真空管のイメージが強いトライオードにとっての例外的存在だったトランジスタ型アンプの“Future2005”

その前作の“Future2000”を引き継いで改良販売されたのがこのFuture2005です。真空管のイメージが強い同社の中にあっては異色の存在でしたが、その造りと音は同社の丁寧な姿勢に沿ったもので、シンプルで手堅い内容でした。

当時、その型番が示す通りの2005年頃は、圧倒的販売量を誇った大人気TRV34ES等の製品の陰に隠れて、トライオード製品としてはそれほど表に出ては来なかったアンプなのですが、その価格に対して意外な程の音楽再現能力が知る人ぞ知る的な静かな支持を得て、比較的長く販売され続けましたね。

このモデルの最終販売は2011年頃だったと記憶しますが、長く造られただけあって、細かな改良が施され続け、最終仕様は発売当初は使われなかった大型金メッキスピーカーターミナルの採用や、RCAターミナルの全ての金メッキ化等が施されていました。

思い返せば2000年代中頃は、トライオードにとって大変大きな変革期で、先のTRV34SEを初めとした同社にとってのターニングポイントとなる製品が多数出現しラインアップも増え、以降今日に至るまで、同社の一般的評価と市場での位置付けも急速に変貌した時期なので、Future2005の後継機の企画は有ったらしいのですが、その増え続ける同社真空管アンプへの需要に応えるべく、泣く泣くその後継機販売を見送ったと聞き及びます(あくまで伝聞ですよ)。

さて、そこで今回紹介する“Future2012”

名前の示す通りの最新型です。しかしカタログモデルではありません。勿論どこかが勝手に改造したりチューンアップした物ではありません、正真正銘のトライオードのプロデュース製品です。勝手な想像ですが、これが本来2005の後継機として出てくるモデルだったのだろうなと思われます。外観も筺体もFuture2005最終型その物なのですが、主にカップリングコンデンサーを前作より大幅に奢ったドイツWIMA社 MKPに換装してあり、それに纏わる改良が施されている様子です。

音はもう別物です、2005の基本にあった滑らかさに加えてダイナミズムが付加されました。おそらく新製品として10万円辺りクラスで販売する積りだったのだろうなと勝手に想像してしまう内容です。基本仕様や機能は2005に準じますが、やはり音の要を支えるパーツを奢った効果は如実に現れますね。

供給可能台数は30台、恐らく直前まで準備万端で用意していた様子が伺える数ですよね。何故なら試作機やテストベッドの場合はこういった台数は造りません。おそらく正式に販売が決定した以降の正式発注生産モデルの最初のロットでしょう。その後に何らかの政策変更があったのでしょう。或いはFuture2005最終型の改良版としてモデルチェンジではなく小改良を重ねてオーダーをしているうちに、とても同じ価格で販売出来なくなってしまって緊急で出荷を見合わせた悲劇のモデルなのか…

色々な想像も膨らむ素敵な製品ですね、こういったものは。

勿論メーカー純正扱いで保証書も付いてきます。“Future2012”とは今回販売にあたって付けた通称ですが、Future2005“Mk2”や“SE”では収まり切らない内容なのです。正式なカタログ掲載が無くメーカー標準価格は存在しませんが、前出の通り恐らく10万円程度を想定していたのだろうなと思われます。

限定30台のメーカー純正強化仕様に興味お持ちの方はお早めにどうぞ!

http://www.a-sq.net/item/future2012.html(販売はこちら)

TEL:0466-20-5223(お問い合わせはこちら)

 

Future2005最終型/改・Future2012基本仕様

・最大出力:100W+100W

・周波数特性:20Hz-100KHz(+0,-3db)

・全高調波歪率:0.03%以下(1KHz)

・SN比:90db

・入力感度:420mV

・入力インピーダンス:100kΩ

・入力端子:RCA5系統

・出力端子:TAPE OUT

・出力インピーダンス:4Ω-16Ω

・消費電力:無新号時60W 最大出力時150W

・サイズ:横440×奥行330×高100mm

・重量:9kg

・付属品:電源ケーブル、予備ヒューズ

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