嵐の晩に顕微鏡で針先を覗き見る
on 2022年9月21日皆さん今晩は、台風は無事やり過ごせましたか?
30年近くも前ですが、大型台風の上陸した深夜の車なぞ全然走っていない街道に、態々車を出して散々走り回ってその天変地異ぶりに一人で盛り上がって居た時に、ガソリンが怪しくなったので当時は比較的多かった24時間営業のGSへ、暴風雨に舞い散る枝葉ゴミ屑と共に飛び込んだら、どうせ客なんかこねぇよとでも思ってたのか、一升瓶抱えた給油スタッフたちがべろんべろんになって大騒ぎして盛り上がっている現場に遭遇した事がありました。
『嵐の中に何しに来たんだテメェ?』
みたいなおじさん達を宥めて漸くガソリン入れて貰うも、給油口からガソリン噴くわ地面に盛大に撒き散らすわ金勘定も出鱈目だわ持ってた一升瓶落として割るわって、駄目だコリャって感じで、酔って状況判断のかなり怪しいこいつらがタバコでも吸い始めてGSごと吹飛んだりしたら敵わんので、慌てて路上に散乱するプラ容器なぞ弾き飛ばしながら逃げ帰った想い出が懐かしいですね。246号の伊勢原近辺にあったあのGSも今はもう無い様子ですが…
さて、しょうもない昭和後期~平成前半的想い出はさておきお仕事です。
ここ最近は此方の更新も少なく申し訳ないのですが、たまに載せれば電源ケーブルがどうしたこうしたばかりで、でんき堂は他に何もしとらんのかね?なぞと思われかねません。よって今回はここ最近のアナログカートリッジのお仕事を全てでは無いですが紹介させて頂きます。
一番目は当店お馴染みのDL-103アルミボディですね。こちら発表してから大分時間が経ちましたが、未だに根強い人気に支えられて定期的にボディ換装のお仕事を頂きます。SMEシェルに据えてリード線も少し良い物、確かこの時は銀線を誂えました。よく知って居る筈のDL103から更に“何か”を得たい際には是非どうぞ。
こちらもお馴染みのDL-102ですね、リード線の装着の難しさや専用のリード線の話は最早くどくなるので別項に譲りますが、写真に見えるのはリード線専門工房のK’S REMASTAに頼み込んで作って貰ったDL102専用リード線です。基本的に店頭装着推奨品ですので、興味のある方は店頭までご相談くださいませ。
こちらもDL-102に専用リード線装着の姿です。一番リーズナブルなベルドリーム製の物を装着してあります。リーズナブルではありますが必要な性能は確保出来ています、またその装着の難しさは基本的に店頭装着推奨な事も変わりません。
こちらはお客様お持ち込みのコレクションを一気にシェル装着し直しビス交換リード線交換針先位置調整等を施した姿ですね、テクニカのAT33系列とDL-102。左のリード線が思い出せないのですが、真ん中のはマクソニックの雅です、気軽にペンチで摘まんで作業すれば簡単に千切れる繊細なリード線です。その音も繊細にして精彩で疲れ知らずの傾向、とても良いリード線ですがやはり装着は店頭装着推奨と致します。
右は勿論102ですが、Highphonicの102専用トランス接続専用の配線なのでDL102本来の完全モノラル接線にしてあります。多少説明の必要な内容ですので、DL102本来の音をまだ体感出来ていない方は、この専用トランスと合わせて一度ご相談くださいませ。
ハイ、こちらはみんな大好きIKEDAです。現行品はそれほども無いのですが、この針は本当に再生に当たっての扱いが難しい針です。音を楽しめる調整範囲に殆ど余裕が存在しません、よその店で手には入れたが思った様に音が出せないとのお客様よりの依頼で当店預でシェル装着も含めて調整です。イヤミ抜きで販売した店は何やってんですかね、この針は池田氏本人がかつて言っていた様にレーシングポルシェみたいなもんですので、一般的なユーザーに全ての調整を託すには無理があります。売ってお終いってのはちょっと可哀そうですね。
何が難しいかはここではグダグダ書きませんが、写真はその一因たる一般的なカートリッジに存在する筈のカンチレバーが存在しない姿を顕微鏡で写したものです。レーシングカー並みのノーサスに近い車が路上でどうなるか想像できる方なら、カンチレバーの無いカートリッジが盤面上でどう振舞うかはご理解いただけるのではないでしょうか。
因みにこの針はW螺子仕様です、今回はAETのステンレス製中空螺子を贅沢に通常の倍用いて装着です。後日納品されたお客様がその音の出方、変わり映えにいたく感動されてお礼の電話を下さいました、嬉しいですね。
お次は針自体はここでもよく見かけるDL-103R。テクニクスの有名なプレーヤーのアーム高さ調整機構が、DL-103に対しては物の役に立っていない面を解決する為に、お客様お持ち込みのOYAIDEのカーボンパーツを組んで嵩増し調整です。同時にシェル基部から針先位置を52㎜に合わせてリード線はK’sRemastaに変更です。K’sRemastaのリード線は4,400円から体感出来ますので是非一度どうぞ。基本的には店頭装着推奨ですが、その工賃も2,000円程度です、私より腕に覚えがある方、或いは腕の良いショップさんとの取引が有る方以外は遠慮なく当店まで装着御依頼下さいませ。でんき堂の近所にある区分けされたオーディオコーナーを有しながらもそこで働くスタッフの会社からの評価はオーディオ以外の例えばネット回線の販売金額で決まると言う、全く謎の評価体系を有す家電量販店が売り散らかしたカートリッジの持込み装着等当たり前の朝飯前の定期的案件ですので、本当に遠慮なくどうぞ。
今度はフェーズメーションのPP-200ですね、ここ最近他所で買っての持ち込みも当店での販売の機会も多いカートリッジですね。写真は今となっては超貴重な専用シェルに装着した姿です、もう作れないのかなぁ…
再びPP-200。青いボディが美しいですね、リード線は少し奢ってあります。いいリード線でしたが、こちらは製作者が高齢になり最近手を引いてしまいました、残念。
カートリッジの装着は→音出し確認→納品前針先状態確認顕微鏡拡大写真撮影、と言う流れです。遠方よりの御依頼の直接来店出来ない方にはこの様な写真を添付して納品いたします。普段見た事のない針先の姿が見れるので結構人気あるみたいですね、このサービスは。
PHONOPHILEのカートリッジゲージのお陰で、針先位置調整の精度と作業効率が以前より上がりました。ご自身で行う方はお一つ手元にご用意くださいね。
そのゲージで調整を済ませたフェーズメーションのPP-300の音出し確認です。先程のPP-200より更に高級なカートリッジです。リード線は何だったかな、結構いいのを挿したのですが思い出せません、御免なさい。少なくとも良い音が出てたことは覚えているのですが、本当に沢山装着しているもので一つ一つを覚えきれていないんですよね…
綺麗なダイヤモンドですね
これは凄かったです。お客様がもう古いからと放棄しかけたSONOVOXを
『いやいやいやぁ、コレは壊れていないから少しお金使ってあげましょうよぉ』
と説得してあれこれ調整したりリード線換えたり磨いたりして現役復帰と致しました。ハッキリ言って私がずるい人間だったら
『あ、おっしゃる通り確かに壊れていますね』
と言ってがめてしまいたくなるようなスンバらしい音を奏でていました、欲しいなぁ、コレ…
これは今となっては激レアの範疇に入ってしまったDL-102SD、78回転専用です。一般販売は数年前に既に終了して居ますが、そのボディを有す方に限り新品交換対応致します。リード線はK’sRemastaをHighPhonicトランス専用接続対応として2本のみの特別販売です。
中部地方から届いたテクニカのAT-OC9系列の高級カートリッジです。名古屋で買って藤沢のお店で取り付ける、まぁ深い意味は有りません。装着する気がない販売店にこんな高級カートリッジを取引するテクニカにも特に言いたい事は有りません。
標準リード線を開放してK’sRemastaに換装です。
リード線の接続も通り道を配慮しながら装着です、このシェルは構造上更に難しいですよ。
AETのステンレス製中空螺子を奢りました、写真でその中心に開く孔が確認出来ますね?たかが螺子、されど螺子、2本で6,500円の螺子が安いか高いかは使った方にしか分かりません。私から言えることは、螺子としてみれば6,500円はあまりにも高く、こちらを用いて得られるオーディオアクセサリーの音響改善効果としては6,500円は驚くほど安いと言う事ですね。
さて、長々とお付き合い有難う御座いました。遠方でも近所でも構いません、他所様で購入されたものでも歓迎です、カートリッジ装着の御依頼は遠慮なく当店までどうぞ。この手の作業はあまり自分で頑張らなくていいんですよ、本当に。
他所で買ったカートリッジの装着依頼は→0466-20-5223
勿論当店でのカートリッジ購入も→0466-20-5223