「analog誌41号142頁にてSPUネイキッドアダプターを炭山アキラ先生にご紹介いただきました。好評発売中です!」

私はあんまり乗らなかったのですが、80年代にレーサーレプリカの二輪が隆盛を極めて、街いくバイクがどれも皆GPマシンぽい時代があって、 僕の周りでも学生だったけど好きな連中は、皆屈み込んで前傾姿勢でタンク挟み込んでカッ飛んでは16号線最速だの膝擦っただの警察の厄介になっただのコケて死んだのだとかまぁ色々でした。

そんな中で一部、敢えてレーサーマシン(風)のカウルを剥いで使う一種のお洒落ですが、お洒落といっても元々はレーサーマシンの極限を求める過程で装備されていった カウルが、販売の目的でおしゃれ的意味合いでの役割を深めていって(だって加減速巡行時の抵抗に関わる空力パーツですよ、本来)、今度は見渡す限り猫も杓子もカウルマシンになった途端に其れを剥ぐのがある種のスノッブ的境地でカッコ良く見えたりして、それをネイキッドと言うのですが、ともかく今度はそう言う乗り方する人が出て来ます。

でも、実はあれはあれで結構大変な作業で、ただカウル取れば「ネイキッドマシン」になるわけでもなく、ヘッドライトもウインカァーもワイヤー類の取り回しも全部取り替えたり付け直したりすんですよね。因みに車でもバンパー外しってのがあるんですが、アレも外しただけじゃ駄目で結構あちこち整形します。

で、散々苦労して得られるものといえば多分ですが、人とは違う何かであり、より軽さを求める自分への共感であり、最後は自分自身の満足感でしょうね、きっと。

因みに物理的にも軽くはなっています、どの速度域においてかは約束できませんが空力性能と引き換えにです。

毎度ながらの話の回り道は今日はここまでで、今回のご紹介はオルトフォンの皆様も大好きなSPU。そう、あの、ベテランもアナログこれからの方も一度は憧れる、黒ビカリして太くて大きいアレですね。

SPUと言えば誰しもが思い浮かべるそのお姿には、物の新旧、時代の変遷その他での材質云々、プロポーションラインがどうたら微に細に拘らなければ、およそ二つの種類があって、その一つがAシェル型と呼ばれる四角いキャラメルスタイル。こちらは一般的には使いにくいというか専用アーム欲しがるのですが、その独特の世界観でこれでこそSPUと拘られる方も多くいらっしゃいます。ここでは専用アダプターで首延ばす件とかSMEベース合わせの話は一旦置いておきますよ。

もう一つは現代のSPUとしては多数派のGシェルと呼ばれる、一部のベテランからはカブトムシとか渾名されているお馴染みのスタイルですね。

どちらも古からのアナログ趣味というかオーディオファンからすればカートリッジの王道的存在と呼んでも差し支えは無いのでしょうが、王道故に何かと面倒も付随するもので、兎に角重い!

27.5gとか32gとかって、そりゃ皆が皆バランスとれる重さじゃないですよね。

Aシェルではもう少し重いのあった記憶もあるし、トランス内蔵型なんて更にその上いってますよね。

一般論で言えば、オルトフォンのオールド系列のダイナミックバランス型とか、SMEとか、SAECの308SXや407/23とか、FR64、クラフトの一部上位機でも所有しない限りはSPUは愉しめないんですね、コレが。勿論現代のアナログの主流になりつつあるストレートアームに関してはもうこれは最初から想定外です。

でも聴きたい、使って見たい、アーム植え替えたりプレーヤー買い替えたりしたくないけど皆が皆して良い善い好い言うSPUとやらを一度はつかいたい、ストレートアームの無駄の無い姿勢と性能でSPU聴いて見たい、重量級カートリッジ使えない自分のプレーヤーで是非SPU使いたい、SPUっていったいどうなのよ?どうにかならんのさ?

と言う全国二千万SPUファン/予備軍の方々の為に今回、かつて存在していたSPUネイキッドアダプターを復刻というかコピーというか、まぁとにかく色んなスタイルで遊べれば幸せな自分の為も含めて、数量限定で作って販売することに致しました。

見る人が見れば分かる、あぁあったあったそんなの、と言われるお馴染みのアレです。

でももう流通はしていないデスネ、そもそも以前はよくオーディオクラフトに注文してたものだから、まだあるだろうとたかをくくっていたら、実はもう何年も前に販売終了してたんですって。知りませんでした。

使い方は要するにネイキッドですね、AでもGでも兎に角そのカウルというかシェルを剥いじゃうんですね、ひんむくの。でも乱暴は駄目ですよ、一応。

それで出てくるのは凸型したカートリッジ本体なのですが、SPUはここが独特で、背中に当たる部分に三角の隆起が有って、一般的なシェルに直付けはできない構造なのですが、それをクリアしてシェルに付けてごく一般のプレーヤーでSPUを愉しむ為のアイテムが今回のお品です。

別段これは新しい遊びでもなく、かなり古くからある一種のオシャレ的側面も有した立派なオーディオ趣味なのですが、主な目的は、今書いたSPUを一般アームやストレートアームで使う為の軽量化的側面と、こんだけ素敵な音を奏でるSPUなのだから、あの重くて響きそうなSPUのボディを無くしたら、音はより高精細に緻密に高解像度になるのではなかろうか?という探求者的意味合いでのSPUネイキッドと言う一つのジャンルですね、いわば。

勿論ここでは「SPUはボディも含めて音だよ、そんなの邪道~」みたいな論争喚起は望んでおりませんので、私みたいに面白そう、或いは、SPUボディー壊れて中身残って困ってたんだよね、とか、おぉ、ストレートアームにSPUって変態っぽくてよくね?って方面の趣味の方々に喜んで使って頂ければ幸いです。

今回の製作ではアルミ製で、重さは3.72g誤差+-0.01、ネイキッド状態のSPUがおおよそ9g


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店頭でテクニカの10gシェルに装着してリード線込みで実測22.8gでしたから、手持ちのプレーヤー及びアームの対応範囲が23g程度応じられれば、勿論使うシェルでの加減はありますが、概ね問題なく対応できる事でしょう。但し、多少背が高いので、アームの高さ調整は行えた方が良いはずですね。

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よってストレートアームの場合は、対応カートリッジ13グラムまで、出来れば14グラムまでの対応力とアーム高さ調整機構があれば、取り付けには相当な慎重さが求められますが対応可能でしょう。

製作の都合で数は三十個限定、お値段は5250円税込

色はシルバー、仕上げの都合で完璧な肌目は有しませんがネイキッド遊びを助ける必要にして十分な程度とご理解ください。

因みに二十年以上前に存在した同じ目的の製品がやはり5000円だったので(消費税以前ですね)、結構頑張ったお値段ではないかと思うのですが如何でしょう?

ともあれ興味を持たれた皆様、是非どうぞ!

また、ストレートアームに装着するには、ある程度の経験と自己責任を伴いますので十分にご注意ください。

カートリッジ取っ替え引っ替えに慣れてるはずの私でも、これに限らずストレートアームへのカートリッジ装着は、正直言って面倒であり怖くて厄介で慎重さを求められて冷や汗かきます。

ともあれSPUネイキッド、綺麗なバイクのカウルをわざわざ剥いで使うような趣味の趣味みたいなところがありますが、やってみるとこれがたのしいんですよねぇ、ふふ。

http://www.a-sq.net/item/12861.html(販売はこちら)