自分と同じ世代のお客さんと話をしていたら、その方の職場のうんと若い後輩が休憩時間とかにスマホにイヤホンで何か聞いてるのを見掛けて、何聴いてンのっ?て尋ねたら先輩聴いてみますかって聴かせてくれて、その内容はともかくFLAC(フラック、Free Lossless Audio Codec)化されたネット上からダウンロードされた音源だったとの事。
そのお客さん曰く、あんまりたいした音じゃなかったそうで、

「なんか残念だよね、せっかく好きな音楽聴いてるのにあんな程度じゃさ」

と、そういう内容の取りとめもない雑談をですね、いや、そう言うと語弊があるな、その若い子が聴いてた音楽の内容じゃなくてね、音質の事ですね。
このお客様は若い頃からDATに好きな音楽編集してDATウォークマンで通学なり通勤なりされてた様な凝った方だから、そして私自身も出始めの高価な携帯DATに身分不相応な金額をバイトで稼いで突っ込んだクチなので、この方の言いたい事、気持ち凄く良く分かる。

「好きなんだろ?もう少し良い音に投資する事自体がそのアーティストに対する敬意じゃないの?」

なんて言うからますます平成以降の皆さんには煙たがられるんでしょうが。
ところが僕はこの話を聞きながら頭の中でもっとズレた事考えてたの。

 

登場人物

①職場の昭和の先輩、音楽(洋楽とか)、オーディオ好き、価値観古め。以降「先昭」表記

②職場の平成な後輩、いろんな意味でゆ○り世代的特徴満載。以降「後平」

状況/とある職場での休憩時

 

先昭:「あれぇ~、何聴いてンのぉ?」

後平:「あ、お疲れです、ふらっくです(心の中の叫び→チ、うぜぇなぁ、部下とコミニケーションとか思ってんのかよ)結構アリですよ、これ、ネット音源ダウンロードしたんすよ」

先昭はどうせしょうもないもん聴いてんだろとタカをくくりながらも、後輩と会話程度はと思って若い子に声を掛けたら、まさかの返答に一瞬たじろいだ、だってこの歳で ロバータ・フラック/Killing Me Softly with His Song(やさしく歌って)等、昭和世代にはネスカフェのCMソングでお馴染み(笑))聴いて結構アリだと?こいつ案外見どころあんかも・・・

先昭:「えぇ?凄いね、ロバータ・フラックとか聴いてンの?若いのに良く知ってンね」

後平:「あ、先輩、聴いてみますか(心の中の叫び→はぁ?ロバーた?すげぇ上から目線で何よくわかんねぇ事一いっちゃってんの、この人(笑))オレ音源全部ふらっくっすよ」

先昭は受け取ったイヤホン耳に当てながら思った、全部ロバータ・フラックってのもまた極端だけど・・・ところが百円ショップで売ってそうな安っぽいイヤホン 訂正→最近の若い世代の一般的購買行動の常識では極標準的なイヤフォンから聴こえて来たのは鼻声ネーチャンのキンキラ声の外れた音程全部コンピュータで補正した打ち込みガンガンのしょうもねぇアニソンで、我が国日本には誇れる物がもうそれしか無いかのように政府公認で胸張って大声で誇る 訂正→日本が有す多様な文化の先端として誇る文化の「アニメ」の素敵な主題歌で、思わず?の表情をしてしまう。

先昭:「アレ?フラックって・・・」

後平:「FLACですよ、フラック、圧縮して音わるくなんねぇらしいんですよこいつ、スマホに何千曲入るんすよ、マジやばくないですか?オレ金ないしCDプレーヤとかオヤジみたいのもってねぇから、好きな音源全部ネット音源ダウンロードしてFLACで聴いてンス、なんか先輩の世代CD一枚3000円出したとかマジやばくねェスカ?」

先昭は、こいつの使うヤバいは、最初のヤバいと二回目のヤバいはきっと意味が違うんだろうなぁと思いながら、優しく彼にイヤフォン返すとその場を離れ、帰宅後にロバータ・フラックのLP引っ張り出して聴きながら思いました。

「そういやオレ、中学の時も一人60年代の洋楽聴いて周りから浮いてたけど、そのうち周り中がボーイ、ボーイって騒いでっから、へぇ、デビットボゥイだかボーイジョージだか知らないけど、結構ませた奴いるじゃんって一瞬仲間意識感じたら、BOOWYの事だったもんね、あん時は周りにデビットボゥイって何よ?とか散々にいわれて、それしか知らない様なクラスで幅効かせてた体育会系部活馬鹿どもに随分コケにされたよな・・・」とひとりごちたとさ・・・

なんてつまんない創作文書いてる内に夜は更けてしまった・・・

注意:上記文章中の登場人物の音楽に対する思考や志向や嗜好は全て創作であって、当初のお客様や筆者自身が特定の音楽に指向し至高とし、特定のジャンルの独特な文化を決して貶める積りでない事だけはここで改めて重ねて伏してお断り申し上げ致します。

歳は取りたくないね、しかし・・・