人気のSPUには古のモデルに/GTが存在していました。あの大きなシェルにトランスを抱き込んでいる奴です。ただでさえ大きくて重い針ですが、トランスを内包してより重くなり、使えるアームもかなり限られてきます。それでもそれをするだけのメリットがあって、つまりMCピックの場合、針先が拾ったレコード溝の振動をコイルの発電のか弱い発電状態の細い信号でシェルからアームへ接点で受け渡してアーム内を伝達し、もう一度接点を経てアームケーブルに到り、更にもう一回駄目押しで接点を経て漸くトランスで昇圧されると言う、およそ針先から至る事お1~2mの移動距離に弱い信号にとっては起きえる様々な弊害を乗り越えてと結構大変な信号の旅なのですが、SPU-GTは予め発電直後に直近でトランス昇圧が叶うのが魅力の針なので、以降はフォノイコライザーまで比較的安定した大きな信号で送り届けられる訳です。つまりシェル以降の信号はMMカートリッジを使っているのと同じで、かつ発電はMC方式な訳ですね。よって中古しか存在しない現在では大変貴重で高価な存在となっています。現在のオルトフォンが何故未だに大変人気なGTタイプを出さないかは私にも分かりません。ただ物事の一面だけで判断は出来ませんが、色々な方式の中、この考え方が面白い事は間違いありません。理屈も重い事を覗けば電気的には理に適っていると思います。
そんな事を考えながらある日、お得意さんとの雑談の中から生まれて来たのが今回のDL103/T(仮称)です。つまり、SPUで出来たんだからDL103でも適切なサイズのトランスを見つけてくれば出来んじゃね?って感じです。ただ実際には私みたいな思いつき型の人間が閃きだけで何かを話すのと、それを実際に実行するとの間には雲泥の差が存在します。今回は大変恐れ多い事にその閃きを元にこの方はそれを実現なさいました。その実行力と技術に恐れ入るばかりですが、出来あがったそのDL103/Tを聴いて感じたのは、これを一部で占有するのも勿体ないのではないかと言う事です。近々雑誌にもその製作レポートが載るそうですが、今回この方に許可を頂き、でんき堂スクェアとしてこのトランス搭載型のDL103/Tを少数ですが受注製作販売する方向で話を進めております。ご興味おありの方は一度店頭で現物を御確認頂き申し込みくださいませ。価格はDL103本体価格(当店販売価格28,000円、2018/1月現在)+シェル(重量及び加工の関係でテクニカMG10指定、4,000円弱)+リード線(5,400~10,800円程度の範囲)+各種部材込み製作費30,000円程度になると考えています。今回はDL103とシェルは新規購入に限らさせて頂きます。リード線のみは製作時に選択肢は残せそうです。針圧その他に変更はありませんが、完成重量は写真の物で実測32.6gでした、つまりGTではない一般的なSPUに対応したアームをお使いの方には使用可能な範囲と言えますね。接続は勿論MMポジションとなります。さぁ皆さん如何でしょう?私は今これが欲しいです。確かに如何にもバックヤードビルダー然とした仕上がりです、何しろ手作りだし。しかしこの再生の押出しの良さ聞いちゃうとどうにも我慢が・・・

 

 

ご試聴、お問い合わせ、申し込みは→0466-20-5223