遠目にはオーソドックスなスピーカースタンドですが、足元に配された同社自慢の一体型スパイクフットを菱形に配した振動へのアプローチは、従来の同形の品とは大きく違ったものです。その他特質すべきポイントは山のように有るのですが、それはとにかく音が素晴らしくよいの一言で今回は勘弁してもらい、どうしても伝えるべきはその圧倒的なサイズの選択の豊富さです。

世の中には数多のスピーカーが存在しそれらは皆異なった縦横奥行比で造られていて、また使用環境の数だけ異なる理想のリスニングポイントが存在します。
簡単に言うと理想的なスピーカの配置とは、左右への展開の話はともかくとして(とても重要ですが)、高域を担当する一般的にはツイーターの位置が耳の高さに来る事だと言えるでしょう。ですのでソファーなどに腰掛けた場合は、個人差はあっても床から耳までの高さが1mぐらいまででしょうか。
実際には皆さん様々なサイズとツイーター配置のスピーカに対して既成のスタンドサイズ、大概50か60センチ程度の選択幅の範囲で何とか間に合わせているのが実態で、本来スピーカーごとに異なる配置のツイーターが、使用するスタンドゆえに本来の適切なリスナーのポイントに正しく高さが揃っていないのが現状です。
普段の試聴姿勢で目の高さの位置、即ち耳の高さにツイーターの高さを導けるのは、求めたスピーカーのツイーター位置と既成スタンドで手に入る高さの偶然の一致に頼るしかない状態でしたが、このクライナの製品は違います。
徹底した共振対策は勿論ですが、天板の縦横サイズと底板のサイズ、そして肝心の支柱のサイズが極めて細かく選択できる、実質数千通りの組み合わせが可能との事で、恐らく世界中どのスピーカーのどのサイズであれ、必ず適切な試聴ポイントを外見上の座りの好さも含めて導き出せるはずです。
 例えば普段の試聴姿勢での耳の位置を床から測ってみてそれが98センチだったとします。
次に用いるスピーカーの底板からツイーター中心までを測り、それが25センチだったとします。
とすると理論上スタンドには73センチの高さが欲しくなるのでしょうが、実際にはオーディオボードの使用やスピーカーとスタンド天板の間にインシュレーターの使用等もあることでしょう。
ボードが厚み5センチでインシュレーターが2センチだとして、
 床から耳までの高さ98cm-(底からツイーター中心高25cm+アンダーボード厚み5cm+インシュレーター2cm+スタンドの天板の厚み+スタンド底板の厚み+スパイクフット高さ)=必要な支柱の高さ、となり、同社のHP上の表で必ずこの必要な高さが見つかる筈です。
何を面倒な、と思った方。
試聴位置の耳の高さに対して、きちんと高さと角度を整えたスピーカーの音場配置と再現性と立体感は、それを知らなかったかつての自分が馬鹿に思えるぐらいの衝撃の筈ですよ、と言い切っても問題がないと思います。是非クライナのこのスタンドでお試しあれ。
A.I