皆さんご存知のDENONのDL103、何十年もの昔から広く流通して使い易く性能も安定していて、アナログ再生を嗜む方にとっての多くの方が一度は経験される針かも知れません。極端に高いお金を使わなくてもオーディオ趣味の深淵に僅かでも触れて頂けたらいいなと、何年か前にこのDL103にアルミスペーサーを用意して挟んでみました。結果もかなり良くて今でも順調に販売しています。
その後一部のメーカーで見掛ける超超高級針を眺めて、そのスケルトン同様の造りに、

「じゃぁ103は剥けばどうなるんだろう?」

と専用の台座を人工衛星グレードで削り出して貰って装着した所、すんごい音が出て来ました。
凄過ぎて音では絶対コレが欲しいけど、取り扱い怖いよねの声(なにしろ内部剥きだし)も当然出て来て、やはり高度な技術の製作所にお願いして元のボディと寸分違わぬサイズでアルミブロックから削り出したボディを装着した所、既に103ではなくなったかのような低域と輪郭と迫力で押出して来て、コチラも今でも大変好評です。

で、今回は、木製ボディです。寄木スピーカーでお馴染みの高井工芸さんの協力を得て、DL103ウッドボディほぼ完成です。試作を重ねて貰いましたが、高井工芸さんには申し訳ない様な手間とお金を使って試作して貰った結果、安定した精度で供給出来る木材として、将棋盤や駒に使われる榧(=かや、碁盤、将棋盤に使われる材の中でも最も高級な木材)と、欅(=ケヤキ、日本家屋、家具、建具、指物向きの材)の二種での作製が決定しました。写真はそのうちの榧のボディです、綺麗ですね。

さて、作れる事も決まりました、製作も進行させています。ただし、余りに製作の手間と時間が掛かり過ぎる、どうしてこういうのどこもやらないのか不思議に思っていましたが、コレはちょっと大変だ。
考えてみればこのサイズ、薄さで木材を扱うのはアルミ以上の難しかも知れません。少量生産故の問題もありましょうが、かなりの手作業も必要で、販売価格はそうならない様に可能な限り詰めていきますが、木製ボディを製作する費用を単体で計算すれば、なんとアルミボディの4割増しの金額が必要でした、困った。
おまけに一度に作れる量もアルミボディより遥かに少ない。よって本当は十分な試聴報告も添えてじっくり売り出したいのですが、ともかく欲しいと言う方も当然出てこられる訳で、先日どうにか6個作って貰った内3個が、前々から来店されているこの計画を知られていたお得意様方から予約が付いてしまいました。
欅、榧ともに一個ずつは店頭試聴用に残す積りなので、現在お渡し可能なボディはこの榧一個のみです。それで今回フライング気味な発表をした理由は、正式な価格を発表出来ていなくて申し訳無いのですが(アルミボディ化はDL103の装着費用含み32,400円税込みですので、木製ボディはなんとか4万を越さない様に調整中です)果たしてどれぐらいのお客様方がこの仕様を求めたがるのか知りたかったからですね。
数日以内に試聴機を用意してここに報告致しますので、興味おありの方は一度聴きに眺めに来て見て下さいませ、その上で皆様のご感想を参考に今後の製作量の検討を高井社長としたいと考えています。

ところで調べてみたら、榧の学名が Torreya nucifera、欅の学名が Zelkova serrata なんですって。通称には漢字も良いですが、型番はそれぞれDL103TN/Kaya、DL103ZS/Keyakiとでもしましょうかね?その辺のご意見も是非お聞かせ下さいね。

 

DL103の事ならノーマルからネイキッドもアルミボディも木製もなんでもかんでも→0466-20-5223