巷で言われる様な、アナログブームが本当に来ているのかどうかは正直、私には分かりません。でもアナログ再生が愉しい事は間違いありません。
今日のお仕事はテクニカのAT-MONO3/LPのセットアップです。しかも今話題で人気のFIDELIXの密着シェル。

 

 

上はメーカーHPより借りて来た図ですね、シェルには通常アーム側基部に固定ピンが一本立っていますが、コチラは上下二ピンで僅かに互い違いの位置に据え付けられていて、そのお陰でアームとの食い付きが抜群に改善される構造的機構ですね。こちらのシェルを介して聴くカートリッジは確かに再生音の安定度が増しています。価格も内容の割りには安く感じる設定なので、是非ユニバーサルアームの方々には広くお勧めしたいと思います。敢えて注意点を申し上げると、この密着シェルは肉厚構造も含め重量自体が少々重い、リード線含んで約16gで、更にビスナットでプラス1~2g加算されます。例えばDENONのDL103の場合こちらが自重8.5gあるので、重めのビスだったとして合計26.5g、余裕を見て27gまで対応可能なアームが、正確なバランスを要求する際には必要となります。よって実際に装着されたいカートリッジ自重の合計とお使いのアームの対応荷重と良く相談されてから御用命下さいませ。また、その辺の感覚が今一つ分かり切らない方は一度店頭まで相談下さい、その際はセットプレーヤーの方は、プレーヤーのブランドや型番を正確に、アーム及びキャビネットが組み合わせの方は、アームの正式な型番を予めお調べいただいた上で連絡頂ければお話はスムーズになりますよ。

 

 

写真は取り付け終わって音出し確認中の姿、シェルの厚みが確認出来ますね。ここにも良く紹介されるDL102とはまた違ったモノラル再生音が確認出来ます。尚、こちらはモノラルカートリッジですが、リード線自体はステレオ出しになっていますので一般的なリード線で普通に装着が出来ます。

 

 

毎度お馴染み顕微鏡針先拡大写真です、一口にダイヤモンド針と言っても色んな針先形状があるのが良く分かります。見る限り、どうやらアルミパイプカンチレバーにソリッド無垢ダイヤ、形状はコニカル型かな、コレは。背面突起は凝固した接着剤です。私はこうして顕微鏡で覗いてアレコレ言っているだけですが、顕微鏡で漸く分る様なこの小さな部品を、実際に接眼レンズ越しに覗きながら手作業で植えていく方々の技術力には常々敬服いたします。

アナログレコード再生は、確かな技術で作られた製品、確実な作業でのセットアップされたカートリッジ周り、使い手の調整の努力の三つがとても重要です。この三点は、使っている機材の高価豪華立派さや所有する盤の録音状態の優劣を騙る以前の部分です。100万軽く超すタンテーブルも購入し易い価格の入門機も製品の新旧も、調整の大切さに差はありません。つまり、高い製品が人間の作業を省いたり即良い音を保証するジャンルでは無い事だけは良く良くご理解頂いた上で、この巷に言われているアナログブームが本当の意味でのブームになる事を切に願います。

 

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