1990年秋、もう二十八年も前か、ともかくスイスからやって来たこのAcustik-Lab Boleroと言うスピーカーには驚きました。
黒くてデカクて絶対無共振とかデジタルサウンドとかハイテク素材がどうたらとか煌びやかにカタログ飾った、実のところ音楽聴いてもそれほど楽しくもない将来修理もする気がない家電メーカーがこさえた国産の3WAYこそ最高と信じて疑わなった私は、この美しい仕上げで聴いて愉しくなるブックシェルフの存在を知って、カタログスペック重視だったオーディオの考え方を大分修正させられました。
丁度同じ頃に、学生バイトですがオーディオを販売する側の立場に回った私ですが、当時のセンスが良い方々を中心に、英国製だった頃のAURAのアンプとの組み合わせで随分沢山購入頂けました。
今見ても聴いてもなかなか代りの見つからないモデルで未だに大事に使われている方が多いのですが、流石に時の経過には抗えず、特徴的な逆さドームツイーターのエッジを中心に劣化が始まっています。

今回、そんなこのスピーカーを未だに愛してやまぬお客様から、かなり年季の入ったもう音も出ないようなこのモデルを預かり、どうにか現役復帰をと希望されました。その程度故に、当初諦めていた私には全く意外だったのですが、当時の輸入元が気持よく修理を受けてくださり、一か月少々のお時間を経て本日戻って来たので早速音出しです。
いつ見ても綺麗な姿と変わらない当時の音に、オーディオの良かった頃を思い出したりしているところです。

 

 

Acustik-Lab Boleroをまだお使いの方で、お金と時間に覚悟をおもちのかたがいらっしゃいましたら、一度当店にでもご相談くださいませ。
金額はその内容、程度にも左右されるのでしょうが、要するにそれなりにかかります。今回は実質ほとんどの箇所に修繕修正交換の手が入っています。
趣味性の高い古いカメラや車を直すくらいなら、新しい物買った方が安いという価値観の方には初めからお勧めはしませんが、この代りは他には存在しないからという方には、無駄にはならない金額でしょうね。
少なくとも家電メーカーの同時期のスピーカーは金を積んでも彼らは直しません。昔の名をかたった製品を販売するだけです。

企業理論と自己の都合を優先し顧客を見捨てるのが当然の風潮の昨今、オーディオに示すお客様の熱意と輸入元の対応の懐の深さに今回は敬意を表すのみです。

 

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