オーディオラックがオーディオシステムの、音質面で重要なファクターを握る存在として認知される様になったのはいつ頃からでしょうね。
ガラスの扉でとにかくしまう目的だった時代にはあんまり意識されていなかったと思います。
気が付いてる方は早くから認識していたと思うのですが、大きな箱におまけにガラスまで張った箱が部屋に存在し、ましてや機器類をしまいこんでいると言うのは、実際にはアンプ類の熱の抜けや音がもたらす振動や内圧で態々音を悪くしているようなものでした。
最近は減りましたが、扉がないと埃が溜まる等の様な妄言に近い誤解も解放型ラックの訴求を妨げていたかも知れません。
最近はクアドラスパイアの流通と露出のお陰で、開放型ラックの使い勝手のよさと、欧州系のセンスのよい機器類を並べられるデザイン的優位性、部屋に置いた際の面が迫ってくるような圧迫感の少なさと、音質その物の開放的鳴り具合を比較的適価で体験できるようになった事は、特にオーディオを導入される際に、実はもっとも大事である女性方の理解を得る意味において、とても重要な事です。
確かに無骨で50mmもあるような厚い板で囲われた、重さ何十キロと言うGT級のラックは、レコードプレーヤーのハウリングマージンを稼ぐ意味において、古くからオーディオマニアに愛されてきましたが、ライフスタイルの変わってきた現代の日本のリビング環境において、家族の理解を得るのは少々難しいと思えます。
ならば数多ある国内外家具メーカーの、お洒落なリビングボードやラックはどうかと言うと、ホームセンターレベルの安物の話はさておき、もうこれはかなりの高級ブランド品でも、デザインは確かに素晴らしいのですが、致命的にオーディオを置くと言う概念が無く、サイズ的に何考えてんだか設計者の神経を疑いたくなるものを沢山見かけます。
例えば20万は越すような有名な北欧製の高級家具(特に名は秘す)で具体的に言えば、
・オーディオ機器に対しては根本的にサイズが小さすぎる、特に奥行。
・背面に申し訳程度の丸穴が開いていて、そこから配線せよと言う意味らしいですが、ラインケーブルの一本も通せばお終い、ましてやオーディオ的3P電源でも使おうものなら既にその穴を通らない。
・中板は話にならないくらい薄くて華奢、アンプでも置こうものならたわむ始末。
・扉を閉める構造で、閉めて使えば熱がこもって音もこもる。空けて使えば視覚的にも生活的にも扉が邪魔で、空間に飛び出した面としても音に悪さをする。
まぁ他にも言いたい事沢山ありますが、とにかくろくなものじゃないです。
で、前置き長くなりましたが、漸く日本のメーカーからデザイン的配慮と音質的配慮のバランスが取れた製品が、最も木工とオーディオラックを理解していると思われる朝日木材加工から出てきました、しかも造りに対して極めて抑えられた価格で。
見た目はシンプルでこのスタイルの御馴染みに見えますが、実は各棚板が支柱に支えられた枠に対して、分割された別のパーツとして存在し、振動分割と要所毎への適切な材質をあてがう事に成功しています。
縦4段型と、機器を横二台置ける三段型の2タイプに色が二色。
また、ライバルと彼らは見据えているだろうクアドラスパイアに倣って、今後は支柱の高さの種類やキャスターや追加の棚板などが準備されています。
デザインの妙でとても薄型でシンプルに見えていますが、実は結構な厚手の棚板なのには、実機を間近に眺めるまで気が付きませんでした。
出来ればマニアではない方が普通にこういったものをリビングに入れて、気軽にオーディオを普通にしかしよい音で愉しむ機会が増えれば嬉しいですね。勿論ヘビーなオーディオユーザーにも使って頂きたいですよ。
A.I