ケーブルでも何でも装着して最新トレンドを楽しんでいただけます。

勿論古い機材に最新のケーブルなんてナンセンスと考える硬骨漢もおられるでしょうが、色々試したくなる気持ちもオーディオであり、その気持ちを構造が制約しているのもつまらないではないですか。接続してその上でどうだったか各自自由に感じていただけるアイテムとしても、このようなアクセサリーは貴重ですね。

因みに私自身はYラグ処理したSPケーブルを、このアダプターでもって本来接続適わなかった古いアメリカ時代のマランツ、マッキントッシュや、資本が変わる前のラックスや全盛期の山水のアンプに手挟んで「こいつはスゲェや」と一人ほくそ笑んだりしています。

サイズが大小二種類存在しますので、必要にあわせてお選びください。

オーディオに対してこの手のアイテムを余計な付加物や抵抗と捉えて忌み嫌う向きが存在することも理解出来ますが、実のところ撚線状態でターミナルにどんなに力強く閉めこんでも意外なほどに次の機会に手にした時はその閉め加減が緩んでいることに気が付かれるとかと思います。その意味ではYAMAHAの1000M等のターミナルなどでお馴染みのバネ留め式の方が余程永続的に一定のテンションで線を押さえ続けられることになるのですが、残念ながらあれもそう太い径には対応出来ないのですね、見た目的にも今一つ高級オーディオっぽくないせいもあって、今更あれを積む度胸のあるメーカーもないでしょうしね。

その使用機材故にまだ経験のない方には、是非美しく端末処理されたケーブルの実力を知って頂くためにも、一度試して頂いて損はないアクセサリーだと思われます。また、副次的ですが、螺子留めターミナル式に比べると、もう一つのオーディオ的楽しみでもある、ケーブル自体のとっかえひっかえが極めて行いやすくなるという面も見逃せませんネ。