独 GLASS-AUDIO DESK SYSTEM社製全自動レコード洗浄器

風呂の残り湯濾過して再利用する全自動洗濯機とか作らすと、日本の家電技術は、最近は第三国の伸張を前にそのポジションも大分怪しくなってきたとはいえ、未だ家電立国的それこそ圧倒的なものを感じさせます。

70年代後半までには、世界中のレコードプレーヤーメーカーをダイレクトドライブ技術とフルオート化によって駆逐しつくした、日本の白物家電の延長線上でオーディオ売り散らかしていた家電メーカーからは、ついぞこういった製品は出てきませんでした。

それは、「全自動レコード洗浄器」

しかも超音波仕様。

使い方はいたってシンプル、レコード盤を縦にスリットに差し込んで赤い色したスタートボタンを押しておしまい。

後は勝手に洗浄液含んだ水がなみなみと底から湧き上がり、レコードをレーベル面に達しない程度に水浴させ、その浴槽化した中をディスクは回転しながら超音波洗浄が行われ、然るべき時間が経過すると件の洗浄液はフィルターで濾過されながらいずこへと消え去り、今度は任意の時間設定が行われたファンによる風圧で自然乾燥が行われ、最後はブザーが鳴って出来上がり。この間一切人間はノータッチという、エェ〜?ってな感じの驚きの品。

欲しいですねぇ〜、いやぁ、ほんとう欲しいですねぇ、コレ

やっぱりドイツ人は偉いですね、CDが登場してもう三十年もたって今尚、最新型“全自動レコード洗浄器”登場!ってな感じですよ。

確かにレコード洗浄器は何社かが作っていて、そのどれもが優秀で高い洗浄能力を見せるのですが、レコード盤そのものの設置に結構手間がかかったり、両面仕上げるためには都度人力でひっくり返したり、あるいは両面洗浄型でもブラシのセットが面倒だったり、拭き取りや乾燥は別問題で洗浄後の手作業であるとか、まぁとにかくこの今回紹介する様な、洗浄乾燥工程まで全てを、全自動洗濯乾燥機的簡便さで行う製品は今までなかったのですね。

また、他の洗浄器はやはり都度洗浄液を塗布したり排水したりするのですが、こちらのはフィルターで自動濾過して再度用いるので、100枚程度は連続して使えるのだとか。

凄いですねぇ、本当に。これを考えるドイツの国民性もレコードに対する情熱も実際に完成させる技術力も。

思えば1970〜80年代に、世界の家電メーカーを圧倒した日本の誇る綺羅星のごとき数多の家電メーカー製オーディオブランド、テクニクス、ローディ、オットー、ダイヤトーン、オーレックス、オプトニカ。

当時のカタログ眺めりゃどこもハイテク自慢の過剰能力満載気味の全自動プレーヤが百花繚乱状態。

それらの各社家電メーカーの技術力もってすれば今更超高性能全自動レコード洗浄器くらい、その本来本業の得意の洗濯機技術でわけなく開発できただろうに、結局のところ所詮白物家電メーカーのオーディオには、経営サイド製作サイド営業サイドそれぞれが白物以上の愛情を自社オーディオ製品に対して、そのユーザーにさえ対して抱かなかったので、ご存知のとおり上記のブランドで今でもオーディオ作ってるところは存在しません。

全自動超音波レコード洗浄器。

繰返しますが、内容的には本来最も、この日本の家電メーカーが得意とする技術の集合体の結晶だと思うのですがね。

因みに上記書き連ねた若い人には馴染みの薄いブランド群ですが、初めから順に言うと、

松下、日立、三洋、三菱、東芝、シャープといった、わが国が誇る一流大企業様の誇った偉大なオーディオブランドの数々です、悪しからず。

それらの各社共通点は、世界のどのオーディオ専業メーカーより大規模でありオーディオをたーくさん作りましたが、全自動洗濯機はもっと得意だったという点です。

それから各社、オーディオ売れなくなるとユーザー見切ってさっさとオーディオブランド店じまいした上で、製作後七年たったら売り散らかした製品の面倒も一切見てあげないと宣言した点です。最近はその存在さえもなかったことになっています。

ついでに言うと「松下」とは、パナソニックのことです、念の為。「三洋」は大人の事情で先日お亡くなりになりました。

もっと若い方に一応念の為に補則しておくと、これらはどれも日本の大会社で、当時は日本でも家電メーカーが自社ブランドで、日本人が日本の工場で日本人の従業員と日本人の技術屋を使って国内生産でオーディオ製品を作っていて、日本人の従業員が並ぶ家電屋で、花形製品の扱いで山盛り販売していました。

今時信じられないかもしれませんがね。

http://www.a-sq.net/item/vinylcleaner.html (販売はこちら)