xtctp15015_1今を遡る数十年前、アナログレコードが音楽再生の中心メディアだった頃、タンテーブルからアームにカットリッジと、アナログにまつわる製品のバラエティーに富んだ当時のオーディオ年鑑を紐解けば、恐るべくアイテム数が掲示されていて眩暈を覚えると同時に、今となっては羨望の眼差しをもって眺めるしかない素敵な製品群の並ぶそのページを、70年代当時の目線から見渡した将来として見えた、光り輝くデジタル技術とそれを扱う高度な人間性によってもたらしてくれる、明るい未来の効率と貧弱な安物に囲まれた現代に生きる2013年の僕らは、ただ黙って眺めるしかありません。要するに、一体全体まったくありがとうよ、と言った気分です。まぁそれはオーディオに限らずなので、愚痴はこの辺でやめておきますが。

で、オーディオクラフト。

AC3000や4000といっった、交換アームパイプ方式でかつ、かなり高度なセッティング技量を求められるシングルポイント方式のアームで、よくまぁこんなもん思い付いて作る方も、買って使う方も、ともあれ志の高い時代だったんだねぇとしか言いようがない凄い製品ですが、兎に角繊細で作り込んだ製品を得意とするブランドで、他にはアナログカートリッジやフォノケーブルなんかも手堅い製品を展開して来ていて、モデルチェンジもなくかなり長い期間静かに売り続けるオーディオクラフト姿勢が、最近は喋り過ぎの出たがりが多いアクセサリ系ブランドの中にあって、極めて珍しい存在なのですが、大人し過ぎて2000年越したあたり以降、ますますおとなしいというか見かけなくなったと思ったら最近は、いつでも手に入る定番と思い込んでいた製品も粗方市場から消え去っていて、オーディオクラフトもいよいよ過去帳入りかと思わずにはいられない状況です。

この今回のお題のフォノケーブルも、まぁいつでも手に入る定番製品的な感じで、頭の片隅には常に存在してたんですが、いつカタログからなくなってたんでしょうね?

極めて正当的に作り込まれたフォノケーブルです。

かなり立派な端末や分岐プラグを用いていて、当時は二万円しない価格設定だった様子ですが、使っている部材や手間を鑑みるに、現代に再生産かければ四万円弱程度のタグはぶら下がるかなといったところですね。

今回は長さ1.5mです。フォノケーブルは長すぎるのは苦手なのですが、フォノアンプやトランスを、プリアンプの間に並べて使う可能性が高い現代のアナログ遊びにおいて、多少の余裕がもたらす自由度は一度経験した人にしか分からないもの。

誰でも存在は知っていてその割に探すと出てこないオーディオクラフトのフォノケーブルは、特に今回の1.5mはめっけもんですね、お早めにどうぞ。

音はごくニュートラル傾向でどこかを持ち上げるような事はない、派手な事を嫌うクラフトの伝統に沿った音ですよ。

完売しました。