皆さん今晩は

どっかの一昔前のグラビアアイドルかなんかのバッグの中身が大盛り上がりになる様な状況の昨今、皆様如何お過ごしですか?
そんな下世話な喧騒を多少は人並みな興味を示しながらも横目に、飲食店を初めとして全国に多大な自粛を強いながらも粛々と強行されそうな金喰いスポーツイベントには一切の思考回路を閉鎖して敢えて目を瞑り、最早現実逃避気味に休みの日には個人的オーディオの音場調整に耽溺する日々の店主です。

さて、オーディオの調整即ちセッティングや設置となれば真っ先に必要になるのが接続ケーブルですね。でんき堂では以前より米軍指定の航空宇宙用MIL規格線を用いたオリジナル線を複数紹介していて、お陰様で好調に多くのお客様方にお使い頂いております。とてもバランスの良いケーブルでこのまま定番化したいのですが、正直申しましてデッドストック品故にいつまでも販売し続けるのも難しいのも事実です。また、オーディオを愉しむ人の数だけ好みも違うのが趣味の世界です。故に選択の幅を求めて幾種類かのオリジナルケーブル作成用に適した線材を物色していた所、とある輸入商社より魅力的な線材を斡旋して貰えました。早速その線材でRCAケーブルに組んでみて、私自身の耳も含め、当店にお越しになられるお得意様方10名程度のお耳を借りて検討した結果、総じてこれはイケるでしょうとの意見を頂戴出来ましたので、晴れてここに正式に紹介と致します。

 

 

緑色の被覆がなかなか魅力的に映える写真のケーブルは、ドイツのFASTaudioブランドのBicoaxと称す同軸構造のケーブルで、彼らの口上に目を通すと、特に『誘電損失率』と『絶縁材』に重点をおいての、そこに用いる素材の性能や優劣のみに偏らずに音楽再生上での調和を重視した開発である事が伺い知れます。流石に内容を吟味し二重同軸構造を実現した当ケーブルは線材のみの価格も決して安くはなく、輸入元が販売していた当時でメートル当たり1万円の正価が付けられていた様子です。即ちこの線材でステレオペアで1mの長さのケーブルを作成するにはそれだけで2万円。輸入元がそこへプラグを据えて販売していた完成品は税別で3万円を超していたようですね。
ここまで読まれて皆様既にお気づきのとおり、~販売していた当時と過去形で記しましたが、このケーブル自体の販売は当輸入元では既に終了しています。今回その輸入元と当店の関係において、と言うと大仰ですが、要するに担当者曰く

『残ったケーブル状態の在庫が少しあるんですよ、今時こういった作成系ケーブルに興味持ってくれるのお宅だけだから、お安くするので残りまとめて仕入れてくれませんか?』

との話に、そういうの勿論嫌いじゃないので即座に乗った次第。つまり当店のみの取り扱いです。プラグは当店ではお馴染みの米国switchcraftの先端孔開き仕様のオリジナル3502を用いました。今までもこの一見古臭くあまり立派にも見えないこのプラグの接続時の優位性を何度か紹介して来ましたが、今回も簡単にお話し致します。

 

 

写真の右側が当店が普段用いるその3502です。矢印の先に線材が出ているのが判りますか?即ちこれが先ほど述べた先端孔開で、作成時にはここから線を引き出したうえで先端から半田を流し込み固定したら、飛び出している分の線材を先端でカットします。即ちプラグ先端までケーブルが導通した状態であり、接続側機材端子に対してケーブルがほぼゼロ距離で挿入されている状態になります。
写真の左側、同じswitchcraftですが現在秋葉原などで普通に入手できるのはこの3502Aと呼ばれるタイプで、矢印の端子内部側での半田接続構造なのが見て取れるかと思います。つまりケーブルの先をここに半田留めして、機材端子迄の間にはこのRCAプラグのセンターピンが介在する形であると言う事になります。制作的にはコチラのプラグの方が遥かに扱い易く便利であり、またこれに限らず他の数多のメーカーやブランドのRCAプラグのほぼ全てが構造的には同じと言えますが、相手機材への接続時の優位性はプラグ先端までケーブル芯線が直接導通する右側のプラグ、オリジナル3502の方が良さそうには感じられませんか?SMEが接続に用いるフォノケーブルのプラグも同じ構造であり、接続的にもとても良さそうな構造のコチラが、では何故ほとんど誰も知らないくらいに現在のオーディオ市場で少数派かと申しますと、幾つかの理由が思い浮かびますが、要約してしまえば作成時の扱い難さの一点に集約されるでしょうね。余談ですが30年前には私自身もこの孔の理由が理解出来ておらず、また稀にこのプラグを用いてケーブルを作成する方を見掛けますが、残念ながらせっかくの先端の孔を活用せずに無理やり基部で半田付けしている姿を見掛けます。確かに先端孔から半田を流すにはある程度の技術は必要ではありますが。

 

 

さて、安く仕入れたとは言え元値が元値だけに、プラグを付けて製品として体裁を整えると流石にある程度の価格となります。とは言えメーカー組品と価格で競るほど私も厚かましくありません。商売とサービスの狭間にある微妙な部分と手間を換算し、今回は20セット程度の限定数販売とさせて頂き、価格は抑えて1mペア(ケーブルを2m使用)16,500円税込みとさせて頂きます。更に10cm毎に1,000円の計算で自由な長さで作成応じます。即ち90cmペア(1.8m使用)ならば15,500円、1.5mペア(3m使用)ならば21,500円と言う事になります。元値が1m辺り1万円の線材を用いたRCAケーブルとしてはかなりお安く提案出来たなと自負しておりますが如何でしょうか?

最後に、その音を評価して下さった皆様よりの総評として、音場の立体感と奥行きに優れ、音数の多い録音に対しての解像力に魅力有りとの声を頂戴しております、ご参考まで。そしてこのケーブルには今回ドイツ製線材と言う事を踏まえて敢えて名称を付けさせて頂きました。“緑の場合”と名付けました。なんだそりゃ?と思った方も、好きだね君も、と思った方もどんどんご注文お待ちしています!

 

『でんき堂』オリジナル、独FASTaudio社製Bicoax使用RCAケーブル

“緑の場合”

Dsq-FAG/SW 1.0m/pair 16,500円税込み

10cm増減ごとに1,000円増減で作成対応

 

ご注文後納品迄に3~7日程度→0466-20-5223