お断り
 
下記の文章は読み返してみるに、あまりにどうでもいい他愛もない話が相当数含まれており、先般亡くなられた安岡章太郎や遠藤周作といった第三の新人とかつて呼ばれた諸先生方や、それに続く北杜夫先生等の書き綴られた文学作品ではない即ちエッセイに属す程度の雑文系に頻出するユーモアに免疫をお持ちで無い向きには、予め目を通されない方が良い事をお断りし、既出の先生方の文章に当然私が及ぶはずもない事をあらかじめお断り致しますので悪しからず。
 
オーラムカンタス社のスピーカーは、今色々と喧しい成長著しく態度もそれに比例した、我が国の高度成長期全盛の京浜工業地帯なんか目じゃない勢いで猛烈なスモッグその他が渦巻いている対岸の“アノ”国の製品です。
そう書いてしまうと何だか急に体の中の一部分や心が萎えてしまう自分やあなたがそこかしこに居ないとも言えなくもないではないのですが、英米(仏)その他の連合国サイドも日独伊(仏)の枢軸サイドも、ことオーディオに関しては結局仲良く彼の地に製造頼りっきりなので、彼の地のブランドを色眼で見る事はもう正直不可能な時代になりました。
 
なぜなら、米国人気超有名スピーカーブランドの中国製と英国老舗ブランドの中国製スピーカーと日本の誇る世界的規模のスピーカーユニットブランドの中国製スピーカーと中国系ブランドの中国製スピーカーに、差を設けて善し悪し語ったり謳ったり販売したり出来るほど、今の時代は単純明瞭ではありません。
そう、若い人に分かりにくいかもしれませんが、かつての鉄のカーテンだろうと竹のカーテンの向こう側だろうと、要はそこに生産するだけの価値と技術が存在すれば思想も政治体制も飛び越えて、どんなに偉そうなこと述べてるオーディオブランドでも今では中国で物を造ります。
因みにかつては中国大陸で物を造る最大の理由は「安いから」でしたが、今となっては「生産体制がそこに整っている」が主な理由になっているのも事実です。
 
かつてのメイドインジャパンの本来名人芸的家内工業や、小規模製造会社の良心的技術力にのみ頼って造りあげられていた高精度なオーディオ機器類は、90年代以降どこか勘違いした大メーカーの経営者や政治屋の号令のもとに、肝心な部分が抜け落ちた状態での「効率化」や「改革」の名目や「競争原理」とやらの導入で、小規模製造業系は完膚無き勢いで叩き潰されたので、今更金に糸目をつけないと頼んだとしても、既にそれらの高精度な製品を人間が手で造れるだけの拠点も人材も雲散霧消、悔んだところで後の祭りです。
先日のNHKのドラマ、アレ結構いい線いってますよ、かなりソフトタッチですが、あれでも。
その良い例がアナログプレーヤーのアーム。
天下のヤマハがプレーヤーを復刻出来ない最大の理由は「売れないから」「需要がないから」は表向きであり、おそらく売価50万円以上付けても今でも売れるはずのGT2000さえ造れないのは、浜松にもうそんな凝った物作れる下請けも人材も技術も何も、ついでに心さえも残ってはいないのです、もはや。
よって今は大概の生産拠点は中国に揃っていて技術レベルも十分上がっているので、我々はアンプもスピーカーも安心して託せる様になったわけですが、あのSAECやクラフトやといった高精度なアームは無理ですね、流石に。
因みにニッパー犬のマークで有名なオーディオブランドで品の良いスピーカーを造っていた人間は、追われるようにその会社を追い出され、東京都昭島市にある世界レベルの企業のスピーカー部門に入って大変立派なスピーカーを出されています。そしてニッパー犬時代の作品は日本製(群馬でしたっけ?)でしたが、今のは勿論中国製です。大変人気で音も良くて年末の大雑誌のベストバイ上位常連で国産ブランドスピーカーでは現在ナンバーワンと言っても差支えは無いと思います。殆んど全てのオーディオ販売店でも家電量販店のオーディオコーナーでもカメラ屋のオーディオコーナーでも他社のヘルパーさんが割引して販売してくれますネ。当然誰もその生産国なんて気にしていません。
 
閑話休題、相変わらずのゴタクの多さで皆さんウンザリされたでしょうが、せっかくここまで来たのであと一息です。
今回紹介するオーラムカンタスのLEISURE 2 SE Mk2は、そんな状況のオーディオ業界で伸長著しい中国が放つリボンツイーターが眩しい高級機で、オーラムカンタス/AurumCantus自体はJinlang Audio(輸入元の社長はシャンリんグと発音してる・・・様に私には聞こえた)の一ブランドです。
向こうのページを紐解けばどうやら製造元としてかなりの世界の高級機を担当している様子で、そこかしこに色々な機材の影が見え隠れしますがそれはさておき、自社のブランドでもかなりの高級機を擁していて、諸般の事情で我が国にはその全てが入ってくる事は当面恐らく今後も多分やっぱりないでしょうが、こうやって十分に音が練られたものがその全体のなかの僅かでも、かなりそのブランド構成が世界に比して極端なまでに特定の有名輸入ブランドに偏りつつある日本のオーディオ業界の中において、世界的には有名な機材が紹介される事は素晴らしい事だと思います。
ブックシェルフスタイルですが、型番が示すようにオーラムカンタス内の一シリーズでこのスタイルで何種類も存在し、こちらはフロア型の基本構成を引き継いだ小型機の位置づけですね。
十分にお金が掛かった筺体とパーツ構成で、おおよそペア25万程度の価格想定で販売されていますが、同価格帯の機材に比してかなり奢られた部品構成の比重の高い造りが伺えます。
それは手にした際の質感と重み、塗装を含めた仕上げ、一見して判るお金が掛かっていそうなツイーターは勿論の事、随分と立派な作りの接続ターミナル等、音を聴く前から価格を知る以前から、これは手が掛かってるなとすぐ分かります。
 
さてその音。
非常にゆったりとスケールの広い音を豊に聞かせます。
へぇ~と聴き入ってしまいます。刺激的な部分やこれ見よがしな部分、業界用語でいうデ~ハ~な部分が、その国籍的な部分から来るイメージとは大分違うのですね。
あくまでも私がその国に対して抱いている勝手なイメージにおいてですが。
 
実のところ最初に接続してみて、あまりに聴こえが悪くて「なんじゃこりゃぁ?」の松田優作状態だったのは、実は私が箱からこのスピーカーを開けて設置後、ツイーターにたいしてその前面を覆うようにに完全に密閉して保護目的で貼られていたビニールテープ(!)が貼ってあって、それをサランネット取らずに聴いた物だから気が付かないで暫く剥がしていなかったことが理由であったのは内緒ですがね。
この製品が私に感じさせた世間一般が危惧する意味合いでの、唯一「大陸的悠久の時が流れる国民性的大らかさ」は、この点においてのみですかね。
 
要するに素敵なスピーカーです。国籍なんてどうでもよい音です、予算許す方は是非購入検討下さい。
見かけ以上に下までたおやかに良く伸びます、しっかりとしたスタンドを手配したいものですネ。
 
今回のお品は本国では販売されていますが、日本にはレギュラーでは輸入されないカラーで、輸入元が参考色として試験導入した物の開封新品特価品扱いとなりますので、この色は一セットのみです、因みに呼称としてはチェリー色にあたります。
勿論レギュラーとしては通常輸入分は普通に購入頂けますが、この価格とこのお色はこの一セット限りで、蛇足ですが当然ながら正規代理店の通常扱いの品でメーカー保証は勿論付加されていますので、並行品格安品の扱いで無い事も併せてご理解下さいませ。よって色味さえご理解頂ければとてもお買い得だと思います。
 
関係なくも無いですが、何年か前に、私が当時オーディオで関わっていた相模原地盤の業界8位程度の家電量販屋のそこの暴力社長の自己満足で行かされた上海旅行の感想を、当時仲の良かった浜松の企業でバイクも別会社でやってるオーディオメーカーで働く中国人担当営業に聞かれて、冗談半分に人民服着た人たちが毛沢東語録かざして大行進して自転車の洪水で街が溢れていて商店街の軒には首を落した鶏がぶら下がって居るみたいな話したら、私と同い年のその彼に
「またまたまたぁ~、わたしのくにぃ、いまどきどーこいってもそんなぁんないですよぉ~」
と、下手な若造より流暢な日本語で笑いながら半分マジな目になって思いっきり呆れられて笑われた事が有りましたね、アハハ。ヤマハの尃さん元気かぁ~?
 
まぁその彼らが日本人に抱くイメージも、彼の地のニュースを見る限りはお互い様みたいなもんですがネ・・・