dbxって響きが、80年代後半にカセットデッキのカタログ貪る様に眺めていた我々世代には妙にカッコいい。
当時はそれが企業名だとは知らなくて、ドルビーもそうだけど、ノイズリダクションの一名称くらいに思っていました。
TEACやA&Dの上位機種に誇らしげにこのdbxマークが刻印されているを、垂涎の眼差しで眺めました。
結局私はdbx欲しさに当時のA&Dの上から二番目を無理して買いましたが、オーディオ駆け出しの無知な私は3HEADデッキとリバースデッキの違いも満足に理解していなくて、リバースの方が便利で良いじゃんか位の気持ちでそれを買ったですが、後で3HEADの音質的優位性を知るに至り、更に、何でも親に買ってもらえる裕福な家庭の高校の同級生が、私のと同じブランドの3HEADの型番に9の付く最上位機種を買って貰ったのを見て、随分羨ましく思い且つ自らの選択眼を悔いた物です。
因みに何度使ってもぼっこい音質のドルビーBや、やたらと軟いドルビーCはどうにも私には相性が悪く、駅前にあったレンタルレコードのYOU&I或いは友&愛に自転車漕いで、最短期間の最安価格でCD借りて来ては、なけなしの金叩いて購入したTDKのSAやMAに、デッキのdbx効かせてギリギリの録音レベル狙ってロクすっぽ勉強もせんとダビング行為に勤しんでいました。
今でこそ多少オーディオに関わって雑誌に載せて貰ったり衛星ラジオ番組に呼んで貰ったりしていますが、正直言って中学高校生時分のこの時期に学んだ事が、今の私のオーディオ的原点です。
時を同じくして、当時は20万を超す様な高価なミニコンが全盛期でしたが、それらに必ず搭載されていたのが怪しく複数のレベルメーターが上下するグラフィックイコライザーでした。
ハッキリ言って誰一人それを正しく理解して使いこなした中高生など当時いなかったと思いますが、それが無いと丸で商品的に見劣りするかのような各社商品展開の仕方でしたね。
早くから単コン組んでた私には逆に縁遠かったアイテムで、何故なら標準装備のミニコンと違って単発で購う単コンサイズのグライコは高かったの、本当に。
だからもしそれを手にした所で、当時の私にはどうせそれを理解して使いこなす事等無理だったでしょうが、その一点に関してだけはミニコンが羨ましかった記憶があります。
さて、オーディオを取り巻く状況も30年も経てばすっかり変わってしまい、当時のフル装備的ミニコン等影も形も消えて無くなりましたが、単発のグライコも市場から少なくとも民生機では全くと言っていい程消えて無くなりました。
まぁ要するに不要だったのですが、言い方を変えれば使いこなせた人間及び正しく理解出来た人間がいなかったとも言えます。
90年代に入った辺りから急にパワーアンプダイレクト思想やプリアンプ不要論等、今読み返せば噴飯物の話が当時の誌上に振りかざされ、それを考えもせずに真に受ける様ないつの時代にもどこにでもいる層、即ちそれを使った事も無い或いは使いこなせた例も無い人たちによって、グライコは音質劣化装置のレッテルを張られて市場から退場して行きました。
そりゃ不用意に使えばあまりいい結果は生み出さないでしょう、何であれ。
タダどうにも日本のオーディオ趣味って、根本的な設置セッティングはロクでもないのに、ケーブルの質や半田の音質や端子が高級品とかそうでないとか、物事の本質から離れて枝葉を語りたがる層の声が大きすぎるので、アンプに僅かに残っていた高低のトーンコントロールの二つ程度でさえ、音を悪くするの大合唱でいよいよ排除してしまい、本来そのオーディオが使われるべく部屋毎に音場特性が皆違う当然の事実には目を瞑り、各機器を最短経路最小接点で繋ぐのが最優先の、音場間をどこかに忘れて来たかのようなストレート思想オーディオ再生がかなり極端にまかり取っている状況に感じます。
ハッキリ言ってストレート回路のアンプの音が色々な状況下に於いての各家庭で音的標準バランスである保証は全くないのです、あれは造ったメーカーの試聴室なり設計部署に於いての標準バランスですよ。
因みに家庭環境では有りませんが、私の以前居た秋葉原の有名老舗オーディオ店には、もう悲惨な位にボッコボコに音の抜けない鼠の糞尿臭かった悲しい思い出しか私には無い、一部ではかなり有名な試聴室が存在していて、新製品を試作段階でメーカーがここに御機嫌伺いに詣でるもんだから、この部屋で鳴った鳴ったと喜ぶようなレベルにうっかり音調整した日には、普通の環境下ではキンキンドンスコになってしまう事必須なのは秘密です。
それから今でもこの部屋が鼠の糞尿臭いとか音ボコボコだとかは流石に言いません、十五年は前の話であって、流石に今は良くなっていると信じたいですネ。
あ、それからそこの部屋の責任者だった、人の客取ったとかいちゃもん付けてくる性格の暗かった副店長とかお元気かな・・・

閑話休題、今でも5~7バンド標準的にトンコン搭載するマッキントッシュは勿論の事、二昔以上前のアンプが3~4バンドのトンコンを積んで居たのは、不特定多数の色々な環境下で使われる商品としての構え方としては至極真っ当だったんですがねぇ、いつの間にか高低だけの調整に減って、最近はそれさえ無くなって来てしまいました。皆さんそんなに優れた音響バランスのお部屋にお住まいなのでしょうか・・・
ここ最近は漸くプリアンプの重要性等に日が当たり、一頃よりはだいぶマシな兆しも感じますが、困ったのはグライコです、全然手に入りません。
私は決して設置とセッティングを怠って面倒を全部電気信号補正に頼れと言ってるのではありません。
ただ、オーディオをある程度使いこなせる方がやる事全部やってだいたいの調整に着地点が見えた方には、グライコを使って部屋自体が有している音響的特性を一度感じて見ませんか?と提案したいのです。
プロの現場では録音でも再生でも当然の様に使われているグライコを、一面的視野で徹底して排除してきたオーディオ趣味世界も不思議な話ですが、有名な国内高級ブランドの送り出すデジタルなんたらの超高級グライコも一般的には近づき難い価格帯です。よって今回、業務機として有名なdbxのグライコを安価に何台か提供出来るようになりましたので、楽しく周波数弄って遊びませんかという話です。
当時のミニコンからオーディオ入って、最近のコンポは触るとこ無くてつまんないと感じている、時代に取り残された40~50代の皆さん(含む筆者)も是非どうぞ。
左右それぞれで31バンドって、よっぽど耳と根気がなきゃ使い切れなくもないですが、何なら最初は3バンドづつまとめて弄って見るのも良いでしょう。当時のミニコンは7~12バンドグライコ搭載型が多かったので、感覚的にはその辺からが丁度でしょう。
私はグライコ使う時は一旦全バンド殺してから各バンド一つずつ持ち上げて聴いては、各帯域ごとの増減による部屋の変化を確認し、あとは大体の所で一気に大きく動かして暫くは色々聴きながら微調整をして使います。
グライコもトンコンも半田も抵抗が増えて音質劣化云々言う向きはここの話では念頭にありませんので、面白そうだなと感じた方々へ、久々のグライコ遊びを2万円税込台数限りで提案致します、どうぞお楽しみくださいませ。

 


但し、この機械、価格は安価ですが完全なプロ機です、接続端子はバランス型及びフォンジャックのみです。
その意味に対して最低限の知識と対応する変換ジャックやケーブルを用意出来ない向きには強くはお勧め致しません。
尚、必要ならばでんき堂としてフォンジャック-RCAプラグ等の作製も承ります、以上。

dbx 231S 定価:29,160円(税込)

販売価格:20,000円(税込)台数限り

完売しました。

 

TEL:0466-20-5223 (お問い合わせはこちら)