オーディオテクニカは、国内有数の規模のオーディオアクセサリーブランドとして皆様も良くご存知ですね。最近はヘッドフォン/イヤフォンブランドとしての知名度の方が高そうですが、元はと言えば東京オリンピック以前の1962年に小さな所帯で創業し、AT-1、AT-3と言ったアナログカートリッジでスタートしたアナログメーカーでした。
その彼らも今ではすっかり規模も拡大し、その事業はアナログ機器を遥かに凌ぐ様々なプロダクトによって支えられています。ただ、やはり彼ら自身のどこかに、自分たちの礎を築いた素はアナログカートリッジであると言う自負が残っているのでしょうね。時代時期によって力の入れように温度差(90年代~10年頃までは低かったですね、正直言って)こそありましたが、ここ最近の彼らのアナログ製品への力の入れようには正直驚かされます。
リンクを覗いて貰えればお分かりになられるかと思いますが、一体どうしちゃたの?と心配になる数のアイテム数を揃えて市場に臨んでいます。その数は間違いなく国内最多、世界的に見ても一つのブランドが同時に揃えるラインナップとしてはトップクラスですね。一頃なぞ実質片手半程度しかラインアップが揃って居なかった時期もあったくらいなのですが・・・
そこには理由も勿論あるのですが、幾つか思いつく中でも私が把握している一つは、要するに彼らが今まで国内に投入してこなかった各企業向けや世界の各市場毎に使い分けていた種々のモデルを、今までと違ってこぞって国内にも押し並べて投入して来たという事です。
例えば20年近く前の話ですが、秋葉原の老舗の店頭に立っていた頃に、AT150Tiと言う知らないVM型をとんでもない低価格で販売したりして、それがまたテクニカの総合カタログにも載ってないのですが、要するに当時の国内流通のAT150MLXと基部を共通化した海外向けモデルだったりした訳ですね。他にも時期によって国内非定番型テクニカカートリッジと言う、謎の存在が時折私どもの手元を通過していくのですが、ここ数年でしょうかね?彼らの中で何らかの方針の変更があったのだと思われます。

一つ目は原点回帰としてのアナログ製品の強化

二つ目は複雑な製品展開の地域エディションの見直しと恐らくですが商品展開の市場での共通化

三つ目は、こんな事書いて怒られなきゃいいけど、まともなオーディオショップとの関係の再構築

最初のふたつはまぁ良いとして、三つ目は何かと言うと、要するに彼らの会社規模が拡大するに従って、各販売店との取引自体が商品の個ではなく、年間総額のグロス的扱いになり始めたってことです。
1960年代のテクニカが会社を始めた頃には、秋葉原中のどこオーディオの専門店を新製品と名刺持って巡っても、名も無い新参者故に全く相手にされずに出口はアチラとやられていた中に、唯一当時のテレオンの社長が全部持って来いと男気を見せてその新製品(恐らくAT-1)を全て買取り、売りに売って秋葉原にテクニカカートリッジの一大ブームを巻き起こして以後、当時の社長は会長に退いた後も長く正月には必ずその店頭に、相当なお歳を召されても自らの足で来店して同じく会長に退いていたテレオン会長への挨拶を欠かさなかったと言う、如何にも昭和的美談なんかがあったりして、私もその最後期の姿を脇で眺め、先輩社員から事の経緯を伺って感動したりした物です。
ところが、いつの間にかテクニカの取引先が全国区になりアナログカートリッジ以外の取り扱いアイテムが増え、世の中もCDが主流になりテクニカ製品を扱わない電気店など存在しない勢いになって以降、アナログカートリッジも満足に付けられない家電量販やカメラ量販ばかりが異常値に近い価格で彼らのアナログカートリッジを最安値で販売し始め、まともなオーディオの知識を持ってお客様の為にシェルにリード線添えてカートリッジを組んであげられるようなオーディオ販売店になればなる程、テクニカカートリッジの価格競争力を失うと言うどうしようもない状況が長く続きました。
要するにどんなにオーディオに詳しくてテクニカのカートリッジを丁寧に扱えたところで、レコードも触った事のない販売員が跋扈する超大型量販店企業の年間のテクニカ製品扱い総額には到底及ばないので、取引の基本が結局は物量だとすれば、当然小さなオーディオ専門店が条件面で大企業に勝てる訳もなく、本来数では無く誠意と技術で接するべき高価なアナログカートリッジを扱うべきお店がそれを十分な販売力でもって扱えずに自然と売り上げも減り、よって営業の足も自然と遠のくと言う悪循環が続いた訳です。
そんな彼らもどこかで気が付いたのでしょうね、超大型家電量販の要求する人身供養的補填として休日構わず駆り出されて、彼らの新店のオープンや閉店/改装等の現場で、どこか取引関係の公平性を取り違えた商品部長とか営業部長とか販売部長とか商品マネージャーと呼ばれるいばりくさった連中とかに顎で使われ、本来量販店の彼ら自身がやるべき商品陳列なんてやらされているうちに・・・

 

 

さて、ゴタクが長くなって申し訳ございませんでしたが、写真をご覧くださいませ。
ベルドリームの12連装カートリッジスタンドBD-CK12A(只今数限りで特価販売中、22,000円税込、お早めに!)にズラリと並ぶ壮観なカートリッジは全てオーディオテクニカの現行アナログカートリッジの一群です。勿論彼らの現有カートリッジはこの何倍も種類が御座いますが、用意したMC、MM(VM)、SP用各種12個全てシェル装着状態で店頭試聴対応です。これはちょっと誇っても良いのかもしれない数です。テクニカの針は日本中どこでも購入頂けますが、これだけ聴ける分を用意して居るお店は少ないかもしれませんね、何事も断言はできませんが・・・
今回、でんき堂がこれだけテクニカを展開した理由を端的に言いますと、彼らが態度を改めたからと書くとあまりにも横柄に聞こえるので気をつけますが、テクニカの示す私達の様なオーディオ専門店に向き合う姿勢が、今迄に比して非常に心と行動の伴った物に変わって来たように感じたからですね。オーディオテクニカ全てのモデルで必ず超大型家電カメラ量販店に勝てるとは言い切れませんが、そこに挑戦するだけのチャンスは彼らが提供してくれるようになりました。
故にでんき堂としても、元々テクニカのカートリッジの良さ自体は理解してるわけですから、彼らの示す態度にこちらも誠意で応えよう、そうありたいなと言う一種の意思表示な訳です。

例えば最新型のMCカートリッジ、AT-OC9Xシリーズは最上位モデルのSLから最廉価の実力機EBの5種類全てが揃って試聴が叶います。必ず好みの一つが見つけられるのではないでしょうか?
皆様もオーディオテクニカの製品、アナログカートリッジをご検討の際には是非ともその俎上にでんき堂を加えて下さいな。
そして、そのカートリッジの装着や調整に関しては取り付けを含めて、でんき堂が、今一番依頼し易いお店だと言って決して差支えないと思いますよ・・・

 

オーディオテクニカカートリッジの御用命は→0466-20-5223