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ご注意書き

以下に書き連なる長い文章の中であげつらった事象は、全て私の見聞きして理解出来る範囲でのごく一部の物事の比喩に過ぎません。
世界は広く世の中は深いので、そこには様々な価値観や楽しみがいかようにも有るはずです。
よって毎食食えればいいレベルの牛丼以上の出費は存在的にも無駄、衣服は裸でなきゃ構わない、全部ユ〇クロかそれ以下或いは人民服一着で冠婚葬祭デートにパーティーバカンススポーツオールクリアー、100円ショップで揃う限りの全てのもので100円以上の製品の存在、出費は無駄、自動車はハイブリッド車が一ブランド一車種一色だけ世の中にあれば十分、それで十分幸せだ、160万のヘッドフォンなんぞけしからんと言う向きの方の抗議や、160万程度で高い高い騒ぐな、その程度で煩わしいという経済事情の方々も含めて、皆様方との価値観を論じる為の文章ではないと笑ってお読み飛ばしくだされれば幸いです。ま、全てはものの例えですが。

さて本文

高級品をその性能や嗜みではなく、うわぁ~マジ?すげぇ~、信じられな~い、やばくねぇ?牛丼が五千杯食えるぅ~みたいに値段だけで騒ぐのは、安っぽい雛壇芸人が跋扈し大騒ぎしているしょうもない番組みたいでよろしくないとは思うのですが、やっぱり驚きますよね、ヘッドフォンアンプが160万円。ぎょえ~みたいな。
実際は160万出しても音は出なくて、そこに接続されるべきパソコンなりCDプレーヤーなり、更には聴く為のヘッドフォンそのものが必要となりますから、選択の組み合わせいかんでは幾らでも金額は昇ることでしょう。
ではこの160万円が高いのかというと、これはもう世の中に数多とある高級品の倣いで、それそのものを目的だけで語るとおかしな具合になることは、日常生活において日々物事を見聞きされてる皆様方には余計なお世話でしょう。
必要最低限の生きていく為の生活を基本として、それ以上のプラスαを求めての人生の方が楽しいであろうことは容易に想像できます。
食べられればいい、乗れればいい、着られればいい、よりは精神的余裕を持って物を選んだり食べたり乗ったり楽しむからこそ、仕立ての良い服も、高級車も万年筆もカメラも時計も存在するわけで、実際数千円程度の廉価品から存在するヘッドフォンアンプの160万円をあげつらうならば、それら全てにおいて同じ姿勢で望まなければこのアンプが気の毒というものです。
それでも尚ヘッドフォンアンプ160万円ぎょえ~かといいますと、要するに珍しいのです、超高級ヘッドフォンアンプというジャンルが。
先日までは20万でも超高級扱いだったジャンルです。
フェラーリ3千万とかB&Wのスピーカーが200万とかクロノグラフが100万とかニコン60万とかスーツ仕立てて30万とかどっかの合衆国大統領も食った寿司屋でカウンター座って何貫かつまんでウン万円とかは、金額の多寡はともかく、それそのものがそれに見合った内容を伴って市場で評価され求められ、それを欲する人に愛でられている事は今更ながらでしょう。
高いからいいわけでもなく安いものが悪いわけでもなく、各ジャンルにおいて様々なモノが存在理由と内容が伴ったそれぞれの価値観において価格が存在すると理解頂ければ、160万のこのヘッドフォンアンプが決して不要に高いわけではない事もきっとお分かりいただけると思います。なんてったってスイスメードのゴールドムンドです、正直同社のカタログにおいては製品価格としてみた場合の160万は安い方の部類です。
言い方を変えれば最もリーズナブルにゴールドムンド製品を楽しんで頂ける製品がこちらです。なぜならその他製品群はアンプやプレーヤー、スピーカーですから、同程度のレベルで全てゴールドムンドで構築しようとすると500万1000万簡単に越してきてしまいます。勿論それはそれでそのクラスの価値観と世界観を伴った上での存在であることは言わずもがなですが。
要するに高くも安くもない160万円のヘッドフォンアンプです。

ではこれで何が出来るのか?
簡単です。
PCかプレーヤーを接続してヘッドフォンを挿し、お気に入りの音楽を聴くのです。

その上で、忘れてしまいたい不毛だった一日を、或いは充実した一日をふりかえりつつ充足するなり明日の活力なり励みにする、そんだけです。
正直言って幾ら払ってもこれ以上でもこれ以下でもありません。

ただ時間を知るためなら今更携帯電話で十分なのに態々機械式の存在感を伴う腕時計を目にする度に得られる何か。
しなびたスーツのボタン全部閉めてケツのテカッたパンツ履いて首周りや袖丈のあってないYシャツに伸びたネクタイしめた様な決まりだから着てます的な、みっともはずかしい格好した人たちばかりの社内で、派手ではないけどキチンと採寸して作られたオーダースーツを着こなす爽快さ。
燃費と室内の広さと本質とはかけ離れた部分での装備の有無と保険金額の安さと中古に出した時の価格が全てで自ずとブランドも車種も色さえも自ら選択の自由を放棄したかのかの様に感じられる現代の自動車選びにおいての制限速度下において敢えて、燃費や居住性を売り文句の頭には持ってこない2シーターのGTを操る一種の余裕。
時間を切り刻むように行動し有名目的地への移動手段としてのみの価値に成り下がった新幹線や飛行機を捨て、あえて壮絶な時間と飲食代を伴う鈍行や船の旅の選択。
(例えば東京-大阪を新幹線で二時間半ですが、九時間程度で鈍行でJRの都合で乗り換えさせられる度にその駅で土地のモノでも優雅に食して一日使ってみてください、当然楽しいですが鈍行乗って安くなった分の新幹線の特急代金なぞ簡単に吹き飛びます、要するに鈍行が一番贅沢な旅です、それ以上の贅沢は歩くしかありません。)
安物のセットで用は足りる工具類をアメリカ製やドイツ製の高級品で揃えて使わないでも眺めて楽しめるレベルでの余裕。
携帯でも十分綺麗な写真が撮れる現代であえて一眼レフに単焦点の明るいレンズを複数揃えて対象に臨む姿勢。
これらは全て、100円ショップで買えるイヤフォンを手持ちのスマートフォンに挿せば聴こえる音楽を、このアンプを用意して聴く程度の問題です。
何が違うんだって、目的は一見一緒で内実は全く違う、と言い切ると問題があるので、それぞれの一見すると不急不要の行為がそれぞれにおいて心に響くものであって欲しいと願います。

書き連ねればキリがありませんが、要はそういう事であって、皆が皆上記の様な一見無駄や不要に感じられる事に勤しむ必要があるなどとは私自身到底思いませんが、何か一つくらいは誰にも理解されなくても自分を楽しませさせられる行為が、何かひとつくらいあってもいいじゃないかと、それが誰に聴かせるわけでもない、たった一人の自分だけのために深夜一人で顔歪ませて好きな音楽160万のヘッドフォンアンプのボリューム捻ってほくそ笑む行為であってもいいじゃないかと、グダグダといつもに増して長ったらしいこの文章の結論は要するにそういう事です、はい。
つまり、100円ショップとくらべてしまえばとんでもなくいい値段ですが、自分を喜ばすためだけの最高の時間を保証するアイテムとして、この価格に理解を得られる向きには是非とも購入頂きたい、それだけの価値を見いだせる可能性がある、そういうことですね。
ここまで全然ふれられなくて申し訳ございませんでしたが、オーディオ製品として見る以上、間違いなくゴールドムンドの品質と内容を保証された、最高品質の贅沢な製品であり逸品であることはまず間違いございません、以上

あとがき

私だってユニクロたくさん着て牛丼どころか昼飯毎日108円で五個入りのファミマのパンです。
文頭で上げた文章は決してそれを馬鹿にしてるわけではないのです。
経営者レベルで言えば燃費の良い室内の広い、下取り価格の高い人気色の車を選択するのは当然で、趣味性など二の次です。
でもですね、自分を楽しませるという一点において、二人しか乗れない燃費の悪い車や、やたらと重いフィルム感光式の光学製品や、ダイヤモンド針こすって音出すアナログ式の音響機器の持つ魅力やそれに纏わる手間や暇や費用が、デジタルエコライフ系製品に比べれば非常に掛かることは理解した上で、それらが放つ魅力からは、本来不正確で一見無駄な行動に感じる事象に魅力を感じる人間である限りは少なくとも私自身は逃げようがないとも思うのです。
よって今すぐこのヘッドフォンアンプが買えなくとも、この製品が必要とされる環境やその方の気持ちは大変によく分かるつもりなのです。
試しに数曲聞いてみましたが、本当の魅力は上記に書き連ねた全てと同じく体感や所有しない限りはわからないかもしれないので、ここでは音がいい程度の分かりきったようなことを書くのはあえて控えさせていただきました。
ポルシェの最新です、2000万です、とても速いです。試乗車でミュルザンヌで285km出ました程度のレベルの拙い論調のカー雑誌は存在しないのですが、どうもオーディオは「高いです、音がいいです、美音を奏でました」みたいなしょうもないうんたらかんたらばっかり云々以下抹消