お客様の熱意には誠意で応えます Zonotone NeoGrandio 07Hi+QED AIRLOC仕上げ特注あり
on 2025年2月5日皆様こんばんは、なんだか中居とフジテレビの騒ぎであっという間に1月も終っちゃいましたね。普段民放とか視る習慣の無い私自身は、彼と同じ年の生まれでかつ、職場の『でんき堂』が藤沢にあるって事以外には何の関連も有りませんがね。
ともあれ寒波に震える二月は、可能な限り部屋に籠ってオーディオ弄って好きな音楽聴いて過ごしましょうよ、下衆なTV番組見て過ごすより楽しいですよ、多分、なんてね。
さて、今年も順調にと言うか相変わらずと言うか、でんき堂はお客様から数多の御依頼を頂戴しケーブル弄ったり針先調整したり顕微鏡で眺めたりしています。
それらは御来店であり電話でありメールでありと、様々な地域のお客様方が当店からの遠近問わずに、用い得る手段と都合でもって頂いた御依頼に基づいての行動で、共通して言えることは、全ては依頼を下さる皆様方のオーディオに対する熱意より生じたものと言う事です。
お客様方其々に、ああしたい、こうしたい、ここが困っている、ここを改善したい、もっと良くしたい、と言ったオーディオに対する思いと想いが存在し、来店の際には話し合いを重ね時にはペンを片手に絵解きしながら、電話なら可能な限りの話し合いの時間を頂戴しながらと云った塩梅です。尚メールに関しては、当の私が活きた会話を好むので、メールの問い合わせにも最終的には電話の応対をお願いしたりしています。
それにしても顔の見えない同士でのやり取り故に、先方の不安に繋がらない様に努めてはいますが、お客様の要求や意思に対する私の理解不足や齟齬もあるかも知れません。
その際には近隣の方ならば是非ご来店頂き直にお話をとも言えますが、近かろうと忙しい方は多いし、来ようにもどうにもならない距離の方も多い、と言うよりここ数年は明らかに当店の常識的来店距離を超越した地域の方々からのお仕事が増え、顔を合わせないやり取りがとても多いのですね。
故に尚更丁寧で慎重な応対にならざるを得ない状況で、今回頂いたお仕事はそんな距離を熱意で乗り越したお客様からの御依頼です。
此方の絵図は、メールで問い合わせを下さったお客様が当方との何度かの電話でのやり取りの上で、最終的に纏まった姿を図に表して完成図としてメールで送って下さったもので、ここまで丁寧な作図を頂戴したなら私も間違え様が有りません。
本来私にPC上での作図能力でもあれば『ご希望はこんな感じっしょ?』とでも返せるのですが、徹頭徹尾アナログな私には手描きは出来ても電子機器操っての作図作画能力は持ち併せていません、故にこのお客様の熱意には誠意でお返しするとして早速作業開始です。
さて、今回承りし指令は『Zonotoneの超高級スピーカーケーブル “7NSPーNeoGrandio 07Hi” を切り出し、両端末を英国QED AIRLOC仕様で纒め、同時に同一線材からバイワイヤ型スピーカー用のショートケーブルを作成せよ』です。お客様から頂戴した作成指示書とやり取り時のメモを眺めながらの作業です。
美しい見映えは音にも表れるを信条に、剥き出し長さ等を調整しますが、正直言いましょう、これそんなに簡単に扱える構造のケーブルじゃないですよ。余程腕に自信があるか、作業自体を愉しめる方以外はどんどん近所のプロショップに依頼する事をお勧め致します。
序に言えば、プロショップとはこのケーブルを販売してくれるお店の事です。こんなに手間が掛かる超高級ケーブルをメーカーが販売を任せている以上は間違い無いと思います、この解釈で。
この線の特徴は複数の特徴、種類の線材をプラスマイナス各線に7本づつ束ねたハイブリッド構造で、うち単線を除く6本を丁寧に剥き出します。また、ここに至る以前の最外皮の剥きが先に記した様に既に相当の手間です。
今回のケーブル、NeoGrandio 07Hi自体は勿論今迄も多数作成作業を担当して来ましたが、今回お客様が完成図迄用意されて臨まれた理由には、要所各所への詳細な注文の存在が有ります、即ち熱意ですね。外皮を剥き出した上で内線に対して通常はそこに収縮チューブ仕上げで充分なのですが、接続に使い易い適切な剥き出し長さ、見栄え及び音響性向上を狙っての専用の分岐器の装着、更にはコットンシースの被せ、そこに用いる収縮チューブの色味や長さの指定等です。
故に通常時より作成手順が複雑化していますので、仕上がり姿を想像しながら図面とにらめっこで作業を進めます。
尚、AIRLOC処理はプラグ外装を先にケーブルに通した上で専用のプラグを専用器具で圧着します。うっかりこの外装を通し忘れると悲惨です、リカバリー不可能な事故となってしまいますので、とにかく都度確認をしながらの作業です。今回はコットンを通した状態への外装通し故に非常に求められる技術レベルが高かったですね。
上記画面には写っておりませんが(下の写真の下側分岐器基部に確認出来ます)、今案件には円周型のノイズ対策アクセサリー、アモルメットコア改めアモルクリスタルをケーブルに通す依頼も併せて頂戴しています。此方もプラグ装着前に通さねば作り直し不可避の大事故ですので忘れず通します。
相当の時間と相応の技術を用いてなんとか無事仕上がりました。今回は神経も時間も普段より多目に使いましたが、仕上がりもそれだけの物に感じます。個人的には良い仕事が出来たとの思いを抱いているのですが、後はお客様の感想次第ですね。
並行して作成した同一ケーブルにて作製したショートワイヤです。前後Y及びバナナプラグでのAIRLOC処理をし更に方向性管理とチューブの色指定も含め各線コットン掛けも施した、手間も価格も相当な高級品となりますね。
さて、無事作業も通電もチェックも済ませご依頼主に発送して暫く後下記メッセージを頂戴いたしました。
本件、昨日無事にケーブル拝受いたしました。
想像を超える出来栄えに加えて丁寧な作業メモまで同梱いただき、感動しております。早速拙宅のシステムに組み込んでいますが、以前のケーブルがバイワイヤアダプターを併用した自作ケーブルなので、面白いくらいに音が変わっております。
まず低域側メイン→高域側へジャンパーで飛ばした場合ですが、なるほど音の重心がぐっと下がって、全体的に響きが乗るような、ともすれば音のエッジが程よく丸くなったように感じられました。
一方で高域側メイン→低域側とした場合は、前者に比べれば少し重心が高くなるものの低域の力強さは健在、響きがいくぶん抑えられたのか特に中~高域のキレや鮮やかさが増したように感じられました。どちらにせよ、音の「元気」(迫力、エネルギー感…なんと申せばいいでしょうか)が増したのは間違いなく、思い描いていた方向に変化して大変嬉しく思います。
個人的には前者のいい意味で個性的などっしりした音も好みなのですが、家族は後者のほうが好みのようで、設置場所がリビングということもあり、まずは後者で鳴らしてみています。
しかし何度経験しても、ケーブル以外のセッティングは何一ついじっていないのに、ケーブルの種類やジャンパーの接続方向でここまで変わるのが本当に不思議です。
最後になりましたが、この度は素晴らしいケーブルを製作いただき、ありがとうございました。
こういった言葉を頂戴出来るのは作業者冥利に尽きますね…
ケーブルの作製や仕上げの御依頼は→0466-20-5223
他店購入品も持ち込み歓迎ですよ