皆さん今晩は

今年は桜なぞのんびり眺める暇はなかったなと考えていたら、軽井沢方面に住む友人のFBには今正に満開の桜並木が写って居ました、日本は広いなと改めて思いますね。

さてお仕事

 

 

上の写真、端子も装着されて一見奇麗に整った見栄えのスピーカーケーブル、太い外径の線材に高価なバナナプラグなど装着されていると、如何にも良い音が出そうに頼もしく感じるものですね。ではその線材とプラグのコンタクト面、要するに接続方法に考えは及んだ事は御座いますか?
でんき堂では毎度お馴染みのQED AIRLOCは勿論の事、各種様々なケーブルとプラグの組み合わせでのケーブル作成を新規購入も持ち込みも含めて多種多様にお受けしています。今回は新規にラックスマンの人気スピーカーケーブルと同じくバナナプラグでの作成をお受けし、現状のオーディオにおける接続の盲点を判り易く説明出来る写真が撮れましたので御紹介です。

 

 

これはバナナプラグを線材に留めた際の姿です。殆どのプラグは写真の様なイモ螺子で筒内に挿した線材を抑え込む構造です。メーカーによって片側二点締めであったりこの写真のプラグの様に互い違い対面二点締めであったりですが、どれであれ基本はこの小さな螺子の頭で筒内の線材を抑え込む構造です。

 

 

螺子を外して覗いて見ると、まぁこんな感じになります。複数の撚線が並んでいますね。

 

 

つまり、こういう形で線材を螺子で抑え込む形になって居ます。プラグ筒内で螺子の頭で数本の線材を抑えているイメージが伝わりますか?ここは実の所大概のメーカー組品も自作も大差ないのが実情です、本当は線材に半田を流してから締め上げるか、適切なサイズのリングスリーブを圧着してから挿入螺子締め装着が理想なのですが、前者は妙に半田悪玉論が跋扈しているのと、後者はリングスリーブで線材先端を整えて迄の手間をかける方はあまり居ない、そもそも圧着器なんか最近誰も車の電装も弄らないから持っていないのと、一部オーディオ宗教系に伝播している妙な『ピュアストレート』信仰がそれらを阻害し、剥いた線をそのまま何も足さずに留めるのベストみたいな偏波した指向が広まっているのを感じます。因みに撚線直締めはプラグを多少力掛けて引けば抜けます、つまりその程度の止まり加減です。

 

 

さて、こちらは当店お得意の英国QED AIRLOC応用の角圧着処理を施した線材端末を挿入した姿をネジ穴から覗いた姿です。撚線に専用のスリーブを通した上でここが一般の圧着と違うのですが、全方位から超強力に専用のプレス機を用いて圧着する訳ですね。その仕上がった角柱状の金属棒と化した姿はある種の感動を覚えるほどで、またそれを輪切りにして断面を観察すれば完全に撚線が一個の金属ブロック化している事が確認できます。

 

 

こちらは以前撮影したものですが、AIRLOC処理後に敢えて切断した断面を顕微鏡越しに30倍で撮影したものです、スリーブと元撚線が完全に融着して一体化していますね、凄いでしょ?

 

 

先程の写真、プラグ筒内での端末に対しての螺子の留まり方のイメージはこうなります。その前に載せた同じ状況下の撚線に対しての写真と是非比較してみて下さい。全ての撚線が圧着処理され金属角柱化した結果全てが均等な力に於いて通電が計れているイメージが上手く伝わって居れば嬉しいのですが…
この状況での仕上げでは、プラグが緩んだり強い力で引いた程度で抜ける確率は限りなく低減されます。即ち常に安定した接続と通電と言う意味になります。撚線は一方からの力で締め上げた程度では、締めても締めてもその筒内の空間余裕分力が逃げて行くと言えばわかって頂けると思います。

 

 

冒頭の写真を再掲いたしますが、外見上は良く組めていたとして、実は中身は最初の様な状態の接続のケーブルがメーカー製、自作関わらず世の中の殆ど大半である事は是非覚えておいて下さい。実際に当店には高価な完成品でのプラグが、特にお客様が乱暴に扱ったわけでもなく自然と緩んで抜け落ちた事例の手直しの依頼が沢山やって来ます。その大半が撚線プラグ直締め構造である事も含めてです。
勿論他所様の仕上げやその技法自体の是非は論じません、ただ、でんき堂的には上記ケーブルのプラグ内は後者の工法で組むのを基本とし、あくまでその選択はお客様の選択に委ねております故、線を剥いたままにプラグを螺子留めよと命じられればそう致しますし、個人の自作でそうされる事を揶揄も指摘も致しません。ただ、個人レベルでは行えないQED AIRLOC処理及びその応用の角圧着処理を、必要とする追加工賃込でご用命頂けるなら喜んでそうさせて頂きますと言う立場ですので、是非一度ご検討くださいませ。

 

 

こちらは先日補修手直しで預かった電源線ですが、なんと触っただけで螺子も緩めずにプラグから抜けてしまいました。スピーカーケーブルならば『こりゃひでぇなおい(笑)』で済みますが、電源の場合は笑い事では有りません、場合によっては事故なり死ぬなりしますよ。
聞く所によると誰か知りませんが個人自作のケーブルを中古としてそのまま仕入れて販売してしまうお店があるようです、おまけにその修理や修正は受けないのだそうです、全ては伝聞なので確証は御座いませんが、少なくとも今目の前にある預かった線の姿はこうでした。

 

 

勿論当店で預かった以上は安全優先で作業致します。基本は先程のスピーカーケーブルのQED AIRLOC応用の角圧着作業と同じ処理です。やたらと高価でやたらと多芯構造(なんと12芯)の電線をを4本づつに選り分け、ホット、コールド、グラウンド各線へ処理致します。しかしハッキリ言ってこんだけ複数の線材を指先で捩った程度でプラグ内に挿し込んで終了って発想は一体どこから出てくるんですかね?作った人間も何の怖れも感じずに販売する側にも正直呆れるしかありませんね。

 

 

最終的にこの姿に持ち込みます、この上でお好きなプラグを強固に締め上げて装着致します。一度私の組んだケーブルのプラグを自分で外そうとした方が、余りにも硬く締めてあって螺子を舐めたとクレーム気味の連絡を頂きましたが、冗談じゃありませんね。簡単に外せるような前提でプラグ組んでませんから、悪しからず!と言う事です。

 

締まりの緩いのがお好きな方以外は→0466-20-5223