人伝に聞いたですが、ある国産メーカーアンプの事をここで書いたら、たまたまそれを読んだそのアンプに携わった開発者が、こいつは誰だ?面白いと仰ってくれたそうですが本当でしょうかね?
「あ、それ僕、僕ですぅ~」なんて名乗り出たが途端、「やっぱりおまえか」と、関係者総出で袋にされたりしちゃったりなんちゃったりしてネ
さて、今回は人気のソウルノートの事ですが、もうDACやアンプはあまりに人気も評価も高くて、僕なんかが横から口挟む余地も無さそうなので、あまり雑誌などでは語られてなさそうなスピーカーなぞについて。
日本のオーディオ業界では珍しい、実際に演奏に携わる立場、プレーヤーとしてのミュージシャン視点をお持ちの同社の鈴木氏は、レコーディング現場で錚々たる有名ミュージシャンやレコーディングエンジニア達との関わりが非常に深く、私達の耳に届く前の、良く研いだ鋸刃で切り出したばかりの氷の様な切り口を見せる、生まれたての音源に接していて、その感動が私達に届くまでに様々な理由でだんだん溶けて丸くなっていく姿に常に心を痛めています(少し大袈裟かな、すいません)
で、その新鮮な状態をせめてソフトフリージングなパーシャル状態で届けようと作られたのがこちら。
それと平行してほぼ同じものが、スタジオモニター用として開発されて実際に現場に納入されているのだからこれは凄いですよね。
センターコンソール周りに置いたら似合いそうなサイズとデザインの、小ぶりな箱に一見フルレンジで実は同軸2WAY のユニットを搭載。
設置環境に配慮したバスレフポート位置の設定と音響拡散を狙ったリフレクターに振動分割を狙ったスパイク構造の三本足。
勿論ソウルノート製の諸アンプ群にもですが、どこのアンプを通してでも、このスピーカーが狙う生まれたての音楽の新鮮さを目の前で体験できる事は間違いなく、特にニアリスニング環境、スピーカーと顔までを1mも離せない環境下でも、眼前に展開する見事な立体感を体験させてくれます。
同軸2WAY構造のスピーカーというのは、絵解きをされると極めて理に適った理想のユニット構成にも感じられるのですが、何かと設計製造上の制約が付きまとい、なかなかスピーカーの主流にはなれていないように感じられるのですが、キチンとした方がキチンとした理論と情熱で望めば「ナルホドいいものなのだな」と、数少ない過去の事例と今回のsm10が教えてくれることでしょう。
もうひとつ書き添えるとすれば、これは営業的立場での商売上の問題なのでしょうが、JBLに代表されるような一般的スピーカーの顔である、バッフル面にユニットが豪勢に大小様々に並んでいる姿の方が、アメ車のその外見上の派手さからくる圧倒的存在感同様、音以外でも一般的にはアピールしやすいといった面も伺えます。
ですからそれらのスピーカーと、まずはミュージシャンや録音現場での必要がスタイルを要求し決定し商品化されるこのソウルノートのスピーカーとでは、そもそもの出自と目的が違うのだと理解頂けるのではないかと思われます。
アンプやDACで極めて高い評価と人気を誇るソウルノートですが、実はこのスピーカーこそ最もソウルノートの求める世界観を判り易く私達に提示してくれる商品なのかもしれないと、最近このスピーカーを前に小さく音楽なぞ流してみて、そこから紡ぎ出される小さな宇宙に改めて感じ入った次第であります、ハイ。