皆さん二週連続の三連休はお楽しみになられていますか?つまりでんき堂は仕事なのですが。

空調の関係で階上の飲食店から漂い迷い込む旨そうな匂いに悶絶しながら、今日も一人居残り仕事です。秋口になると、気候も過ごし易くオーディオ的にもダレた夏場に比べて音がグンと良くなるので、BGMがてら流してる大好きなアルバムも店主の腹具合に関係なく御機嫌です。
さて、本日はお得意様より注文を頂いていた、ortofonのSPUボディを纏ったCG25DiMkⅡと言う、古(いにしえ)のスタイルを継承したモノラルカートリッジのお渡しがあり、最終確認の試し聴きのその際に、何かこの構造的にも横振動に特化したオルトフォンを活躍させる盤は無いかと狭い店内を見渡しましたら、目に付いたのが1958年の『和田弘とマヒナ・スターズ』のしかも10吋(インチ)盤。再発盤等の現代のモノラル盤だと実はこのオールドタイプの針先と振動系では上手く噛み合わない事もあったりして、その際にはステレオ構造のSPUを電気信号的にモノラル化したタイプ、オルトフォンならばSPU Mono G MkⅡというタイプが用意されているのですが、ステレオLPが登場以前或いはステレオ黎明期の頃までのモノラル盤なら断然このCG25DiMkⅡがお勧めです。
『マヒナ・スターズだよ、おぉ~!』とお客さんと一緒に盛り上がって早速針を落としたその音は凄いの何の、『チャコぉ~♪』なんてザ、ムード歌謡その物の、彼らのコーラスワークに歌声の肉声感のねっとり厚い事、熱い事、思わずジャケットを手に取り見返してしまいました。

 

 

写真は正にその再生中の姿で、37gと言う嵩の張った自重のカートリッジ故、グランツのアームのウェイトを逆さ向きで使ってバランスをとると言う裏技と言うか緊急策でしのいでますって、あ、コレ言っちゃって良かったのかな、ハマダ社長・・・。10吋盤なので12吋では普段隠れて見えないタンテーブルシートが少し見えますね。後ろに映るのは、お客様のレコード盤のクリーニング作業に勤しむ当店のスタッフの腕です。お陰さまで相当数の作業を重ねてここ最近かなり腕をあげましたので、皆様もレコードクリーニングの依頼もしてみてくださいな、磨いた後の音は確かにいいものですよ。
ともあれ、オーディオショップでマヒナ・スターズなんてあんまり掛からんでしょうし、逆に聴けても盤に適切な針先で聴いた例(ためし)がある方もそうおられないかもしれないですね。私も実は初体験です、勿論存在は存じてますよ、マヒナ・スターズ。聴いた事もありますよ、でも、時代と盤の溝に則したカートリッジで耳にした彼らの歌声には正直驚きました。勿論知らない時代ですが、昭和三十年代の銀座のキャバレーってこんな感じだったのかなって勝手な妄想が膨らみました。
殊更、ムード歌謡ってジャンルがHiFiとの邂逅する機会を得るのってなかなか少ないので、或いは私の勝手な思い込みかもしれませんが、故に今日は全くの偶然ながら実に新鮮な経験と新しい発見を得た次第と、まぁそう言った事ですね。私も純粋なモノ振動系針を用意して、ジャンルを問わずにこう言った時代の盤を聴いてみたいなと素直に感じている所です。

 

ステレオ針の購入もモノ針の相談も→0466-20-5223

 

因みに当のマヒナ・スターズの盤はその鳴り具合に感銘したお客様の手元にそのまま渡ったので、もう当店では聴けません、悪しからず。あれはいい音だったな、確かに・・・。チャコ~♪