英国プレゼンスオーディオのロンドンシリーズ、創刊当時のステレオサウンド知ってる様なベテランには「デッカのロンドン」の方が通りが良いでしょう。現在はDECCA名義は使えないので、Presence Audioとなっていますが、このMaroon / マルーンは当時を知る人なら尚更、殆ど変わらずの姿で相変わらず英国で頑固に供給されています。当時の針で今でも変わらず同じ物作り続けているのはもう、コロンビアいやデンオンもとい、デノンのDL102とか103くらいじゃないかなぁ、103も実は途中で内部変更が起きてますがまぁその話は秘密ですね。因みにSPUは姿こそ似ていますが、現代のはあくまでも後継機です、全く同じ物の継続ではありません。
で、ロンドンマルーン。今日音出しの必要があってSMEの現代的復古版S2/9Rに装着して聴いてみました。フォノEQには現在人気上昇中のSoulNoteのE-1をあてがいました、このEQアンプ使い良いですよ。閑話休題、それでね、これが本当に良いの、惚れ惚れするくらいに。
具体的にどこがとか表現し難い良さで、作りは古臭い、構造はブラシを当てるのも恐ろしげな華奢さ、何しろカンチレバーに当たる部分が存在しない代わりに撚った糸でテンション与えてあるとか、出力的にはMMを採用しながら針先交換は出来ない構造で代わりにリードピンを含んだシェル面取り付け台座と本体がスライドで分離するとか、他に類も見ないし他の何にも影響される覚えも影響与える気もサラサラ無いフォースの英国面全開の変態っぷりをノビノビ発揮していらっしゃる。
写真でお気づきの方もおられるかと思いますが、私も以前から疑問にというか不思議に思っているのがこのSMEのS2シェルとの異常なまでのマッチングの良さですね、いや音は勿論良いですよ、それ以上に感じるのが見た目の収まりの良さ。元々SMEのアームはたいそう姿が宜しくて余程お下品なカートリッジを装着しない限りは大概美しく見えてしまうのですが、このLondon Maroonを誂えた時の姿は格別です。だってSME S2シェル独特の先端△部に全く同じ切り角で収まるのはこの針だけですよ、本当に。これは偶然ではないと思うのですが、どなたかベテランの方その辺に詳しい方教えて下さいませんか?少なくとも秋葉原の老舗に居た時は、日本一古いオーディオメーカーから転職して来て客も知識も全部オレの物だみたいに偉そうにふんぞり返っていた副店長も含めて、誰もそういう事教えてくれませんでした、まぁどうでもいいけど。
で、DECCAもSMEどちらも非常に古いオーディオ製品の歴史を持つので、同じ英国だしどちらかがどちらかを念頭に置いて物造りをした筈なんですよね。DECCAがこの針を出す際にSMEのシェルに形を合わせたか、SMEが新たにアームを市場に送り出す際にDECCAのカートリジを念頭に置いてデザインをしたのか。最早50年は軽く経つ以前の話なので私には正解は出せません、実の所答えも解らなくて良いかもです。ただそんな経緯をあれこれ考えてるのが愉しいのですね。
皆さんはどちらだと思いますか?私個人としては多少後者に魅力を感じて居ますが、全くの偶然であると言う第三の選択も無くは無いですが余り魅力は感じません。ともあれ見栄えがこれだけ決まるには何か訳が有ります。そこから紡ぎ出される音がそこにある何かを間違いなく目の前で証明しています。SME遣いの身としては手に入る内にこの気の長い英国人の造り出す何も新しくない逸品を是非とも手に入れなければと改めて感じた次第です。

 

 

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