皆さん今晩は、やっと涼しく感じられる風が吹く季節になりましたかね。オーディオで音楽を愉しむのには一年で一番良い季節に私は感じていますが、皆さんにとっては如何なもんでしょうか?

さて、お仕事。
少し前に発表されて以来順調にその人気を伸ばしている中電/CHUDENのMMカートリッジ、MG-3605及び3675。なんと言ってもその魅力は使い易さとその求め易い価格ですね。因みに前者が丸針で後者が楕円針となっています。両者に製造上の手間所以の価格の差は多少御座いますが、上下関係的優劣は無く、各自の聴き方と好みで選べばいいのではないか程度に私自身は考えています。個人的には好む音楽と盤が丸針が肌に合うので、お店では3605の方を使う事が多いのですが、世間全般はいざ知らず、当店の売れ行き自体は完全に伯仲状態の様相をその数字が示しています。

 

 

今回はその人気の中電MG-3605を、主にでんき堂が独占的に販売する重量級シェル(約16g)に据え、リード線の鬼、K’sRemastaの柄沢氏が作成するKS-VWS3024Dで繋ぎます。
単線で作られたこのリード線は特にその配線に配慮が必要となり、柄沢氏ともしょっちゅう話し合うのですが、そもそもカートリッジの接続等は高等技術であって、迂闊に未経験者が手を出すべき領域ではなく積極的にプロに任せるべきであって、故にそれらをお客様からの申し出に於いて繋ぎも出来ないのに販売したがる販売店には基本的に自社の製品自体を触らせたくないと言う点で、柄沢氏の意見に共感致します。有難いことに当店は柄沢氏より、Ks-Remastaのリード線の接続を積極的にお客様が依頼して良いお店として認めて頂けています。勿論買ってみて自分でやって見ようと思ったけど怖くなった方等の持ち込みも多少の工賃で喜んでお受けしていますよ。
写真は奇麗な見栄えの配線を実現すべ作業している所です。先曲がりタイプの細径ロングノーズプライヤーや竹ひご、リードチップの刃先調整用にAETの専用治具、作業台やクランプ程度は揃っていると、こういった作業はし易いですね。尚、個人でやられる方で、道具を揃えずにピンセット程度でどうにかなると思っている方は老婆心ながら、やめておいた方がいいですねと一応申し上げさせて頂きます。

 

 

今回のお客様はテクニクスのSL1200系列をご使用との事でしたので、針先位置をシェル基部から見て52㎜に合わせました。リード線の塩梅も見て頂けたら幸いです、奇麗でしょ?尚、最近PHONOPHILEの針先位置調整用の専用ゲージが登場したおかげで、実に作業がし易くなりました。先ほどの作業時必要アイテムの項目の中に、是非皆様もコチラのPHONOPHILE PP-A24を加えて下さいませ。コチラのリンクを覗いて頂くとお分かりになられるでしょうか、様々なプレーヤーの針先位置も記されていて、調整の際のお役に立つ筈です。現在PHONOPHILE主催者の高橋氏が一生懸命に様々なプレーヤーの数値を調査されていますので、今後コチラの表も益々充実していく事でしょう。
メディアが安易にブームを煽るアナログですが、作り散らかしたものをろくな説明も知識も無く使用経験も浅い店員が跋扈する家電量販店で大量に捌く事以外に興味が無いレベルの大メーカーでは対応しない様な、細かな配慮の出来る小規模なブランド、柄沢氏や高橋氏他の様々な方々の地道で精密な努力のお陰で、私でも皆様に対して適切なアナログ調整が、先に晒したような店で最も手に入り易いらしいSL-1200系列でもアナログ再生が愉しめる様にお手伝いが出来ると感謝しています。

そう言えば私がかつて、10年以上前ですが、社員を平気で取引先の面前でぶったたく暴力社長がいた家電量販店のHiFiオーディオ部門の責任者をやっていた頃に、同好の志の交流サイト上において神扱いされていい気になっている家電量販店オーディオコーナーの店員を仕事の関係上良く知って居ましたが、その彼は実は一切全くアナログを理解しておらず、流石に気の毒に思って廉価にかつ基本を覚えるのに最適と思われる内容の組み合わせを提供してあげたら、何だかんだと言い訳と御託と理由と屁理屈と自己都合を並べて2年間手を付けずに過ごしたらしく、そんな事は私はつゆ知らずにある日『あれから二年経ったからさぞ腕も上がったろうな』と、その彼に私の目の前でレコード盤一枚磨いて再生してみる様に頼んでみたら、テクニカのクリーニングのボトルのキャップを開けずに蓋毎ネジ開けて中身を全部盤面にぶちまけて呆然としているその光景を私は唖然としながら眺めたなんて、今となってもちっとも微笑ましくもなんともない思い出が有ったりなんかしちゃったり広川太一郎風にあったりなんかしますが、まぁその話聴きたい人は直接店頭に来て下さい(笑)
その彼が今どこでどうしているかは知りませんが…

 

 

一通り組みあがったら音出し確認です。これらの製品を扱う全てのオーディオ店頭では当たり前の様に行われている、やってくれて当然の姿です。と、不要な敵を作る発言は今更遅いですが一応やめておきましょう、きっとアナログ製品販売する以上はどこでもやってくれるのでしょうが、不幸にして近所にそういうお店が無かったら持ち込みでもいいので当店までどうぞ。

 

 

最後に針先を顕微鏡で覗いて異常が無いか確認して、汚れが付いて居たらクリーニングしたりしてお終いです。お客様が来店の際は接眼レンズを覗いて貰えますし、遠方よりの御依頼時にはこの様な写真を添えてお出ししています。勿論全国どこでもアナログ製品を扱うところでは当然の様にやっていると思いますが、不幸にしてそういったところが思い当たらなかったり見当たらなかった際には当店までどうぞ、勿論遠方から他店購入品の送り込みでも一向に構いません。
『自分の針先を一度顕微鏡で覗いて見たい』でも構いませんよ、特にそれでお金取ったりはしません、なんか他の事でお客さんになって下されれば幸いですので。

 

 

ところで今回装着したこの針の音出し確認に、適当に箱から拾い上げたディスクが『伊藤つかさ』
高出力の丸針MG3605で聴く音のあまりの嵌り具合に正直驚いた次第。
画面の前で『ぷっ』となったあなた、笑うのは構わないけどこのディスクは凄いのよぉ~。何故って80年代前半を絵に書いたようなお風呂場エコーと彼女のたどたどしくも可愛らしい歌声、そしてその製作陣及び参加メンバーが、矢野顕子 原由子 大貫妙子 竹内まりや 加藤和彦 高橋幸宏 坂本龍一 大村憲司 後藤次利 清水信之っておいおいおいおいおい、なんじゃこりゃあ~?ってくらいの衝撃的メンバー、凄いですねぇこれ。当時の彼女に対する事務所側の期待と言うか、社長がいかに可愛がっていたのかが思い知れる投資と必勝態勢の布陣ですね。
今これだけの超が付くレベルのメンバーでアルバム作って貰える娘っているのかなぁ、とにかく歌い手の技量はともかく、つかさちゃんファンじゃなくとも聴く価値ありますよ。特にB-⑤の矢野顕子の作った曲、変幻自在の絶対音感の持ち主の彼女が一体何を想って伊藤つかさにこの曲を提供したのかは全く持って謎ですが、とにかく本来作曲者自身にしか歌えないんじゃないの?ってレベルの矢野顕子特有の変調リズムを一生懸命に歌うつかさちゃんの姿がとにかくいいよねぇ(笑)

 

さて、夜も更けた、帰って少し寝て早朝に再放送している『暴れん坊将軍』で伊藤つかさのおちょぼぐちな顔でも眺めるか(笑)

 

中電の丸針でつかさちゃんをあなたに→0466-20-5223