皆さんも「俺歳喰ったな」と思う瞬間がある事でしょう。人の撮った写真の中の自分を見た時とかね。鏡で見るのとは違って、それは客観的目線なので尚更なのでしょう。なんでそんな話かと言いますと、今日お客様から加工の依頼を受けたスピーカーケーブルにそれを思ったからですね。

 

 

このケーブルは20年ほど前に結構人気の有ったオルトフォンのかなりの高価なスピーカーケーブルで、6.7NSPK-500だったかな、4,500円/mはしていましたね。で、このケーブルは、正にこの写真の個体そのものを私がかつてお客様に販売して接続して来た物です、20年前に。良くそんな事覚えてるねと思われるでしょうが、数え切れないくらい販売させて頂いて来た数多のスピーカーケーブルの中で、このケーブルだけは不思議と私の手元から出ては戻ってを繰り返して来て良く覚えてるのです。新品で切り出された最初は、20年前当時私が店頭に立っていた、国道129号沿いにあった相模原出自のザ・ブラック量販その物だった家電量販の一支店の小さなオーディオコーナーでしたね。(*筆者注、以降どうしようもない話が書かれているかも知れませんので、私の毎度のクダ巻きに耐性無い方と後で文句言う方と、ここに出てくる家電量販の関係者はお読みになられない事をお勧め致します、その場合はこのままずっと下って最初の改行まで御進み下さいませ、それでも読まれる方は自己責任でどうぞ!)どれぐらいブラックかと言うと、当時のその店の二階の事務室で店長と休憩してたら、ゴルフ帰りの社長がたまたま立ち寄って気に入らない事でもあったのか、いきなり凄い形相と剣幕で扉け破って入って来るなり馬鹿野郎と大声で怒鳴るなり店長殴ったもんね。あん時は流石に驚いて、機転が利くのが売りの筈の僕も、あまりの勢いの止める間もない出来事に、目の前で自分の直属の上司の店長がその雇用主側の一番偉い人にブン殴られる光景をただ茫然と眺めるしかありませんでした。ただ、その時確かに私も驚きこそすれ、やってる事自体はこの会社の社員にとっては皆見慣れた光景で、本部の会議のたんびにこの社長に仕入れ担当怒鳴られたり殴られたり、みんな感覚麻痺してたんだろうね、きっと。しまいにゃ慰安旅行でいった熱海で他所のやっぱり家電量販から招聘した部長と取っ組み合いの喧嘩もしてさ(笑) 私の周りにもこの社長に肉体的にも精神的にもやられてイップスみたいになっちゃった元店長とか元責任者沢山居ましたね。仲良かった先輩社員に久しぶりに本部で会った時に、精神的に完全に参ったのかすっかり目付きが変わっていて、初めましてと丁寧に頭下げて名刺渡された時には心底驚いたし。話が逸れ過ぎました、くだらない話はこの辺にして本題。因みにこの社長は立ち回りが上手いのか余程運がいいのか知りませんが、日頃の言行や暴力沙汰が問題化する事もなく今でも立派にその立場で御健在で、この会社の指揮を取られ続けていてその規模も随分大きくなったし、この時ブン殴られた元私の店長もその後色々紆余曲折を重ねていましたが、数々の仕打ちにも不思議とこの会社辞めずに、今では埋め立て地にあるこの量販の物流倉庫で汗を流していると古い仲間から風の便り以上には正確に伺っております。

上から跳んだ方はココからどうぞ。
それで私のお得意様にこのケーブルは納められて暫く活躍していましたが、その後秋葉原の老舗オーディオ店に移った私にこのお客様からアンプの入れ替えの依頼が入って、その際にスピーカーケーブルも新調されてこのケーブルは引き揚げられて来ました。その際に長かったこのケーブルは分割され新しいお客様の手元へ旅立ちましたが、残った分が端末加工処理を新たに施した上で2mペアで私の知人の手元に渡りました。その後新たなオーディオ専門部門で責任者だった私の手元に、この知人からオーディオの入れ替えの際に再び戻って来て、それが丁度10年位前だっと思いますが、その時再度端末加工を施されてまた新しい方の手元に渡りました。それから7~8年経て今度は独立した私の手元にまたまたこのケーブルは帰って来て、一旦私の手元でスーパーツイーターの接続を担当した後に、新たに今の所有者に引き渡されました。それから数年、今度はこのお客様の依頼でAIRLOC加工です。写真はその加工前の元の状態ですネ、つまり10年前の私が施した加工状態ですね。勿論その時に出来うるベストは施したと信じていますが、当時はまだAIRLOC処理等良く知らなかったし、技術的にも今より未熟に感じる部分が残っていて恥ずかしい面もあります。そんなこんなで最初の話が出たのです、俺歳とったな・・・って。ケーブル眺めてそれに纏わる色々な思い出が脳内を駆け巡ると同時にそう思いました。一本の紐が随分色んな景色を引いてくる物ですね、件の社長の褒められたもんじゃない武勇伝もその中の一つでしょうしね。下の写真は綺麗さっぱり古い端末を切り落とし、でんき堂スクェアの誇るAIRLOC処理を施し終わった状態です。

 

 

如何でしょう、両者を見比べて。どちらも全く同じケーブルですが、見た目の印象だけでも随分と違う物には見えませんか?勿論音もAIRLOC処理後には丸で違う物に生まれ変わっています。処理前にはどことなくもたついた感があった再生音が、高精細と鮮やかさと分解能を伴って音楽を空間に提示しました、販売後二十年経過して今が一番良い音なのでしょう、このケーブルとしては。或いは君も随分進歩したねと思って頂けるかもしれないし、俺の私の僕のケーブルも是非こうしてくれぃ!ってのも大歓迎ですし、この拙い文章を読まれて皆様がどう感じられるかまでは私にはコントロール出来ませんが、お持ちになられたケーブルを新たな方向性にコントロールする事は私にも出来ますので、是非そのお手伝いをさせて頂ければ幸いに存じます。

 

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