皆さん今晩は、世の中もでんき堂も何もかもグダグダの内に早4月を迎えました。やっぱあんな連中が仕切った政権でも税金は払わなきゃならんのでしょうかねぇと愚痴の一つもこぼしたい春ですね。
グダグダと書きましたがおかげ様で、でんき堂自体は忙しい事は忙しいのです。ただどうにも効率が悪いと言うか、働けど働けどって感じで剥いても剥いても終らないケーブル仕事にすっかり荒れた両手の指をついじっと眺めたりしてね。

閑話休題、4/3発売の音元出版 analog Vol.83 春号はもうご覧頂けましたか?なんてったって今回は私もいつもより多目の2頁ほど誌面で記事を担当しておりますので、まだの方は是非お手に取って下さいねと一応アピールです。尚当店店頭にも販売分在庫がある程度御座います、最近は書店もめっきり減りましたので、ご近所の方は是非当店でお求めくださいネ。

 

 

さて本題、写真は一見お馴染みのキャノンプラグ、XLR型とも言いますね、ともかくちょっとお高めのオーディオ接続でよく見るそれですが、仔細に観察するとアレ?4極だよと気が付かれる方もおられるでしょう。一般的にオーディオ製品でのXLRプラグは国際標準で1GND、2Hot、3Cold等で構成された3極の使用例(未だに違う順序で頑張る日本を代表する高級メーカーもありますが)が多いのですが、実際にはその規格自体が極数を限定して居る訳では無いので、この端子形状で実に多彩な極数が存在して居ます。で、写真はと言うと、これが三菱と言うかDIATONEと言うか、NHKのモニタースピーカーとして66年前に開発/発売されて以後、バブル期1990年辺りまで超長寿命機として継続して販売されたR305型スピーカー所謂2S-305の、しかもややこしい事に1974年製辺りから採用された接続端子なのです。じゃぁそれまで即ち1958年から~74年迄はと言うとこれが、NHKの規格のBTS-4Pと言う現代では絶望的に入手し難いというか面倒臭いプラグを採用しています。

 

 

どちらにせよ皆さんお馴染みの一般的なスピーカーはよく見るプラスマイナス赤黒に分けたターミナルの二極構成ですね。2S-305自体も接線自体は二極なのですが、ともかく入力端子が1974年以降のXLRであろうとそれ以前のBTSであろうと、この専用4極端子接続となって居ますので、何はともあれスピーカーケーブルを必ずこの端子形状にしない限りは接続が叶わないのです。
ところがですよ、世の中すっかりオークションサイトでの購入が日常に普遍的な物となり珍しい物とか変わった物とか探してた物が以前より随分簡単に手に入る様になった事自体は、私も利用するし喜ばしいのですか、ハッキリ言って売る素人に買う素人状態が目に余り過ぎ。それを双方承知で敢えてならばそれも構いませんが、今回のこのNHK/三菱みたいな専用接続を求めるものとか、R型以前のSMEとかを専用ケーブルの存在を知らずして、無闇にネット上に跋扈する半端な解説者みたいな無責任な連中が述べる伝説みたいのを鵜呑みにして知識も無く手を出すもんじゃ有りませんよ?皆さん。
と幾ら私が吠えた所で、膨大なネットの情報の海に漂う同機が出回るオークションサイト上に対して私の影響力など些少に過ぎません。よって今後とも『2S-305モニターを手に入れたんだけど接続ケーブルが無いんですがどうにかなりませんか?』って何故か三菱ともNHKとも何の縁も無くかつ、綺羅星の如く数多と世間に溢れる大型資本の家電カメラ量販の何でも並んでいる立派で優秀な人材も履いて捨てるほど並ぶオーディオコーナーや、かつてはそれを山と売りまくった超有名高級オーディオショップ等を潜り抜けて藤沢の隅の小さな当店にこのスピーカーへの接続相談や依頼が舞い込むのです、今年は既に3月終った時点で前年承った数を上回りました。古くなる一方で数は増えない筈のこの2S-305に対しての、当店が頂く仕事自体が年々その依頼が増えていくのが不思議です。

 

 

勿論この超々オールドモニターを元々所有されている方が、既に溶けてしまったような何十年選手のケーブルを奇麗に更新したいと言う積極的依頼も多数お受けして居ますが、ここ最近は新規にオークション等で入手した話が本当に増えましたね。逆に言えば登場以来66年で生産終了からも35年近く経つにも関わらず未だに実用レベルに踏みとどまる古の日本製のモノ作りのレベルの高さ自体には大いに感銘を覚え、更にはそれに関わった方々に敬服も致します、それに関係した企業の現在のオーディオに対する姿勢を知れば尚更ね。

 

 

ともあれ最近このNHKモニターの三菱・DIATONE R305/2S-305用への接続ケーブル依頼が大変増えましたので、基本的なプラグは在庫を持つように致しました。余程の極太系でなければお好きなケーブルに装着致しますので、既に2S-305お持ちの方はケーブルリフレッシュの積りで、残念ながら知識及ばず本体のみ入手してしまった方は根本の接続の為に、どうぞ遠慮なく当店までご相談、御依頼下さいな。但し、1974年以前の型のBTS規格の方は要相談です。何とかならない事も無くは無いのですが、とにかくXLR型以上の話し合いの時間が必要です。またその年式自体はスピーカー本体に張られたプレートと端子形状で見極めがつくので、当店へ問い合わせ時には予めそこを確認願います。

一応目安の金額としては、4極キャノンのペア分プラグ代込みでケーブル装着費用目安が7,000円程度から。あとはそこにお望みのケーブルを当店で購入頂くでも、既にお使いの物を持参でも送り込みでも構いませんのでご用意くださいな。尚、アンプ接続側はそれぞれお客様の求める形状に致しますので、それはまた別途見積りです。
因みに上記写真の二枚は、上がアンプ側半田処理→三菱側4極でケーブルはSAECの650だったかな、下がアンプ側がQED AIRLOC/MINI仕上げでケーブルはWireWoldのSOS8だったと思います、要するに色々繋げられます、古いNHK三菱モニターにだって。

なんでも先日お受けしたお客様はオーディオを扱うのを専業とするお店を5店舗ほどたらいを回しながら当店まで辿り着きましたね。オーディオを扱う店ならば、日本で一番有名な放送局で一番長く活躍した日本が誇る大企業の三菱の嘗て大人気ブランドだったDIATONEの結線くらい出来て当然と信じる私からすると俄には信じ難いのですが、日本全国それこそ北海道から鹿児島に掛けて当店如きがこの件の御依頼を多数頂戴する現状、成程NHKモニターとは大したもんだったんだなと思うし、いったい日本中のお店はどうしてるのだろうねと不思議に思わないでも無い今日この頃です。

個人的には30数年前の未だ学生だった当時に、私はそこの所属では無かったのですが映画課の連中が居るエリアに遊びに行くと、このスピーカー2S-305があまり大事に扱われている風でも無く専用キャスターに乗った状態でスタジオ前の廊下に放置されていて、当時すでに古臭く感じたその姿を薄暗い場所に晒していた事が思い返されます。また当時その魅力と価値に全く気が付いていなかった自分の、彼らと一緒になってキャスターごとガラガラと転がしたりして遊んだ自分の未熟さが恥ずかしいですね。

 

春ですね、ケーブル変えて古の三菱製NHKモニターを聴こう!→0466-20-5223