今回のご紹介は、ラックスマンが70年代中期にそのデザインセンスを爆発させた時期の最良の作品、PD131

この時期のラックスはとにかくデザインセンスに冴えていますね。

高級オーディオメーカーとしてのラックス諸製品の物造りの秀逸さは今更申し上げる必要もないのですが、当時の国産メーカー系列のアナログターンテーブルが高性能化を追って、それと引き換えのように構造とサイズが肥大化し暑苦しさが否応なしに増す中、スマートな設計で他とは明らかに違った見栄えを用意してくる当時のラックスの設計者やデザイナー方々には、ある種の畏怖の念を感じます。

無論、その他の重量級プレーヤーが醸し出す過剰なまでのメカニカルさと重量感がマニアの気持ちを昂らせる事は、私自身を含めて肯定せざるを得ませんが、当時でも、ましてや機材にスマートさが求められる現代ならば尚更、性能と同時に実際に部屋において手にして使う道具に対する、洗練されたデザインの要求に重点を置かれる方々も当然ながら存在します。

そういった方々の高いレベルの要求を満たすために生まれたのがPD121であり、ダイレクトドライブでありながら欧州系のベルトドライブ機の様な繊細なデザインタッチに成功したそのモデルスタイルを維持しながら、モーターとターンテーブルを変更して見栄えを変えずに少し価格を下げたのが今回のPD131と言う事になります。

実際見栄え上においてPD121と131の差は極めて少なく、筺体も同じが故に、121が松下のSP10系モーターを採用した事による起動トルクの差異や、ターンテーブル自体の材質や質量が及ぼす部分を除けば、回りくどい言い方をやめて率直に言ってしまえば「大した差の無い」関係だったので、勿論その大した事ない僅かな差異がオーディオマニアには大事なのでしょうが、キチンとセッティングして頂く限りにおいて、121と131の間にはアームとカートリッジが同じであった場合には、両者間に圧倒的な音楽再生上の差を聴き分けることは難しいとも思います。

私自身も両者を使う機会が長かったので率直に言うと、当時の定価で両者には5万円程度の開きがあったのですが(今の物価で言うと10万円ぐらいの感覚?)、正直その差を感じさせない、それだけ131がお買い得だったかなと思います。実際その辺に気が付いた当時の方々の支持によって、実際にはこのモデルは121の方が有名ですが、今こうして中古の流通を目にする限り、数では相当数の131が出回った様に見受けます。

そしてSME。

この誰もが知っている華奢で繊細な印象を与える英国系アームを、国産プレーヤーがこれほどこの美しく搭載出来たのは偶然の為せる業なのか、はたまた計算ずくなのか?

同時期のDDタイプのアームレスが選択出来る各社人気モデル、例えばDENON、Technics、Pioneer、Victor辺りのモーターと比べても、SMEを搭載させてこれだけデザイン的整合性が取れた物はラックスをおいて他にまず滅多に見かけない、と言うより存在しないのではないでしょうか。

あるいはもしかしたら、ラックスはSMEのショートアーム前提でこのプレーヤーを設計したのではないかと思えるほどのマッチングです。

当時ラックスには数あるアーム群、SAECにクラフトにテクニカ、テクニクス、デ“ん”オン、オルトフォン、FRと言った各種アームに対応したアームベースが用意されていて、その殆んどの組み合わせを実際に目にしたり使ったりしてきましたが、やはり組み合わせの美ではSMEが本当に説明のしようの無いバランス感と美しさを誇ります。

正直、SME以外その他のアームを積んだPD121/131の姿は、プレーヤー全体が急に野暮ったく見えるほどです。組んでる方には申し訳ないのですが、音の事では有りませんので悪しからず・・・

実はこのPD131を私も使っていて、テクニクスのEPA250等も組んでみたのですが、長岡鉄男氏が当時このアームを誌上でSAECより断然良いと御発言なさったかどうかはともかく、このテクニクスのアームの性能的には多分相当の物だったと思うのですが、どう眺めてもこのラックスのプレーヤーの美しさをブチ壊してるように感じられ我慢出来なくなって来て、と言うより見ているだけでだんだん腹が立ってきて、音なんか後でどうとでもしてやるわいと勢いでSMEに換装したら、たかだかアーム一本の違いがもたらす余りの見栄えにほれぼれして、今では「音なんか出さなくても眺めてれば十分幸せ」な状態でサブ機としてメインの陰に控えています。

話がややこしくてすいません、要するにPD131とSMEの組み合わせならば使わなくても邪魔では無いけど、その他のアームとの組み合わせにおいては音を出さない限りは意味がない存在に過ぎないという個人的感想です、すいません。

話が多いに逸れましたね、それで今回はそのPD131をアナログ修理で定評のあるワンバイエフの花江さんにお願いし要所整備調整して頂き、当然のように切れていてパーツの供給も無いストロボスコープのブラックライトをLEDに差し替えてもらいました。

SMEの3009/Series2 improved、即ち軽針圧型SMEショートアームと、恐らく最もアームバランス的には相性の良さそうなSHURE M97xEの組み合わせです。V15系列亡き今、この辺りが軽針圧系統では最良ではないかと・・・

貴重かつ今更新品で買うと「ぼったくりじゃねぇの?」とつい言ってはいけないセリフを御徒町と秋葉原の間に立っているビルの方に向かってはいてしまいそうになる貴重なS-2Rシェルも付属しています。

また、ターンテーブルマットはオリジナルの劣化が激しいので(まだPD121/131のオリジナルマットお持ちの方いらっしゃいましたら、もう止められた方がいい時期ですよ、材質上剥がれ落ちた繊維質と言うか、粉上の物がその上に置いたデスク裏面に静電気の力を借りて一面びっしりと張りついて大変な事になります。拭いたぐらいではとり切れません)に東京防音のTH291に載せ替えてあります。

今回はセット状態での販売です。

プレーヤーやアーム単体での販売はございません。但し、カートリッジご不要の場合には販売価格より8000円お引きさせて頂きます。

神奈川県近隣にお住まいの方には、最初の音出し状態までの配送設置を5000円にて承りますので、初めてのアナログで心配に感じられている方にもお薦め致します。

その他不明点ございましたら直接お問い合わせいただければ幸いです。

プレーヤー本体    LUXMAN PD131 修理調整済み

アーム SME 3009/Series2 improved(S2-R純正シェル付き)

カートリッジ SHURE M97xE(程度良好中古)

ターンテーブルマット 東京防音TH291(新品)

セット価格合計 108.000円税込

完売しました。