ここから暫くは証拠はないですが、全て売り場での販売側にいた私の感じた個人的経験なので、その点は注意してお読みくださいね。

皆さん、昨今の家電量販屋の店頭は狂ったように照明明るいですからね、ノンストロボでASA100(自然とASAとか入れちゃったよ、古いね、僕も)で1/60でf5.6でもシャッター切れます。
因みに常識的光量下の家庭では1/8でf2.8でも厳しいかな?
そんなキンキラキンに明るく光る環境下の家電量販の売り場で(因みに「売り場」を「買い場」と社長命令で呼ばせてる愚かな家電量販がありましたが、あんたらバカですか?レジの入金口を社長命令でお客側に向けた時も最高のジョークだとは思ったけど!)
隣の他社のTVより売るために値段以外の差を付ける為に何するかといえば、虫眼鏡で覗かなきゃいけないような解像力誇るよりは、簡単なのは、狂ったように明るく画面を晒すことです。
一昔前、ブラウン管時代の話でやめときますが、家庭で見れば本当に綺麗で素晴らし(かった)SONYは、明るい売り場で画面が暗いと散々売り場で散々に叩かれました。
それですっかり暗くなって(←思考がですよ)ひねくれて、見事に相手(主に真っ赤に明るい松下)の術中にはまり、よしゃいいのに輝度も何も全開にあげたディスプレイモード、ダイナミックモードだったかな、平たく言えば一昔前のホンダの評論家向け試乗車みたいなってもっとわかりにくい?とにかくモード選択でギンギンに明るい設定を店頭で店員に選ばせ明るく対抗する作戦に出たわけですよ。
ところがどこの売り場にもSONYのヘルパーがいればいいのですが、松下のヘルパーもいるし家電屋の店員だって皆が皆気が利いて優秀なわけではないのですね、すごい残念なことに。
だから出荷時の画面状態が「標準」みたいなモードのソニーのTVは、結局明るい売り場で能力の暗い店員が担当だった場合に限り、家庭では明るいはずだけど店頭では薄暗い姿を晒し、始めっから超高輝度モードを標準として出荷されて売り場に並ぶ松下の明るさにコテンパに馬鹿にされたですよ、暗い暗い、ソニ~のテレビは暗すぎる~って(←輝度ですよ)
本来TVなぞというものは、その使用環境で適切な輝度に調節して使うべきものなのです、カメラが被写体の輝度に合わせてシャッタースピードや絞りを調整するように。
人間の瞳は周りの明るさに応じて大きさが変わってるんですから当然なのですが、何故か大概の方はTV買って電気屋に取り付けさせて以降絶対に説明書にも目を通さず輝度調整なんて触らないままそのTVの一生を終えるまで使うのです。
しかも標準のその「標準」状態が既に一般家庭では十分明るすぎるのですが、その状態の半分程度の明るさで十分美しくブラウン管の寿命も伸ばせ電気料金も節約できると言う説明はまぁほとんどないというか絶無ですよ、少なくも私のいた家電屋は。
で、困ったSONYは既に必要ないにも関わらず能力いっぱい限度まで引き上げた輝度状態でダイナミックモードとし、それに近い状態を店舗出荷時標準状態として出荷したですよ。
で、どうなったか?
確かに売り場での松下との差は縮まりましたね、それでも暗かったけど、売り場では。
で皆さん買われます。
大型家電量販屋は、そこと契約した工事会社が家電量販に上前はねられた上でそこのあんちゃんが取り付けます。
輝度調整はしません。
因みにいま店頭でTV売ってる子達は5CをFコネ剥いたり付けたりしません出来ませんしその意味知りません。売り場にろくな道具もありません。
当時の私は主義として、売った分はほぼ自分で付けに行くか技術的に信頼できる工事屋さんを指名してお得意様宅に伺いましたが、今の家電屋の環境はそれを許しません。
アンテナ線をつないだことない人間が監視カメラの管理の下に耳にした無線のイヤホンに右イケ左イケあっち行けと本部でモニター眺めてるボンクラに指示されながら走り回されています。愚かな大声出して自己啓発みたいなくだらない気合系研修を強制的に参加させられて覚えた、丁寧な接客と笑顔で皆様をお迎えしています。まぁいいけど。
で、当時でもほぼ家電量販登場以降はほぼ壊滅的だった昔ながらの「パパママストアー」などの顔見知りの電気屋さんなどで買われた極少数の方の家庭に運び込まれたTVはそうでもなかったと思います、彼らはきちんと調整しましたから。
しかし他はギンギンに明るいです、一般家庭は当時バブル期以降、以前に比べれば随分家庭の照明明るくなりましたが家電量販よりは暗いです。
確かに昼に日が差し込むような環境ではギンギンに明るいモードは有利です。
しかしTVの最も活躍する時間は多様化した今はともかく視聴率が表すように当時から大概は日没後です。
そしたら大クレーム。画面に水平に変な影が出るって。
当時のソニーのトリニトロン管は、縦方向に平面な画面って言っても今の若い人にはわからんでしょうが、とにかくブラウン管が丸かった時代に、SONYは技術でもって縦方向から画面の平面化に成功したのですが、そのトリニトロン管はアパーチャーグリル方式というソニー独自の方式を採用している関係で、縦に並ぶそのグリルを抑えるダンパー線が内部に張られていたのですが、普通の明るさ(照明のことですよ)の家庭にギンギンの輝度で設定されたSONYのトリニトロン管、これはもうただの悪夢ですね。
ピシーっと下手すると二本上下に細い影が線となって見えます。人間の目は良く出来てるので、最初気がつかなくても一度そこに違和感を見出すと以降は執拗にそこが気になり出すのは皆さんも記憶にあることでしょう。
本当は問題にならない筈だったんです、照明環境と輝度が見合っていればね。
高精細で明るく使うPCの環境では比較的認知されていた様子ですが、一般家庭ではまぁ普通の方には説明してもほぼ理解不能でしたね、輝度落としてくださいとか言っても。
店頭ではこんなぁもん見えなかった、不良だ、交換しろ、店長出せと。
因みにこの手の方って、新しいTVとビデオデッキ買って、ビデオ映像を旧来のアンテナ線入力(関東で言えば空いてる2チャンでビデオ見るやつね、2ちゃんじゃないですよ、所謂RF接続)からビデオケーブル入力にすると、大概クレームになってどんなに説明しても絶対聞き入れませんでしたね。前と同じにしろってもんです。
こっちは納めた製品を最大限の能力で使って貰いたいのですが、相手に聞く耳がない限りはすっかり話がこじれてしまうものだから、それっておかしいんじゃないのぉ?と疑問を呈す私に対して問題を避けたい店長は、つべこべ言わずに客の言ったとおりにしろみたいな、人の売り散らかした尻拭き仕事は随分ありましたよ。
でもって、私は会社の指示通りやむなく高性能TVとS-VHSデッキを買ったのにお客様の猛烈な抗議と店長の絶対的命令においてその両者をRF接続するという、最新の車に松根油混ぜて走らすような暴挙を態々しにお客さんちに行かされたりする訳です、何故なら売った奴も店長も色んな意味で技術がないから。
因みに私が説明して販売して取り付けたお客様はそんなことなかったですからね、念の為。それに20年前ね、この話。
因みに松根油はもっと前の産物です、最近色々と勇ましいどっかの首相の親の世代、或いは更に親の世代の時代が関わったり引き起こした事象によって結果的に使わざるを得なくなった悲しい液体のお話です。

さて、トリニトロン管のダンパー線の影。
これは実際には店頭ではよ~く見てやっと見えるレベルです。だって店頭は凄い明るいから(←照明がですよ)
私が初めてその事実を知った20年以上前ですが、機械に明るいマニアで暗い性格の先輩社員に

「ここ、ここ」

と指先でそっと教えられて確かにある。
でも一度目を離すとまた見失う、そんな感じでした。
だって店うんと明るいから(←照明がですよ)
どっかのアニメで明るい画面の明滅で子供がひきつけみたいな問題起こして以降、TVを見るときは明るい部屋でどうたらこうたらって喧しい案内入るようになったのもこの頃から少し経た後です。
根本的に間違ってます。部屋明るくすんじゃなくて、部屋の明るさに見合った輝度にTVを調整すべき話です。
つまり高輝度戦略にはまらずにトリニトロン管をより一層各家庭環境下に併せて適切に輝度設定していけばそんなもんは普通は恐らく一生見えなかっただろうにという話なだけです。

話が脱線もいいところですが、要するに、明るい店頭(←照明が)の高輝度TVを暗い家庭(←照明が)に持ち込んだ時と、煩い店頭のオーディオ製品を静かな家庭に持ち込んだ際の話を並べてしたかったのです。

やっと今日の本題、本当にごめんなさい。

このスピーカーが出た時は少々驚きました。

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それまでのDALIでは今まであまり見かけないデザインと美しい仕上げ。
そしてどこでどう間違ったのか、どこの展示会や店頭で聴いてみても、ちっともなっちゃいないモッサリグッタリガッカリグダグダ感。
スパーツイーター+2WAY構造と言って間違いないと思いますが、妙にアンプに負荷かけながら独特の低音を引きずるように鳴らす姿は、当時のどの店にも必ずと言っていいくら隣に並んでいたツイーターの飛び出た英国ブランドの有名な奴のキンキラキンの音(←本当は高性能ですよ、「お き か た」 の問題ね)と好対照的でしたね。
茅場町の先に輸入元が間借りしてるビルがあった時も、試聴室覗きに行ってみましたが、デッド過ぎる部屋でボコボコ唸っている姿は悲劇的で滑稽なまでに感じられた悲しい記憶です。そこ行く途中にあったビルの陰にひっそり残る下町情緒あふれるぜんざい屋かなにかのあんみつが美味かったですね。
ここの試聴室、どの機材の時だったか忘れましたが、招待した販売店なり関係者なりを、二本のスピーカーの正面前方真ん中に縦一列に招待者5人並べて座らせて、順々に位置を前から入れ替えさせて聞かされた時には閉口しましたねぇ。
確かにステレオ再生とは本来、二つの耳で一つの象を脳内に呈示するところは目のそれと構造的にはステレオという観点では同じであって、二本のスピーカーを同距離で等角に左右正確に設置された交点の一箇所にしかピントの芯は存在しないので、横に並んで座った所で何かがわかるわけでは実際のところはないので、縦一列に座らせた気持ちはワカランでもないですが・・・
しかも二本のスピーカーを狭い間隔に並べて浅い内振り角度で置かれたいつもの例の配置でね。まぁその空間も今は思い出ですが。
供給元がこの調子じゃ販売店など尚更です。
大概が売り場の都合で他の製品と混じって平面に並べて二本の間隔は1.5mあれば上等な感じでパンパカパ~ンのギャンギャンです。
そこで各種店内放送やら品のないCMソングやピ~ヒャラ電子音的騒音に、システムが複数同時に鳴り喚き、往来する客の雑踏に躾の悪いガキが泣き叫び、放置された名ばかりのシアターコーナーの下品なサブウーハーがどんすこ鳴り響く阿鼻叫喚の音響的地獄絵図のような空間で、販売規模を悪用もとい仕入れ先からの快い心からの一方的な販売促進の為の人的補償を当然として受け入れた巨大量販販売店オーディオコ~ナ~において、その人的補償要因即ち世間一般的常識用語で言われる「ヘルパーさん」と言われる方々によってそれら製品が撹拌じゃない拡販されていくのです。
「やっぱダリいいですよぉ~低音でますよね」みたいな感じで。
そんな空間で聞こえんの低域だけなの当たり前でしょ。
どんなに色よいシステムであろうと、そんな空間で音質聞き分けようなんて、撒き散らした壮大なゴミの中から限られた時間で小さく光る宝石拾ってこいったって、無理無理。
ここまで読んでお前はダリ貶してんのかと思われた方、それは違います、行間読んでくれとは言いませんのでここからが本題です。
DALIは大変によい製品です、ともかく箱がいい。造りがいい。そして本来音が良い。
じゃぁ前記の言いたい放題はなんなのか?
要するに環境次第です。
それにどこから出た話か、まことしやかにダリのこのシリーズは、角度をあまりつけずに平面置きが良いみたいな話になっていて、うんなぁわけねぇ~じゃん!
ステレオは正三角形三メートルだよバ~ロ~とつい荒れがちで御免なさい、正三角形の話はまた後日。

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閑話休題、ともあれ上記に掲げた様な環境でいい音で聞こえた製品が本当にあったならば、それは偶然か錯覚か勘違いか初めからそういうデタラメな環境下で「のみ」よく聞こえるツボなり裏ワザを心得たモノ創りなだけです。
わざわざ高価なオーディオ機器を誂えて、あえて家電量販店の売り場のような破滅的な環境を自宅に再現してわざわざ音楽聴こうなどという人はまず居る筈がない様に、オーディオを作る側も、製品をそういった環境下で鳴らすこと前提に作ったりはしません、実際のところ。
問題は一部というかかなりというか、現在のTV売り場での「デモモード」如き超高輝度モードで他社に差を付ける技が、音においても家電系オーディオメーカーを中心に確かに存在はしていたということです。要するに店頭で映える類の「音」と言うやつです。

それは一部用途のはっきりした拡声器かPA機材の役割で、それらはそういった環境下でよく音が伸びるように練られた設計が施されます。
逆にオーディオ製品はどんな高級品であっても高価であってもモノが大きくても小さくても、それが家庭用を前提としたオーディオ機材である限り、実際のところ性能を発揮できる空間とは極めて限られた環境下とサイズであって、要するに人が個人の時間としてくつろげるプライベートな空間においてのみ真価を見いだせる構造になっています。
つまるところオーディオの比較視聴自体が、家電量販でもどこでも土台無理なのです、広過ぎるか騒がしすぎるか置き方が悪いか或いはその全てです。
先日、超高級スピーカーとアンプを組んで、クラッシックコンサートが開けるサイズの会場で鳴らして、生の演奏と比較する催しがあって全く後ろに音が届かず大顰蹙を買ったという話を風の噂に聞いたですが、事実ならばバカですね、関係者には申し訳ないけど。
高いオーディオだから広い会場でいい音がするという論法なら、フェラーリが値段高いから100人乗れるはずみたいな論法と同じで、始めっから話が間違っています。
どんなに高くて大きくても、家庭用オーディオは家庭用サイズで設計されていて、高級外車のスポーツカーが何千マン何百馬力あっても楽しめるのはたった一人であって、よくても隣の同乗者までです。後席があるモデルだとしてもそこは申し訳程度の環境であって、いわゆるワンマイルシートって奴です、高いからって快適な移動空間ではありません。
広いホールにまんべんなく音を提供するのに必要なのはそういった環境専用のパワフルなPAだし、たくさん人載せて安全に気持ちよく移動させれるのは高級車じゃなくて、そういった用途のバスです。当然PAだって高いしバスだって車両価格高いですが、値段の意味と目的が違います。

話が少しそれましたが、一般論で言えば、ごく当たり前の家庭環境で、家電量販店等並みに広くて煩い場所などないはずです。
つまり丁寧に作りこまれたダリを、丁寧な設置で音楽再生を行った際に得られる感動と喜びは、結局のところそれを所有した方にしか分からないということですね。
更に言えば、数多とあるオーディオ製品の中でのダリは、殊更家電量販店の破滅的な環境下では、性能を掴みづらい極めてデリケートな性格とも言えます。

「じゃぁ煩い環境下でいい音に聞こえてよく売れる製品があるって君は言いたいのかね?ちみぃ~」

と震える人差し指でワナワナと糾弾されると、つい私も筆が滑るのでそういった糾弾はおやめくださいね。
まぁ指折り数えれば80年代の家電系ブランドのオーディオ製品なんて全部そんなもんでしたね、ハッキリ言って。
どうせ家電系大手ブランドで、売れるを幸いにオーディオらしいことやっていた彼らは、現場の熱心な一部のエンジニアを除けば、経営者も上層部もカタログ持って白物のついでにオーディオ売ってた営業も含めて、もうほとんどがオーディオなんて過去の話なので、私がここで何を喚いても痛くも痒くもないでしょうし、オーディオ製品という高尚な趣味に関わっていたと言う当事者意識さえ端からなかったでしょうし今更なんとも思わんでしょうから結局書き散らしますが、そういった大手家電ブランドが、白物のついでに楽器のついでにパソコンのついでにTVのついでにとにかく売れるから売ってた見栄えとカタログスペックだけは妙にいいそれらの製品はね、店ではやたらと立派で元気でさぁ。
そんでもってそれらのイメージにひっかかったカタログ鵜呑みの僕みたいなモノ知らない人間が、それ家に持って帰ってちゃんとセッティング出しても元気なだけで全然たいしたことないの。おまけにその元気さがボリュームとサイズとパワーに依存してるもんだから、常識的家庭サイズの当たり前の音量じゃ全くダメダメで・・・

結局いま市場で聴くに値するオーディオ製品の何かを作ってるのは、どこも小さな規模の専業メーカーであるという事実が、私が大手家電系オーディオブランドに示すある種の姿勢の根拠なのですが、NECのアンプとか松下のプレーヤーとかソニーのCDとか三洋のデッキとかヤマハのモニターとか、流石大企業だなと思わさせられる素晴らしいいものが確かに「当時は」多数存在していたことも書き添えておきますね。今ですか?聞くだけ無駄ですね。
悪口にならないモノだけ敢えて書いておきましょう、わかりやすく言うとビクターのSX500。
これは本当にいい製品だったのですが、当時の一般的オーディオ売り場のセレクター(だいれっくすぅ~)カマして平面に並べたドンスコ環境下で、国産三十センチなんなんのデジタルサウンドとか意味不明な言葉がプリントされたハイテク素材百花繚乱状態のバブル期スリーウェイスピーカーが、下品にドンシャンボッコボコと喚き散らしていた80~90年代初頭の、あの思い出すのも恥ずかしい音響的悪夢のような光景が展開されていた(私もその光景を演出していた一部のパーツです)の店頭では、SX500等はデザインは控えめに美しく、ユニットは2WAYで他に比べれば少なく口径も小さく、音は澄んで静かに美しくと、店頭での比較視聴で他の押し出しの強い価格的競合機に比べると、全く前に出るところの一切ない気の毒なモデルでした。
因みに当時のそれらの中では、価格的ではなく精神的競合機で言うとテクニクスの小ぶりな同軸2WAY機がやはりそれに該当しますが、これは滅多に飾る店なかったですね。
でも当時の12万円程度以下ペアの何十あった国産ブランドスピーカーの中で、静かな環境下で丁寧に使えばビクターのSX、本当に綺麗でいいモデルでしたよ。買った人は皆満足されたはずです。
ともかく店と家では全く違う魅力を魅せる筆頭でした、当時のビクターのモノ創りとセンスは。
その悲惨な店頭で、ビクターの控えめなセンスを、周りに蔓延る一見派手で良く「聞こえる」他の製品に影響されずに理解できた方々は、恐らく様々な角度での審美眼が備わっていたのでしょうね、煩い環境下で聴いてこれを音だけで選ぶには無理がありました、当時。
それから幾年月、ビクターはおろか国産スピーカーはすっかり影を潜め、昔日の面影はどこにもありませんが、今でもスピーカーが多数並ぶどっかの家電カメラ量販の環境下等で、当時のビクターのSXが目指す世界や音色とは違いこそあれど、このDALIの店頭で実力が丸で発揮されないのに家ではたいそう素敵なところなどは、当時のそういった出来事を思い出させてくれます。

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皆さんも心当たりおありでしょ?
大学より手前の学生時代、どうにも集団行動や全体主義失礼調和社会において皆が同じ方向向いて同じことしなきゃいけない環境下で、その手の行動がどうにも苦手で馴染めなさそうな繊細そうで静かな彼なり彼女達が、美術とか文章表現においての自己と向き合うような表現の世界において、突如圧倒的な能力を発揮なり表現した瞬間を。
デリケートな感性を持つ彼ら彼女たちは、静かな空間において初めて光輝くことを。
くわえタバコで平気で授業を行う愚かな教師や、竹刀を振り回す馬鹿な体育会系教師がいて、体育館に生徒並べてビンタをはるのが当然のような暴力教師が跋扈していた、とても励みになる神奈川県下の公立小中学校時代を楽しく過ごさせていただいた私は、そう言うどうしようもない環境下で、部活動の名を借りた暴力行為の横行するのが常識の中、感覚がどうにかすると麻痺しかねない環境下に、彼ら彼女達の様な人達が持つ繊細なセンスと能力が、世の中には存在する事を思い知り僅かな安堵を覚えました。

そう、DALI HELICON300はとても綺麗で美しい製品で、そして少しデリケートです。
静かで素敵な環境下が用意できれば必ず唄い輝きます、約束します。
まぁHELICONに限らず、美しいスピーカとはすべからくそういうものなのでしょうが。
良い音も芸術も、喧騒や混乱下よりは静かで美しい場所で発揮されるべきかなと、オーディオ製品は芸術の末端を司る一部だと信じる私は思うのです、あくまでも個人的意見ですが。

一応補足
ここに上がったHELICON300は、比較的綺麗な中古品です。
サランネットの足が一本だけ折れていましたが大勢に影響はございません。

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勿論手前共の店頭で聴く限り素晴らしい音色に感じられます、昨日お越しになられた方もたまたま耳にされたのですが、大変驚いてらっしゃいました。

「随分いい音してるけど、これ置き方でこんなに変わるの?」と。

今回、生産、取り扱い、ブランド終了が発表されて誠に残念な「バック工芸社」の大変素晴らしい、このHELICON300にジャストサイズのBasic1スピーカースタンドも同時に入荷致しましたので、こちらも併せてご検討下さい。

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DALI HELICON300 ペア 198,000円(税込)  

完売しました。

*片側サランネット 左上が1本折れています。

バック工芸社 Basic1 ペア     47,500円(税込)

完売しました。

追記

おまえはまた大げさなことを、特に後半書きやがってと不快に思われた方にはごめんなさい、少なくとも私の目にした範囲での事実です。
或いは戦前の話かよと感じた方ごめんなさい、80年代の相模原の話です。
名前を挙げろと思われる方、すいません、ここでは書けないです、多すぎて(←そっち?)
でも内一人は、数年前に座間で飲酒検問のおまわりさんに肘鉄食らわして突破したあげくに民家に突っ込んで車を捨てて逃げてる最中に、目久尻川に落ちて死んだとニュースで見ました。
自分にとっても誰にとっても大事な小中学校のこの期間を、この程度の人間の担任下で、教室という外部の目の届きにくい密室空間での暴力的支配下において過ごしたと思うと、全く残念な限りです。
重ねて言うと、学生時代の自分自身のオーディオへの姿勢を、カタログを飾るスペックや外見や勝手に抱いたブランドイメージやCMの派手さや雑誌の評価やしょうもない店頭での音比べなどでなく、もう少し早くそれに気がついていればなぁ、と、深く反省する次第です。