ここでも幾たびか話題にあげて参りましたが、その接続自体が妙に高音質と同義の様な印象で語られる帰来のあるバランス接続時に於いて、お客さま側からキャノンタイプケーブルでのバランス接続の話が上がった際には、私の場合、それ自体の優劣を云々以前にまず必ず接続対象のホット番手を確認するようにしています。
アンバランス接続、バランス伝送接続、完全バランス回路設計の意味合いと解釈を優劣でどうこう語る以前に、そう接続してみたいと探究心をもったお客様の気持ちを最大限尊重して、まずは正しく接続頂いてその差を体感頂いての両者の差なり好みを、身を持って体感頂く事が重要だと考えています。
つまり、キャノン接続も未だに2番ホット3番ホット問題が理解されていない向きも多く、この両者を理解せずに間違ったままの接続ではRCAケーブル等の一般的なアンバランス接続との比較以前の問題になってしまいます。
これは間違った接続でも特に機械が壊れたりする訳でなく、音自体は両逆相と言う形で出てくるところが話をややこしくもしている一因ですね。
尚、一般論的意味合いでの国際標準は業務機を中心に輸入系オーディオのほぼ大半を含めて現在二番ホット、即ちピン配列的には1G2H3Cとなっております。古い日本製の機材や、現在でも有名どころではアキュフェーズが何らかの明確の理由でもって3番ホット、即ち1G2C3Hのピン配列を採用しています。その理由までは流石に分かりませんが、とにかくキャノン端子を有した機械だからと言って無造作にバランスタイプケーブルで繋げばいいって訳ではない事はご理解下さい。
それでは効果はともかく、バランスケーブルで接続したい、或いは双方の機材がキャノン端子しか空きが無い、おまけに片方3番ホットだよおい!って時はどうすればいいのでしょうか?最近のアキュフェーズには入力ごとに位相反転スイッチが付いてたりする場合もあるので、理屈を理解して使ってさえいればこれは問題もなさそうですが、それも多少遡った機材まで辿れば全てに装備されている訳でもありません。また、普通はそういった装備自体が珍しい物です。
その際は2番3番反転ケーブルを用意します。或いは反転プラグを購います。反転仕様をレギュラーで用意しているケーブルメーカはあまりないのですが、リクエストで対応するところもあります。反転プラグは秋葉原の部品屋さんの様なところとかが反転プラグを用意していますが、これらは実際にその仕様と必要を理解していないとなかなか難しい物にも感じます。
今回作成させて頂いたケーブルは、写真に見られるように片側がキャノンタイプXLR、片方はRCAです。おまけに接続対象機が業務系プロ機にして3番ホットと言う、まぁ一種のイレギュラーですよね。そんな用途にましてや必要な長さでケーブルが予め用意出来る様な鷹揚な環境のメーカーなり販売店等は、鉦や太鼓打ち鳴らして探した所で早々お目には掛かれんでしょうから、これは手っ取り早く作成依頼しちゃいましょう。まぁ今時オーディオ屋の看板掲げている販売店のどれくらいが、気軽に用途に応じたケーブルを作成してくれるのかまでは私も良くは存じておりませんので、あまり無責任な事は申し上げられないのですが…

 

おい、3番Hだよこりゃ、参ったなぁ・・・→0466-20-5223