PM15S1及びそれに纏わるマランツ的型番の一考察
on 2012年11月11日オーディオメーカーに関わらずでしょうが、各メーカーには自社の商品に対して得意とする型番や大切にする番号、記号と言う物があって、山水の607や907とか、SONYの777等ですね、外部からすると一見無意味な数字の羅列もその企業にとっては深い意味を有していたりして面白い物がありますが、その話はまた何れかの機会に譲るとしまして、今回の本題はMARANTZ
マランツでは古くは“7”“9”等が象徴的に語られる事の多いアイコン的型番なのですが、それは古のおおらかな時代の米国型番であって、フィリップス傘下以降の相模大野時代には2/3/5/7/8等を組み合わせた二桁台のモデルを比較的長く出した後に、’90年代中頃からは10番台で始まる型番を愛用するようになりました。(理由は私は良く知りませんので、彼らの広告に良く名の出るS氏にでも聞いてみて下さい・・・)
で、今回のPM15S1ですが、数年前に出た、まだまだ新しい部類に入る中堅機です。
たおやかで繊細な空間表現の高域の澄んだ音場再生感は、このクラスには珍しくも上品な物で、スペック市場主義に古くから距離を、少なくとも広告上に於いては表明してきた彼らの面目躍如たるモデルですね。
丁度性格の大きく異なるライバル機が同時期に市場に存在したことも相まって、そのライバル機が魅力として売る部分に魅力を感じられない、主に音楽を主体的に空間的捉える方々によって、また視覚的好みでアンプのデザイン面でのどうしても旧来の国産機にありがちな超巨大重量物ロボ系を好まない向きにも、マランツの少し欧州センス的な部分もあって大きく支持されました。
さて、会社的にも色々混乱期で有った事が想像される90年代後半のマランツですが、その様子はアンプの型番にも表れていて、今からするとどうにも何にも考えてなかったんじゃないの?と考えられる節があります。
それまでのPM88SEやPM90と言った人気シリーズが終了し、全く新しい形でPM15が45万円の価格で登場したのが94年の事。以後、
1994・PM-15 450.000円←クラス的にはPM99後釜
1995・PM-16 160.000円←PM90クラス後継機、このモデルに対して何故か関係者の口は重いですね、個人的には好きでした
1997・PM-17 100.000円←PM80a&PM88併せたクラス後継機、良いアンプでしたね
1998・PM-14 200.000円←実質的16の後継機、ここで型番の順序が崩れる
1998・PM-19 68.000円←当時から影の薄い不思議なモデル。但し内容が良いのでお買い得。役割的にはかつてのPM62で、内容の良さと影の薄さが共通。
1999・PM-17SA 110.000円←17改良、でも結構性格以前と変わってましたね
2002・PM-14SA Ver2 230.000円←14テコ入れ、エッ?型番引っ張るの?と不思議に思いました。
2002・PM-17SAVer2 120.000円←17SA延命
2004・PM11S1 350.000円←新生マランツ実質新規モデル、マランツプリメイン最上位機種
2005・PM15S1 150.000円←新生マランツ、17クラス相当、今回のご紹介モデル
2007・PM13S1 250.000円←新クラス、型番苦しい。クラス的にあえて言えば14の流れか
2008・PM11S2 380.000円←11S1改良と言うか造り直しと言うかなんというか・・・
2009・PM13S2 250.000円←製品改良(市場的延命策か?)
2009・PM15S2 150.000円←製品改良(上記に同じ)
2012・PM11S3 430.000円←既に前モデルとの型番的つながり以外はあまりない、実質新規製品、クラスも格上げ。
ざっと見渡しても随分経ったようなつい最近の事の様な。
PM15S1と端からS2の存在を伺わせるネーミング、つまり如何にも次が出るのよ~と言った型番はどうなのよ?と最初は思ったのものです。
何故ならSr.2だろうとMk.2だろうと、最初が有って次の改良型かモデルチェンジになって初めて基本型番に付加されるものなのであって、初代機が最初からSr.1を名乗る事はオーディオでもカメラでも車でも本来は一般的ではなく、後から後継機や改良型が出て来て後追い的に初代モデルに冠される便宜上の呼称に過ぎないのです。
今ならさしずめ「初代i-Pad」って言えば分かって頂けますか? 初代って呼ばれるようになったのは型番では無くて2代目が出たからですネ
よってこのPM15S1のS1には当初「ん?」と思いました、造りや音には何の疑問も持ちませんでしたが。
それで良く考えてみたら、どうも実はこのS1はそういった意味では当初は無かった様子なんですね。
彼らは当時はあるモデルの後継モデルチェンジには「SE」を付加する事を好みました。マランツのSE商法は一部では有名ですね、まぁそれはさておき、このPM15S1が登場する以前そう古くもない90年代中頃にPM-15と言う比較的高価な価格帯(確か45万円)のプリメインアンプがあって、これは彼らにとっては最高級クラスのプリメインでしたが、その同時期のミドルクラスに存在したのがPM-17で、こちらもSAとか何とか付加されながら何代かに亘って改良販売されたのですが、どうもその過程で型番が枯渇したのか、先のPM-15を直接的にではないにしろ引き継いだのが今のPM11シリーズで、PM-17を大幅モデルチェンジする際に14と16は既に存在し、数字的に18や19も何となく下位モデルに見えたり既に自社で使っていた事情もあって、その時点で一番モデル的には古そうな15の再登板なのだろうなぁと推測は付くのですが、10年経ってない程度の期間で同系統の数字をしょったモデルが価格的には1/3程度で発売されるのも何だか不思議な光景でしたが、彼らが当分10番台の型番をアンプに背負わせる限りは確かにこれしかない様にも感じました。
それで混乱を避けるために無理やり当初からS1を付記したのかなと、今はそう思います。結果的には今の2代目が出てS2を名乗っているのでこちらのシリーズの方が通り相場ですし。
その証拠にPM11とPM15S1の間のモデルを出す際に、クラス的にも私は90年代後半にあったPM-14の復活で良いんじゃないの?と思ったのですが、どうも彼ら自体はこの14の数字の付いたモデルにあんまりいい思い出がなのか、PM15のネーム再利用でやはり苦労したのか、無理くり「PM13」等と言う型番を捻り出し、案の定キリスト教文化圏ではそんな型番背負った機械なんか売れるわけ無いので、海外では更に違う型番 (KI Pearlとか言うらしい、既に数字でさえ無い。因みにKIとはケン・イシワタの略だとか)に差し替えたりしていてどうにもややこしい事をしています。
今後も11~15の間で優劣付けた製品をモデル型番展開していくのは少し窮屈な感じが否めません、限られた番号で末尾弄ってゆくのも。
以上は全て無駄話ですが、まぁ御参考までにどうぞ…
A.I
完売しました。